表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

前編

   

 行きたくもない進学塾からの帰り道。

 急げば見たいテレビに間に合うと思って、通い慣れた裏通りを、僕は足早に歩いていた。

 住宅街の狭い道路だが、一応は車も通れる広さだ。小さい頃によく遊んだ公園も、すぐ横にあって……。

 ふと見れば、小さな女の子が一人、公園のブランコにポツンと腰掛けていた。


 一年生か二年生くらいだろうか。おかっぱ頭で、白いシャツに赤いスカート。まるで小学校の怪談に出てきそうな格好であり、夜の街灯に照らされた姿は、いっそう不気味に感じる。でもその不気味さよりも、寂しげな雰囲気の方が妙に気になってしまった。

「こんな遅くに……」

 夕方までは近所の子供で賑わう公園だが、もう誰もいない時間帯だ。この女の子は、どうして家に帰らないのだろう? お父さんかお母さんと待ち合わせでもしているのだろうか?

 見知らぬ子供に関わっていられるほど、僕も暇ではないのだが……。「高学年はお兄さんお姉さんなのだから、低学年の面倒を見るように」というのは、小学校で何度も言われていた。それに従って、僕は公園に足を向けて、声をかけてみる。

「そこのキミ! どうしたの? 迷子かい?」

 うつむいていた少女は顔を上げ、じっと僕の目を見つめる。

 歳が離れているとはいえ、相手は女の子だ。ちょっと恥ずかしい。

 そう感じていると、彼女は口を開いた。

「あと5分なの」

   

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