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立志編3


 ゆうひは信者獲得のため、とあるパフォーマンスを行った。


 その中でも一番人目を惹いたのがダルドリーシッディである。


 ダルドリーシッディとはあぐらをかいた状態でカエルのように飛び跳ねて滞空する空中浮遊の技だ。


 このパフォーマンス画像がSNSのオカルトスピリチュアル界隈でバズり一気に信者が増えた。


「導師。どうしたらそのような超能力を身につけることができるのですか?」


 弟子がゆうひに訊いた。


「ダルドリーシッディをするためにはアーサナ、ツァンダリー、ダウティ、バストリカーの四つの修行をマスターする必要がある」


 続けて詳細を話す。


「まず『アーサナ』は基本の呼吸法とマントラ瞑想の修行、『ツァンダリー』はあぐらをかいた状態で気を発生させチャクラをコントロールする修行、『ダウティ』は幅七センチ長さ三メートル半の布を丸呑みする修行、『バストリカー』は鼻を押さえて二〇秒間息を止めた状態で喉とお腹と肛門を締め付ける修行だ」


「気はどうやったら起こせるのでしょうか?」


「気はどんな人間にも宿っている。気を操れる超能力を持った人間になるにはクンダリニーに覚醒が必要である。そのためには火と水の洗礼を乗り越えなくてはならない」


「火と水の洗礼?」


「火の洗礼を受けると二、三日以内に発熱症状が出て、それから一ヶ月経つと寒気や無力感などの水の洗礼が起きる。これにより人間時代の悪行を消滅させ神の身体になる」


「なるほど」


「火と水の洗礼で人体の右側のビンガラ気道、左側のイダー気道が開く。そしてスシュムナー気道が開き、頭部から会陰部までの四つのチャクラをクンダリニーが貫いた時に霊的覚醒が終了する」


 ゆうひは弟子達にそう説明し修行させた。


 火と水の洗礼は危険で正しい指導者の指導で行わないと死に至ると警告し、一人で実践させないようにする。


「気によるチャクラ開発のため修行をするにあたって、併せて正しい生き方をしなくてはならない」


 と、ゆうひは説法した。


「そのために六波羅蜜という六種類の行いを極限までしなくてはならない。一つ目は『布施』で財産などを布施すること。二つ目は『持戒』で殺さない、盗まない、嘘をつかない、など十の戒律を守らなければならないこと。三つ目は『忍辱』で苦しさ辛さなどに耐える限界を高めること。四つ目は『精進』で積極的に修行を進めること。五つ目は『静慮』で強い精神集中ができるようになること。六つ目は『智慧』で宇宙の真理を直観するか体験することだ」


「分かりました」


 ゆうひは信者をより修行に熱中させるため、予言を伝えた。


「来年までに世界各国に二つ以上の支部ができなかったら三年から五年後までに確実に核戦争が起きる。核戦争を回避するためには、オウムの教えを世界に広めていかなければならない。解脱のための一番手っ取り早い方法は自分の持っているもの全部を空っぽにし導師(グル)あるいはシヴァ神の求めているものを意思して実行することである。解脱者を三万人出せば、そのサットバのエネルギーによって核兵器が無意味になり、真理は一つになる」


 これを聞いた信者達はどんなに厳しい修行も耐えるようになり、下界を知るためのワークと称した無賃アルバイトを積極的に行うようになった。


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