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episode:3

「ねぇねぇ!僕、天野雫!急だけどさぁ〜君はさぁ〜善??悪??」

「へ…?(汗)」


(まずい…やばいっ!!天野雫って嘘が通用しないんだよ…!!ここで適当に答えたら絶対詰むっ!!!ここは…!!)


「えっと…ごめんね!私っ…急いでるから!!また明日ね!!」

「え…?!あっ…ちょっと!」


私はランドセルを背負って急いで教室を出た。


そう…逃げたのだ。


(無理無理!!悪の支配者怖いっ!!!小学生でもあの圧って…高校生になったらどうなるやら…(汗)。ほんとにピンチ!!まさかエクリプの世界に転生するなんてっ!!!)



「ありえないっつーのぉおおおおおおおおお!!!!!!!!」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



その後私は急いで家に帰り両親と会話を試みようとした。


「あのさ…お母さん?ママ?…?」

「好きな呼び方でいいわ…(笑)。」

「分かった…。ママ…聞きたいことがあるんだけど…良いかな??」

「良いわよ。何かしら?」

「うちって…その…何してるの?ほらっ…お仕事とか!」

「ん〜どうやって説明しましょう…ダークウェブっていうサイトがあるんだけどねぇ〜そのサイトを運営する会社の社員さんねぇ〜サラリーマンってやつよ。ちょっと簡単な説明の仕方がわからないわ(汗)。詳しいことは分からないからお父さんに聞いてみなさい。」



「あ…ありがとう…!」





ダークウェブ…一般の検索エンジンではアクセスできない、インターネットの隠された部分のこと。危険ドラッグや銃、パスポートの偽造、臓器売買、児童ポルノなどがあり少数だが殺人代行をしてくれるところもある。





(ダーク…ウェブ…?へ???)


私は自分の部屋に急いで戻った。




そして…泣いた。






「ダークウェブって!!!違法じゃねぇかよおおおおぉぉおおおお!!!!」


そう…お察しの通りダークウェブは違法…ママはそれを当たり前のような感じで私に説明をした。


つまり私の家族は根っからの《悪》だということ。



「悪かよぉおおおぉぉぉおおおぉ!!!」


(私の人生詰んだ…善良な人生は歩めないのね…いと悲しきかな…。)





一時間ほど泣き喚いたあと、少し心を落ち着かせた。


(ここで嘆いてもなんの意味もない…受け入れよう…私の運命を…。)


心を落ち着せた私は状況整理を再開した。


(まずエクリプについてまとめよう!)


エクリプス〜白と黒の世界〜は主人公である向月結衣が紅乱学院の高等部に転校するところから始まる。

そこで結衣は学園の支配者…


(支配者って…かっこよく書いちゃった(照)!)


そこで結衣は学園に在籍する生徒会と出会う。

生徒会メンバーは…


生徒会長:相葉春舞と高橋雪音

副会長:天野雫と久保星夜

書記:五十嵐海斗と西園寺大雅

会計:西門圭太と葵木瑠夏


だったはず。


(生徒会のメンバーが全員攻略対象。結衣は高校2年で転校してきたから生徒会が面倒を見ることになったんだよね…。確か結衣のプロフィールは…)



向月結衣…エクリプのヒロイン。悪の人間ではあるが彼女は悪事を嫌い善を好んでいる。そんな彼女を善の人たちは好意的に思う一方悪の人たちは彼女を毛嫌いしていた。それは攻略対象も例外ではなかった。そのせいで両親は離婚…父の方へついていき紅乱学院に転校。



(だから悪の攻略対象の難易度がクソ高いんだよね…いや…善の攻略対象さんもむずかしかったんだけどね…。それにしても両親離婚って…娘なんだから愛してやれやぁ〜…。)


ルートによって話は変わるけど善の攻略対象を選んだ場合は悪の人間とどうやったら仲良くやっていけるのかを探っていく感じの物語になる。逆に悪の攻略対象を選んだ場合、悪の人達を善の人達のように変えようとする感じの物語だったはず。


(犯罪者を更正させるって感じだったよねぇー…育成ゲームかよ(笑)。)


「エクリプって最近リリースされたばかりだからエンディングまで行ったのは数人なんだよなぁ〜…あんまりわからない…でも確か…」


(エンディングまでたどり着いた人の感想って確かどれも愚痴だったくね??たしか完全なハッピーエンドがないって……。)



「ふぉえぇえええぇぇええ…ヒロイン可哀想ぉおおぉぉお(笑)」


(キーイベントとかも覚えてる間に書き出しておこう…春舞ルートしかやってないけど出てくるイベントは全キャラ共通だったよね?…あっ…でも雪音ルートにだけ隠しイベントがあったはず…なんだっけ…?)


