episode:4
ーーーーー次の日ーーーーー
「よしっ!ママ!行ってきま〜す!」
「は〜い…行ってらっしゃーい!」
久々のランドセルを背負っての登校。
(くぅ〜〜〜!!懐かしいっ!!)
色々懐かしんでいたらある人物が目の前にいた。
(あれはっ!!天野雫!!っ〜〜〜〜どうしよう!!昨日逃げちゃったんだよなぁ〜気まずすぎ…。いや…でも将来的に仲良くなるべきだよねっ!!なるべく自然に…自然に…)
「あのっ!天野くん!」
「ん〜?あっ…君は昨日の逃亡少女…。」
「あ…いや…その…昨日はごめんね…。急に話しかけられてびっくりしちゃったっていうか…なんというか…。」
「別に良いよぉ〜(笑)!その代わりぃ〜教えて?君は善?悪?」
「あ…悪だよっ…。」
「そっかぁ〜!良かった!これから仲良くしようね!」
「うんっ!でも…なんで善か悪か聞いたの?」
「え?そりゃぁ〜善の人達と関わりたくないからに決まってるでしょぉ〜(笑)」
「あぁ…なるほどぉ…!あはは…。」
(さすが…根っからの悪だねぇ…善が嫌いだから関わらないってか?…ワオ…。)
「確か紗綾ちゃんだよね?僕のことは雫でいいよっ!そんなに緊張しないでっ!」
「う…うんっ!」
(やっべぇ〜前世のコミュ障が発動しちゃってるよ…)
「んじゃ一緒にいこ!」
「うん!」
そして2人で学校に向かった。登校してる最中に色々話したがどうやら雫の住んでいる家は私の家と近いらしい。なのでこれから一緒に登校する約束をした。
このときに私は心の底から喜んでいた。
なんてったって前世での私はコミュ障すぎて小学3年生まで友達がまったく出来なかったのだ。
(友達ゲットだぜ☆)
教室に入ると、ある男の子が私の方に駆け寄ってきた。
「おいブス!お前悪か?」
私をブスと呼んだ人は相葉春舞…善の攻略対象だ。
(ブ…ス…?は???)
いきなりブスと言われてキレる寸前まで追いやられた私は前世で身につけた悪口のオンパレードを言い放ってやろうかと思ったがその前に隣に控えていた雫がブチギレた。
「は”あ”?!?お前何??女の子にブスって…性格終わってんねぇ?お前善なんだって?本当に??悪のほうが向いてんじゃねぇの?クソがっ!!あと…紗綾は悪だから…善のおめぇとは関わんねぇよ!!引っ込めっ!!この虫けらがっ!!!」
(Oh My God……口悪……え?ゲームでの設定の狂気ってもしかしてこれ??へ??てか…普通に小学生が言う言葉じゃなさすぎて草)
雫のブチギレで怒りが吹っ飛んでしまった私は呆気にとられていた。
「はぁ…はぁ…。紗綾ちゃん大丈夫?あいつの言うことなんか気にしなくて良いよ!ほらっ先生もうすぐ来るし座ろっ!」
「え…あ…うん…。」
私は雫に引っ張られながら自分の席に座った。雫には気にしなくて良いと言われなが、どうしても気になってしまったのでチラッと相葉くんの方を見た。
なんと彼は…
(ふぇえええ…泣きそうになってんじゃん…え…どうしよ…えぇ…。)
彼も攻略対象なので後々絶大な権力を持つようになる。そんな彼に恨まれていたらいつか復讐されるかもしれないと恐れた私は一時間目が終わった後に謝りに行こうと思ったのであった。
(くっ…!あっちから吹っかけてきた喧嘩なんだけどなぁ…(泣)!)
