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キーロと プクリンの しあわせの じかん

作者: やまくま

数年前に書いてお蔵入りになっていた作品。せっかくなので投稿します。

 あるひのことです。

 キツネの キーロと ブタの プクリンは、 プクリンの いえで おえかきを していました。


「あーあ、スイカ たべたかったなあ」


 キーロが、 ためいきをつきました。


「スイカって?」


 プクリンが、 きょとんとした かおを しています。


「えっ? プクリン、 スイカ しらないの?」


「うん、しらない」


 プクリンは めを ぱちぱち。

 キーロは めを まるくしました。


「これだよ、 これ」


 キーロは、 じぶんが かいた スイカの えを みせました。


「あまくて とっても おいしいんだ。 ことしの なつ、 たべられなかったんだ。 だから いまは ふこうな きぶんなんだ」


 キーロは、がっくりと うなだれました。


「ふうん。 それじゃ いまから たべれば いいじゃないか。 おかしやさんに うってるかも しれないよ」


 まったく のんきな プクリンです。

 キーロは、 また ためいきを つきました。


「むりだよ。 だって いまは あきだろ。スイカは なつの たべものなんだ。 だから らいねんの なつまで たべられないんだ」


「えーっ!?」


 プクリンは、 おもわず おおきな こえを だしてしまいました。


「それじゃ キーロは らいねんの なつまで ずっと ふこうだってこと?」


「……うん……」


 キーロは、 あおむけに ねころがりました。

 プクリンは、 かんがえました。 もし、 らいねんの なつまで チョコレートが たべられなかったら……。

 チョコレートが すきな プクリンは ぞっとしました。


「たいへんだ!」


 あわてて だいどころに いった プクリンは、 いそいで れいぞうこを あけました。

 ちいさな チョコレートが ふくろに はいっているのをみて、 ほっと あんしんしました。


「ねえ、 キーロは チョコレートすき? これ あげるよ。 ぼく、 チョコレートを たべると とっても しあわせなんだ。 きっと キーロも チョコレートを たべたら しあわせに なれると おもうよ。 だから らいねんの なつまで これで がまんしてよ」


 プクリンは、 キーロに チョコレートを さしだしました。

 キーロは にこっと わらうと、 ポイっと チョコレートを くちのなかに ほおりこみました。


「どう? しあわせになった?」


「うん。なった」


 ふたりは わらいました。


「ぼくも スイカ たべてみたいなあ。 だって しあわせが もういっこ ふえるもの。 はやく なつに ならないかなあ」


 プクリンは、 ぺろっと くちの まわりを なめました。

 それをみた キーロも、 ぺろっと くちの まわりを なめました。

 ふたりは かたを すくめて わらい、 おえかきの つづきを はじめるのでした。


 おしまい

 

 

 


   


読んでくれてありがとう。

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