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インナーヒットマン  作者: 太田
第2章 殺し屋と雛
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第27話 殺意

 あのメガネの男の顔が脳裏に浮かぶ。


「なんだよォ…。避けるなよォ…。」


 男はにやりと嘲るように近づき、ポケットから何か取り出す。見覚えのある武器だった。


「兄貴の武器でぶっころしてやるよぉぉぉぉ!」


 あの男の武器だった。あの爆発するやつ。


───持ってきてよかったよ。


 僕は、懐に入れてある、銃を取り出した。心臓は早鐘を打つが、手は冷たくしっかりと動く。銃を構え、男へ向けて引き金を引いた。


バンッ──


 弾丸が男の喉を貫く。男は喉を押さえ、鮮血が手のひらを赤く染める。


「なにィ!」


 押さえた箇所からは、血がダラダラと流れ出ていた。


「コノヤロァ!」


 咆哮とともに、男の拳が地を叩いた。


ドォォン!!


 砂ぼこりが舞い、視界を奪う。何も見えない。目の前にいたはずの男の姿が土埃の中へ溶けていく。

ここで発砲すると僕の場所がバレ───


ドォォン!!


 男の拳が腹に命中する。


「ッ!」


 身体が宙を描き、内臓が焼けるような痛みが走る。起き上がることすらままならない。嗚咽が喉を詰まらせそうになる。男の笑い声が聞こえた。


「テキトーに腕振ったら当たったぜェ!」


 霞む視界で男を睨む。


「なんだァ?まだ睨む元気は、あんのかァ?」


 男が拳を振り上げる


ズブッ


「ア゛ッ?」


 僕は、力を振り絞って懐に持っていたナイフを力を振り絞って男の足に突き刺した。


「痛ってえなァ!」


ドガッ


 男に蹴り飛ばされ、仰向けになる。視界がかすむ。


「ぶっ殺してやるァ!」


 男が咆哮し、足を抑えて踵を上げる。蹴りによって僕は仰向けに吹き飛ばされ、視界が滲む。血の匂い、鉄の味。男の腕が振り下ろされる。


───もうダメかッ!


 そう思った瞬間


ドサッ


 突然、男が音を立てて倒れた。


───やった…のか…?


 喉からはとどまることなく血が流れ出し、男はピクリとも動かない。


───……早くこの場から立ち去ろう。


 そう思い、落ちてる銃を拾う。


 自分の手の震えに気づき、痛む身体を無理やり起こして立ち上がる。落ちている銃を拾い、足早にその場から離れようとした。


ガサッ


 その時、背後でかすかな物音。振り返る。目の前に再び拳が迫る。


ドォォン!!。


 再び、身体が宙を舞った。


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