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【連載版】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します  作者: うり北 うりこ@8/1ざまされコミカライズ①発売


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「お前を愛することはない」と言われた私、マナーを学ぶ方向性となりまして


「はぁー! 市場調査、楽しかった!!」


 屋敷へと帰り、お風呂も済ませ、ぼふんとベッドへとダイブする。


 全部美味しかったなぁ。


 もぞもぞと布団のなかに入り込み、今日食べた子たちに思いを馳せる。


「ワイルドお肉に、コロッケ二個、魚の塩焼き、焼きとうもろこし、焼きそば、ポテト……。それから、フルコースディナー!! ついに分厚いお肉解禁!! くふっくふふ……」


 お口もお腹も大満足!!


 って、あれ? 市場調査って、果物を使った商品を見に行ったはず……だよね。


「私、何も調査してない……」


 しまった!

 役立たずもいいとこだ。

 ど、どうしよう……。思い出せ、思い出すんだ。どんな屋台があった?


 たしか甘いものはクレープ、ジュース、りんご(あめ)にいちご飴……。ベビーカステラもあったかな。


「お祭りの屋台じゃん!」


 ん? 屋台?

 そういえば、この世界独自の食べ物、見たことない気がするんだけど……。

 ここ、異世界……なんだよね?


 ベッドからおりて、カーテンを開けると鏡台の前に移動する。

 もう見慣れた私の顔──夕日のようなオレンジ色の瞳が、月明かりで照らされ、映っていた。


「この色、カラーコンタクト(カラコン)でも難しいよね……」


 そもそも、乗り物は馬車で、電気も通ってないこの世界でカラコンはないだろう。

 ということは、きっと異世界で間違いはない。

 私の毒を激辛に感じる力も、異世界ならではだろうし。


「じゃあ、何でこんなに食べ物だけが現代的なの?」


 まるで、雑な設定の異世界小説やゲームだ。

 ということは、主人公がいる?

 けどなぁ、異世界ファンタジーなのか恋愛なのかも分からないうえに、主人公が生まれる前なのか、後なのかも謎。


「考えるだけ無駄かぁ」


 むしろ、前世の食事があってラッキーだよね。

 うん。ラッキー、ラッキー!

 ワンチャン、和食だって……。


「…………和食、本当にあるんじゃない?」


 こんなにも前世由来の食べ物たちがいて、和食がないとかあり得る?

 どこだ? 私ならどこの国に和食を配置する?


「──っ! 東だ!!」


 東の島国に日本風の国を設定するのが、異世界系の王道パターン。つまり、そこに私の求めているものがある! ……かもしれない。


「よし。明日、調べてみよう。目指せ、庭での稲作!!」


 そうと決まれば、明日に備えてさっさと寝よう。

 目を閉じ、三秒で私は眠りに落ちたのだった。



  ***



 翌朝、起きたら太陽はもう屋敷の真上まで昇っていた。


「しまった! 寝過ごした!!」


 慌てて侍女を呼ぶためのベルを鳴らす。

 チリ──。

 コンコンコン。ガチャ。


「失礼いたします。体調はいかがですか? お疲れは取れましたでしょうか?」

「え? あ、うん。元気です」


 今、ベルが鳴るのとほぼ同時にノックしたよね?

 どういうこと?


 理解が追いつかないまま、アンネを見る。


「本日はゆっくり休むようにと、旦那様から言付けを承っております」

「旦那様もお休みですか?」

「いえ、朝早くに王城へと向かわれました」


 何ということだ。

 旦那様はナビレート伯爵家の当主、つまり社長! 社長を働かせ、社員の私が寝坊のあげく欠勤だなんて、あってはならない。

 というか、解雇される!


「……旦那様、怒ってました?」

「まさか! 昨日は連れ回しすぎたと心配されておりました」


 い、いい人!!

 良い雇用主に雇われて、私は幸せ者だ。


「まずは食事をご用意しますね」

「はい! ありがとうございます!!」


 うきうきしながら待っていれば、アンネが食事をテーブルに運んでくれる。


「……あれ? 切ってないですよ」

「はい。フォークとナイフの使い方を練習いたしましょう。家庭教師が見つかるまでの間、僭越(せんえつ)ながら私も学ばれるお手伝いをさせていただきます」


 使命感あふれる顔で言われ、思わず顔が引きつった。

 何だろう……。ちょっと、いや……すごーく嫌な予感がする。


「──はい、肩肘張らないでください。一口が大きすぎますよ」

「だっへ、難しいんでふよ」

「お口に入ったままのおしゃべりは、なりませんよ」

「……ふぁい」


 テーブルマナーは前世と同じ。けれど、経験がほとんどないため、うまくできない。


「うぐぅ……」


 転生者って、チートできるもんじゃないの?

 これじゃ、食事が楽しくない……。


「……ごちそうさまでした」


 どうにか食べ終え、お腹は満ちた。

 いつもは幸せいっぱいになるのに、今はただ満腹なだけ。


 ちょっと前まで、食べられるだけで幸せだったのに……。

 いつから私は、こんなに贅沢者(ぜいたくもの)になっちゃったんだろう。


「コレッティーナ様、マナーは慣れです。頑張っていきましょう」

「はい。早く慣れるよう、頑張ります。……私ちょっと、デンガおじいちゃんのところへ、お庭の相談に行ってきます」

「お供いたします」

「いえ。一人で行けます」


 私は一人で廊下に出ると、庭園にまっすぐに向かう。

 行ったついでに、デンガおじいちゃんと庭に埋める植物の相談をしよう。

 もしかしたら、お米について知っているかもしれない。


 庭につくと、とりあえず葉っぱを一枚食べる。

 うん。手で食べるって、落ち着く!

 なんか、元気出た!!


 

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