子孫ちゃん、二人目の主従契約
「がしゃ…君は墨礼を探してるんだろう?」
「うん!そうだよ、すみれはこんど会ったら遊ぼうって!それまではかくれんぼだって言ってくれたの!じかんかかっちゃったけど見つけたんだからがしゃの勝ちだよね!」
「…いや、君の負けだよ。」
「?だってすみれを見つけたんだからがしゃの勝ちでしょ。」
緊張をほぐすように息を吸って吐く。
そうして落ち着きを取り戻した私はついに真実を話し始めた。
「私は墨礼じゃない、その子孫なんだ。人間は何百年もかくれんばはできないんだよ。」
「…嘘だ。だって墨礼はかくれんぼしよっていったんだよ?かくれんぼはどちらかが見つかるまでがかくれんぼなんだよ?」
サンタクロースの真実を知った子供のように真実に気が付きたくないと駄々をこねるように頭を左右に振って目をつぶる。
痛々しくて本当のことを言った事すら後悔し始めた頃、この雰囲気をぶち壊す存在が口を開く。
「良い歳のくせにみっともない。墨礼は死んだんですよ、過去を見るんじゃなくて今を見てはどう?」
お前が言うか。
同じ状況だった時に散々泣き喚いた奴が何言ってんだと死んだ目をして御影を見る。
その目線に気が付いたのかハッと顔を赤くしてごほんと話を変えた。
「私はもう御主人様を得て未来を見ている狐ですから!貴女とは違うんですよーだ!」
「…散々泣き喚いたくせに。」
「しー、御主人様しー!」
「なら…がしゃもおねえちゃんを御主人様に、する!!」
「「は?」」
「えーーーい!!」
どっすーーん!
人間の姿に戻ったがしゃにいきなり押し倒され首に勢いよくがぶりと噛まれる。
い゛、と痛みに呻く。すると思わず力が入ったことに気が付いたのか子猫のようにペロペロと舐め始めた。
「ご、ごめんね。いたい?」
「大丈夫だよ…、でも同意なしに主従契約なんて本当は駄目だからね。それを理解するように。主従契約は簡単に解除できないんだから。」
そう、それが御影との主従契約を結んでいる理由だ。
同意があろうがなかろうが一旦主従契約を結んでしまうと簡単には破棄ができないのだ。
それができるのがどちらかが死んだときか結んだ方から破棄するかどちらかというされた側には理不尽そのものな契約だからだ。
それをコンコンと説明する横でじとーっとした目線が突き刺さる。
まぁいつも変わらず無視一択だけれども。
「(御主人様、私がしたときはゴミでも見るかのような目を向けていただけだったのにがしゃにだけやさしくありません!?う、羨ましいーー!!)」
がしゃゲットだぜ!(ポ○モン風)