「まっ…今はいいや!えっと〜…確か全部で4つのイベントがあったよね!」



エクリプには春・夏・秋・冬に一つずつイベントがある。


まず春の武術大会…小中高の全学年が集まり5日間かけて学院のトップである生徒会を決める行事だ。

剣術に武術…射撃術などの技術面に…体力と忍耐力を競うマラソン…その他にも普通の体育祭で行う100m走に綱引きなどもある。この全ての競技の点数の合計が高い上位8名がその年の生徒会になる。



「ふはははっ…これ遊んでたときめちゃめちゃ笑ったわ…(笑)」


ゲームだから丸く収まるのだが、この武術大会では小学生が高校生に勝ってしまうのだ。


そう、まさに攻略対象達がそうだ。


入学したばかりにもかかわらず高校生に圧倒的な点数で勝ってしまうのだ。


「どう考えてもおかしいだろ…なんで小学生が高校生に勝てるんだよ…(笑)」



次に夏の神事祭…神様に祈りを捧げ加護を授けてもらう行事だ。

加護を授かった者は身体能力が無加護の人よりも何倍も強くなり、寿命が伸びる。普通は1年に1個授かり小中高の合計で12個授かって卒業するのだが、ここでも規格外な攻略対象達は最低でも15個以上の加護を授かっている。春舞と雪音に関しては20個を超えていて歴代の支配者の中でもトップである。



(一番多かったのだが雪音だっけ?悪って強いね〜)



その次に秋の芸術祭…1日目に芸術鑑賞…2日目に仮面舞踏会が行われる。

一ヶ月ほど前から学年を問わず二人一組になり、1日目に展示する作品を作ったり、2日目の仮面舞踏会でのダンスを練習したりする。作品は優秀賞と最優秀賞が決められる。そしてこのイベントではあるジンクスがあり、仮面舞踏会の後…屋上で好きな人に告白して成功したら生涯結ばれるらしい。そのジンクスのせいで攻略対象達は毎年何十人もの女子生徒に告白されている。



「モテる人って大変なんだな〜…。」



最後に修学旅行…これは高校3年生のみが行く行事だが、他の学年には校外学習がある。

修学旅行の行き先はフランス。スイーツ作り体験と観光をする。



(私もフランスに行くってことだよね…楽しみだな〜…あのクラスのメンバーで行くのは不安しかないけど…)


「ふぅ〜…書くの疲れた〜…雪音ルートだけ隠しイベントがあるんだけどな〜…忘れちゃった…もうちょっと攻略サイト熟読しとけばよかった…。」


(さてとエクリプはざっとこんな感じかなぁ…次は今の現状…それから…自分のこと…)




「私って…そもそも…誰?」



新島紗綾…悪の人間ということは分かったが残念ながらこのキャラ、前世で聞いたこともないしゲームのキャラクター一覧にも載ってなかった。

ということは…




「モブ…か…もうそれしかないよね…。」


どうやら私は前世で遊んでいた乙女ゲーム『エクリプス〜白と黒の世界〜』のモブに転生したらしい。今の私は小学一年生で攻略対象達と同い年、そしてゲームが始まるのは攻略対象が高等部11年生になる頃だから、今はゲーム開始時の約10年前。


「しかも全員と同じクラスって…なんかのバグだろっ…!男女比どうなってんねん!!8対1って…気まずすぎ…。最悪っ!でも顔面が良いから眼福…。」


(さて…これからどうしようかなぁ〜…モブってことはゲームにはかかわらない人物ってことだよねぇ…。そうだなぁ〜目標を立てよう!!そうだなぁ〜…)




《悪役なんて嫌!〜モブはモブらしく控えています〜》




「よしっ!これでいこう!!」


私はモブらしく目立たず生きることに決めた。そして悪いこともあまりしたくないのでバレない程度に控えようと決心した。


「攻略対象たちとも自然に接しよう!それから……天才小学生はやめとこう…(泣)。」




(これは私がいかにモブらしく生き,平穏に過ごせるかが試される物語っ…!明日から第2の人生頑張ろっ...!)

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