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Lv2から始めるビルディング生活  作者: ジョージ
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10:迷宮ダンジョンその4

モンスターはあれから何体か現れた。最初は時間がかかっていた戦闘も、レベルが上がったことによりかなり短縮された。ソニックもエマも二回攻撃するだけでモンスターを倒すことができる。


「冒険者って、案外暇なんだね」


次にモンスターが出てくるのは、30分後だ。


「モンスターを倒しまくって、発動するギミックでもなさそうだな」


俺は目を瞑り雑誌のページを脳内でめくる。


「あいつはなにを、やってるんた?」


「ああ。アレク君は、一度みた物を写真のようにみることができるの」


「えー。なにその能力。すごっ。ていうか、アレクにはもったいない能力なんじゃない?めんどくさがり屋だし」


「だめだ。このダンジョンに関しては書いてないなー。あと言っておくが、めんどくさがりだからこそこの能力が生きるんだぞ」


「なにを、わけのわからんことを‥‥」


「ちょっと静かにしててくれないか?」


普通に言ったつもりだったが、なぜかソニックが反ベソをかきながら過剰に反応した。


「おっおしゃぶりだけはー!!!」


どうやら幼心にとんでもないトラウマを押し付けてしまったらしい。まあこれくらいがちょうどいいだろう。邪魔はいなくなった、雑誌の中を探索するとしよう。


「うーん。やっぱりない。どうしようか」


「この前みた本は、結構昔のやつだから今の状態に対応してないかも」


ダンジョンは生き物のように姿を変えることがある。モンスターや人間と同じように世界に合わせて変形していく。ギミックや広さ、モンスターまでも昔とガラリと変わることもある。ついこの前役所辺りを歩いている時に聞いた話によると、初級ダンジョンに中級モンスターが現れてくることもあるらしい。


「どうする?街の本屋にでも行ってかは出直す?」


「でもダンジョンから抜けたら獲得したお金半分になっちゃうけど、足りるかな?」


大体ダンジョンの攻略本は、一冊1000G。これを一冊あれば初級ダンジョンはクリアできるが、一体モンスターを倒すと大体30G手に入れることがある。まだそうモンスターは倒してないから、もう少し頑張る必要がある。まあ、ダンジョンをクリアできればいいのだが。エマもソニックも停滞したこの状況に士気を落としている。


「うーん。やっぱり時間が多少かかっても、ダンジョンを攻略する必要があるな」


「そうだよねー。でもどうしよう。さすがに、ダンジョンの中に何日もいるのは厳しそうだよね。定期的にモンスターも出てくるし、落ち落ちしてられないよー」


「なんかないのかー。全部覚えられるんだろー」


ソニックが、たいくつそうに頭の上に乗ってきた。


「おい。勝手に乗るなよー。それに、雑誌に載ってなかったんがら仕方ないだろー」


「あっははは。お前あれだな、応用ができないやつだな?いるんだよなー。そういうやつが」 


「それじゃあ、その応用力を見せてやろうか?」


俺はソニックを引き離そうと両手をつかむ。


「ちょっ。また暴力か?虐待だ!虐待!虐待反対!虐待反対!」


「お騒がしいところすみません」


後ろからひどく冷めた声がする。

振り向くとそこには、小太りの小さな男がいた。頭はツルツルで、オシャレには気を遣っているようだが、お世辞でもかっこいいとは言えない。ぽりぼりとない髪をかきながらこちらを見つめている。しいてほめるところがあるといえば、頭に刻まれている髑髏の刺青だ。


「お前。何者だ」


ひょいと俺の頭から降りたソニックが、短剣を出し目を細める。


「ひっ。怪しいもんじゃねえよ!」


男は小さい体をさらに小さく丸め蹲ると、プルプルと震え始めた。


「なんのようだ?俺達さっきからここにいたが、他の冒険者が来る様子はなかったぞ?まさか、どこかに隠れていたのか?」


「隠れていたわけじゃなくて、本当についさっききたばかりで」


「おかしいな。ならなんで、口の周りにりんごの食べかすがついているんだ?」


「ちがうっ。これは、朝食べてきただけで決してお前が作ったりんごを食べたわけではない‥‥あっ」


語るに落ちたと気づいた男は、ぽかーんと口を開けた。


「語るに落ちたな」


エマはつららを生成させ、ソニックは軸足に力を入れ攻撃耐性に入る。


「違う。あれは、ただお腹がすいていただけだ。本当だ!!」


男が情けない声を出す。


「ならなんで、朝食べたとさっき嘘ついた」


男の表情から動揺がとって伺える。


「そっそれは‥‥」


なにか周りのものから、ヒントを得ようとしているのか男がキョロキョロし始める。


「お前、わかりやすいやつだな。さては、なにか企んでいるな?」


「ぎくっ!」


ベタなリアクション。


「俺の能力をみたなか?」


「ギクギクッ!」


「悪いが、能力を見た人間は生かしてはおけない」


「ひっ!。お許しください」


「動いたら切る」


土下座をしようとした男にソニックが冷たく忠告する。


「ひっ!ということは、殺されるということでしょうか?」


「アレク君!殺すのはさすがに‥‥」


「いや‥‥でも」


エマはつららを納め心配そうな顔を見せる。たしかに俺は人殺しが出来ない。それにエマは俺より優しい。だが、能力を知られた以上今後の事を考えると生かしておくわけにはいかない。


「よそ見をするなっ」


ソニックの声が前方からする。男の方を見ると短剣は既に男の喉仏を捉えていた。


「なるほど。アレクって名前を言うんだね」


焦げた匂いがする。熱いなにかが頭上を彷徨っている。それは、メラメラと音を立てて光を放ち始めた。


「貴様。なにをしている。それ以上妙な真似をしたらきるぞ!」


「君子供でしょー。人殺したことあるわけ?」


急に男の喋りが流暢になる。


「くっら、黙れ!殺ぞ!」


「君さー。あんまり大人を舐めると痛い目見るよー?」


男はニヤリと歯並びの悪い歯を見せながら、囁いた。


「俺は。人を殺したことあるよ。くすくす」


「くさっ‥‥こいつ、口くせえ」


「いまなんて言った?ああん!」


男が急に発狂し、ソニックを投げ飛ばした。


「あまり俺を舐めるなー!!みんなそうだ!俺がこういう見てくれだから馬鹿にしやがって!殺すつもりはないが!死ねええ!」


上で膨張し続けていたそれが降り注ぐ。


「あっあつい‥‥」 

 

エマが氷で止めようとするが、氷はそれに当たると蒸発してしまう。


太陽弾(サンズボール) !」


圧倒的な質量を感じる。身体中の水分が熱に反応して、震えるのがわかる。


「黒焦げになってしねえええええ!」


男が作り出したそれは、まるで太陽が沈むように静かに降り注いだ。







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