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Lv2から始めるビルディング生活  作者: ジョージ
4/14

4:旅立ちの前に



「あっ。これ言っちゃいけないことだった?」


意外だった。エマが俺とよく出かけるのは、単に優しいからだと思っていた。まさか、俺のことが好きだっただなんて。

でもそんなこと聞いたら、なおさら行きづらくなる。


「とりあえずよろしくね」


エマの母親は、主人のやつ入るかしらと勝手に寝巻きの準備をし、タオルとともに「はいっ」とがんば。みたいな雰囲気で渡してきた。


絶対怒られるだろ。と思いつつも、俺の事が好きなら大丈夫だろうし、さらに母親から直接言われたのだからと、母公認の肩書きを胸に、裸になり風呂に入る。


「ひゃっ。アレク君!なにしてるの?」


顔に桶が当たる。残念ながらエマは、湯船につかってる状態だった。

豊満な胸がたぷたぷと浮き輪のように浮かんでいる。


「アレク君。せめて隠してよー」


「あっわり」


息子が反応する前に、俺は腰にタオルを巻いた。


「てか、なんで来たのよ。デリカシーってものがないの?」


「お前の母ちゃんが一緒に入ったら?って言って来たし。それに」


俺の事が好きなんだろ?なんてきざな事は言えない。りんごスキルの性で、恋愛経験はゼロ。いや下手したらマイナスだ。


「それななに?」


「小さな頃。一緒に入ってただろ?」


「ちっ小さい頃って、何歳の時よ。今お互いにいろいろと成長したし」


「たしかに、成長したな」


エマの実りをじーっと見る。視線に気づいたエマが顔を赤らめながら氷の壁を作った。


「アレク君は、いま急成長しただけでしょー。アレク君って意外とスケベなのね」


「しかたないだろ。まともな男でも見ちゃうぞ」


「普通の男の人は、風呂には入ってません。私たち、まだ恋人じゃないんだから」


「恋人かー。たしかに。悪かったな。目瞑ってるから、出てくれ。お母さんが、配膳を手伝って欲しいみたいだぞ」


「あっありがとう。でも大丈夫。目を開けても」


エマが湯船から上がる。いつしか氷の壁が無くなっていた。

顔を上げると、氷のドレスがエマを包み込んでいた。


「これなら恥ずかしくないよ。じっと見ていいよ」


思わず可愛いと出そうになったがなんと胸の中に押し込んだ。


エマは俺の反応を見て、少し笑うと風呂を後にした。


風呂がいつもより長くなったことはさておき、風呂から上がると豪勢な料理が出迎えてくれた。肉、魚、野菜とどれも新鮮で手の込んだものばかりだ。


「アレク君。いっぱい食べてちょうだーい」


「いただきます」


お言葉に甘えて俺はむしゃむしゃとご飯を食べた。


「アレク君って、少食のイメージだけど、結構食べるんだね?意外」


りんごをいつも食べているせいなのか、みなから食が細いと言われている。不思議なのは、りんごばかり食べているのに栄養失調になったことはない。さらにりんごは健康にいいようで、風邪が流行った際に俺以外の家族が風邪になったときは、ざまあと思ったりしていた。


「アレク君。そんなに急いで食べるとつまっちゃうよ?」


「大丈夫。大丈夫」


こんなまともな飯は初めてだ。いつも残飯のようなものを食べていた。細かく言えば、いつも回ってくるのはバランの食べ残し。元々食べ方が汚い上に、魚や目玉を残すなど陰湿な嫌がらせをしてくるものもあり、カレー意外はりんごで澄ませていた。


「うっ‥‥」


肉、魚、野菜の全てを一気に食べようとしたのが悪かったみたいだな、盛大にフラグを立てた後、喉を詰まらせた。


「アレク君大丈夫?」


とんとんと背中を叩きエマが介抱をしてくれる。


「アレク君。ゆっくり食べてね。味が混ざって。ママのおいしい料理が台無しになっちゃうよ」


俺はコップを一気飲み込み、親指を立てて


「混ざってても、おいしいです!」


と爽やかに言った。


「あらま。アレク君、おかわりする?」


「はい。ありがとうございます」


おわんを渡すとほかほかの米が補充された。


「エマも食べなさい。冷めない内にね」


「はーい」


エマはやはりお行儀がいい。箸の使い方や。魚のほぐし方、スープの飲み方どれをとっても上品だ。


「アレク君。エマと冒険に出た時は、よろしくね」


「はい。エマに、逆にお世話になると思いますが。俺、りんごスキルなので」


自虐のつもりだったが、嫌味っぽく聞こえしまったのか、エマ母の表情が一瞬固まったきがした。


「りんごスキルね。いいんじゃない?エマ、アレク君のりんごが好きだよね?」


「うん。アレク君のりんごは世界一」


「ならいいわよ気にしなくて、私はこの子が笑顔になってくれればいいわよ。エマを幸せにしてね」


正直ほっとした。エマ母に反対されたらどうしよう。そう思っていたからだ。


それからエマ母の昔の話をよく聞いた。





閲覧ありがとうございました。

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毎日 12:00に更新します。

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