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一時間目の国語が終わった後、私は優越感に浸っていた。
それはそれは数分前のこと…
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「はい…じゃあこの漢字の読み方をもう知ってるって子いる??」
「はい!知ってます!」
「おっ…じゃあ新島さん…この漢字はなんて読むのかなぁ?」
「あめって読みます!お空から降ってくる雨です!」
「おお!すごい…もう漢字が分かるんだね!」
「はい…少し予習?をして…えへへっ…!」
「えらいねぇ!じゃあちょっとチャレンジしてみる?」
「はい!やってみたいです!」
「じゃあ教科書の最後らへん…127ページにある文を二行読めるかな?」
「もちろんです!…大むかし、ちきゅうが生まれたばかりのころ、うみの水は今のようにしおからくありませんでした。それなのにどうして、今はうみの水はしおからいのでしょう。」
「す…すごいねぇ!!」
「えへへ…(照)」
「紗綾ちゃんすごい!!」
「ありがとう雫!」
「新島さんは頭が良いんだね!その調子で頑張って!」
「はい!」
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という事があったわけで…私は優越感に浸っているのです。
(えへへ…天才は困っちゃうねぇ〜(照)。)
「はっ…!あっぶね…忘れるとこだった…相葉くんに謝らないとっ!」
内心、あっちから来てくれないかなぁ〜と思って相葉くんの方を見たがこちらをチラチラ見るだけで来ようとはしなかったので仕方なく私の方から行くことにした。
「相葉くん…。」
「なんだよ…!」
「朝のことで…謝りたくて…。その朝は嫌な思いさせてごめんね。急にブスっていうから多分…雫…びっくりしちゃっただけなんだ…あんまり気にしないで!」
「あ…いや…お前が謝る必要はねぇよ…俺が原因だし…俺こそごめん…。新島さん?はブスじゃなくて…その…可愛いよ…。ブスって言ったのはさ…ただ口が滑っただけで…べつに思ってないから…。」
(何…??ツンデレボーイ???え…そんな貴方のほうが何百倍も可愛いです…。えぇ…お前…顔整いすぎだろっ…!)
「そっか…あ…新島じゃなくて紗綾でいいよ。あっ…あとさ…相葉くん…何で私が悪なのか聞いてきたの?」
「ん…?気になったから聞いただけだ。それがどうした?」
「ん????気になったから聞いた…え…それだけ?」
「おん…。あいつらがお前が悪なんじゃないかって話してて…それで気になっただけだ。」
そう言って相葉くんは悪組の葵木瑠夏と西園寺大雅、高橋雪音を指さした。
「俺さ…入学式で初めて紗綾のこと見た時綺麗なやつだなって思って…その…友達になりたいって思ったんだよ…(照)。だからお前が悪だったら…善の俺を嫌うんじゃないかって…そう思ったんだ…。」
(何その理由…クソ可愛い……。小学生が考えることじゃねぇぞっ!!)
「嫌いにならないよ…。」
「え…?」
「私…善か悪かなんて気にしてないし…正直善の人達とも仲良くしたいって思ってるの。だからそんなの気にしないで!友達になろっ!」
「っ…!うん!よろしくな!紗綾!」
「よろしくね!相葉くん!」
「…春舞でいい…(照)。」
「分かった…春舞。ふふふっ(笑)。」
「なんで笑ってんだよっ…!」
「いや別にっ…あははっ!」
そんな感じで無事に春舞と和解し友達になることが出来た。
だが私は忘れていた。
私や春舞がなんとも思っていなくてもこの世界の善と悪はお互いが嫌いだということに。
どうやら悪組の皆さんは悪の私と善の春舞が話してるのが気に食わなかったようです…。
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「紗綾ちゃん…どうしてあいつなんかとっ…。雪音く〜ん!!どうしよう!紗綾ちゃんがぁ〜!!」
「雫!落ち着きなさい。」
「瑠夏ち〜も相馬春舞のこと良く思ってないでしょお!!仲間の紗綾ちゃんが襲われそうになってるんだよお?!落ち着けないよぉおおぉぉお!!」
「しずちゃんうるさ〜い…落ち着きな。」
「大雅ちんまで…なんでそんな皆冷静なの…???ホントびっくり…。もぉ…!雪音くんもなんか言ったらどう??」
「……大丈夫だよ…一旦様子を見よう…。ね?」
「でも…!」
「天野くん…。」
「っ……!」
「言う事聞けるよね…?余計なことしないで…?今はまだ様子を見よう…。」
「雪音が言うんだから大丈夫ですよ。」
「そうだよ…きっと大丈夫。」
「瑠夏ち〜…大雅ちん…分かった…一旦様子を見る…!」
「さてと…彼女はどっちのサイドにつくんだろうね?(笑)」
そう言って私の知らないところで悪魔が微笑んだ。