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異世界の常識破壊者【オーバーブレイカー】  作者: しまらぎ
四章 〜聖龍と最後で最初の日々〜
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『ラストデイズ 5』

 目の前に聳え立つ山。ここを越えたら聖域に辿り着く。


 歩くスピードが上がったからか、思ったよりも少し早く着いてしまったのだ。だが、まだ最後の難関が残っている。それがこの山越えだった。


「うっひゃー、こんな山を登るの⁉︎」


 変な声を上げているのはリッタだ。いかにも山登りには慣れていなそうな振る舞いだった。

 よくよく考えれば彼女は町から出たことがないのか……。それはしょうがないな。


 僕はというと、過去に何度か山登りはした事があった。だから慣れていると言えば慣れているのだが……急すぎやしないかい? 傾斜いくつよ? どっかの国の有名な坂のようになってるし。


 千段階段をずっと長く繋げたような長さの坂に道があり、その両側には木々が生い茂っていた。


「ボクも何度ここを往復させられたか……。ここら辺は結界のせいで魔法が使えないから歩かなくちゃいけないんだよ」

「なるほど。そのせいで多くの被害者が出てる訳か……」


 ルナが大きなため息をつきながら言う。何故だろう? 彼女の気持ちがすごく伝わってくる。

 頭の中で容易に想像できたその姿は、酷く辛そうで、文句たらたらのルナだ。ため息をつく理由がよく分かる映像だった。



「とにかく! ここを越えなきゃ辿り着かないし、てっぺんまで行ったらすぐだから!」

「うん、それもそうだ。さっさと登っちゃおう!」

「うへぇ……」

「少し辛いのです……」


 元気っ子二人もこれには肩を落としている。


 


 二時間くらい歩いたかな? 山頂に到達した僕らは、地べたに寝転んで休んでいた。


「やっと登ったー」

「道は長かったのです」

「もう歩きたくない……」


 達成感があるのかないのか……ただ辛いだけだったようにも感じるが、これで聖龍に会えると思うと少し気が楽になる。


 山頂は少し平らな地が広がり、中央に如何にも不自然な大岩があった。大岩には大きく魔法陣が彫られていて、多少の魔力も感じる。


 リッタとゆぅはまだ寝転んだままだが、僕とルナは大岩に向かって歩く。目の前まで来たところでルナが話しだした。


「この岩がゲートになっているんだ。魔法陣に魔力を流し込むと聖域に繋がるっていう仕組みさ」

「またありがちな仕組みだけど、これじゃあ誰でも入れちゃうんじゃない?」

「まあまあそこは実力だよ! 一定量以上の魔力を流し込まなきゃゲートが開くことはないよ」


 そう言って彼女は大岩に自らの手を当てる。どうやら魔力を流し込んでいるようだ。


 やがて魔法陣が光りだし、地面にも大きな魔法陣が光で描かれていった。

 

「これで向こうには繋がった」

「じゃあやっと会えるんだね!」

「うん!」


 僕は二人を起こし、再び大岩の魔法陣の前に立つ。


「それじゃ、行こう!」


 魔法陣の光が大岩全体を包んだ瞬間、大岩そのものがゲートと化した。


 ドキドキやワクワク、僕らは各々いろんな感情を持ってゲートをくぐるのだった。

この話は次話で終わりとなります。

ただ、第一部と言う予定ではあるので、日が過ぎた後に続きを投稿するかもしれません。

ですが、一度完結済みにさせていただきます。

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