episode:1
「わあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!……え…?」
反射的に体が飛び上がる。
そしてあることに気付いた。
おかしなことに周りを見渡すと変な部屋にいた。そして私はその部屋の角にあるベッドにいた。
(何この部屋…新感覚の病院的な??)
私の部屋は基本的に推しのグッズで埋め尽くされているが、今私がいる部屋は何もなかった。正確に言うとおもちゃはたくさんあるが推しのグッズが一つもなかった。この部屋はまるで…
(子供部屋…?え…ここ何…へけぇ????)
状況をよく理解していない私はとりあえずベッドから起きようとした。
(ん…?なにこの小さい手…なにこの髪の毛…へ???)
私は急いで鏡を探して自分の姿を見た。そこに写っていたのはオレンジ色の髪に青色の瞳を持つ少女。
(??????????????????)
「え…へ…?誰?…は???」
(これって…最近よくテレビに出てくる異世界転生モノ??…あれってフィクションじゃないの??)
私は完全にパニックになっていた。
鏡の前に写っているのは完全に私じゃない誰か。
「マジ??もう〜っ…誰だよ?!!?!!」
「紗綾〜?起きたのぉ〜?」
下から声が聞こえた。
「へ?!?!えっと…えっと…?!?!どうすれば良いの?!?!?」
階段を登ってくる音がする。私はとりあえず布団の中に潜った。
部屋に女の人が入ってきた。おそらくこの子の母親だろう。
「紗綾ぁ…?あら…まだ体調良くならない?どうしましょう…3日後には小学校の入学式なのに…もう一回病院行く?」
「えっと…あの…その…」
「どうしたの…どこか痛いとこある?」
「いや…えっと…」
(どうすれば良いのでしょうか…今の状況を理解していないし…私が誰なのかもわからないし…正直に言うしかないよね…??)
「えっと…どちら様ですか…?」
「…………。」
「…………えっと…あのぉ〜?」
沈黙が流れた次の瞬間…
「あなたぁ”!!ちょっと来て!!」
「え?!?!」
「紗綾!!今すぐに病院に行くわよ!!ほら行くわよ!あなた!!車出して!!!」
そう言うとお母さんらしき人は焦りながら準備をした。お父さんらしき人も急いで車を出し私を病院へ連れて行った。
「先生…うちの子…記憶がないみたいなんですが…治るのでしょうか??3日後には小学校の入学式が控えているのですが…。」
「そうですね…おそらく高熱により脳に異常が発生し記憶に障害が出たのかもしれません。一応検査したところ脳に損傷はなかったのでしばらく様子を見るしかないですね。症状が出る可能性があるので鎮痛剤を出しておきます。」
「そうですか…。」
「色々思い出せるように事あるごとに説明を加えてみてください。ですがあまり無理に思い出させないでください。」
「分かりました…。」
(脳に異常は見つかるはずがない…。なぜって?いたって健康状態だからだよっ☆無駄に心配させてしまった…申し訳ない…とりあえず家に帰ったら状況を整理しよう…!)
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家に帰宅後、お母さんらしき人とお父さんらしき人は自己紹介をし始めた。
「紗綾…よく聞いて?私の名前は新島吉江。紗綾の母親よ。」
「俺は新島拓真。お前の父親だ。分かるか?」
「えっと…思い出せないですけど…分かりました。」
「そうか…。」
(思い出すも何も私は紗綾?じゃないから分からないのであ〜る…。)
「貴方のことも教えるわね。貴方の名前は新島紗綾。誕生日は6月25日で今は6歳よ。」
「そうなんですね…。」
(何も分からない…誰だよ…?!?)
「とりあえず休ませよう…。」
「そうね…。紗綾…ベッドに横になりなさい。あまり脳を使わない方がいいわ。ゆっくりでいいの…無理に思い出さなくて良いわ。お医者さんも言ってたしね。」
「あ…それと敬語もやめろ…家族なんだから…。」
「分かった…。」
その後自分の部屋に戻り今の状況をノートに整理した。
「何から整理しよ…。」
まず私は階段を踏み外し、頭から落ちて即死した。
まじで無念…。そして新島紗綾という少女に転生(?)した。
しかも紗綾の記憶がない状態で…。
「あんまり情報がない…どうしようかな…とりあえず数日間過ごしてみよう。確か私…小学校に入学するんだよね…3日後に…。…もう一回小学生を体験するのか…まじか…。」
(いや、待てよ…前世での私は高校生…高校生の知識をフル活用したら…天才小学生の出来上がり???)
「ぐふふふふ……ラッキ〜!天才小学生かぁ…誰もが一度は憧れるよねぇ〜ウフフ!!」
とりあえず私は小学校に入学してから色々考えることにした。
「情報が少ないしね…今世は何しようかなぁ〜…前世はオタク…今世はアイドルにでもなる??(笑)」
そんな呑気なことを考えながら3日が過ぎ...入学式の日になった。