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異世界の常識破壊者【オーバーブレイカー】  作者: しまらぎ
四章 〜聖龍と最後で最初の日々〜
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『ラストデイズ 2』

 あれからというもの、結局僕はリッタとゆぅには話しをせずに、聖域への道を歩いていた。


 ルナは君がしたいようにすると良いって言ってくれた。いつか耐えられなくなった時にでも話せばいいと。

 そもそも、研究者のルナにとっては重要な話だったけど、後の二人にとってそんなことはどうでもいいらしい。


 まぁ何はともあれ彼女のおかげでいろいろと吹っ切る事が出来た。自分の良き理解者として、ずっと側にいてほしいと心から願う。


「ありがとう、ルナ。君のおかげで随分と楽になったよ」

「ボクはせめて愛人に昇格できるように君の為に動いただけだよ」

「ハハ、愛人ね、愛人……」

「ホントなら君の一番になりたいけどね」


 ルナはそっと耳元で囁いた。いつもふざけている彼女が急にそんな事を言うから、僕は耳まで真っ赤になってしまった。


 実は昨日からルナのアピールが強くなってきている。彼女も彼女で初めて自分の想いを真面目に伝えたから、今まで抑えていたものが吹っ切れたらしい。

 嬉しい反面対応に困るんだよな……。


 人から好意を向けられた事なんて何もない僕にとって、ルナのアピールは、核爆弾のようなものだ。破壊力が強すぎる。


 真っ赤な顔をそっぽに向けて、彼女から視線を外して言う。


「頼むからそういうのはよしてくれ。似たような子があと二人もいるんだ。ルナまでそっち側に行っちゃったらもう終わりだよ……」

「ボクとも一緒に寝てくれるんならかんがえようかな」

「……終わりだね。うん、終わりだ」

「じょ、冗談って訳でもないけど、半分くらいは冗談だからー!」


 リッタとゆぅの目の前で、堂々とイチャイチャしようとしてくるのが、ルナの一番困るところだ。

 今日はずっとそんなもんだから、僕の後ろでリッタがむくれていた。


「もう! なんで心葉とルナの距離がそんなに縮まってるの!」

「愛人特権だよ」

「じゃあ私も愛人になる!」

「ちょ、何言って……」

「そしたらボクは正妻に昇格だね!」


 うーん……途中に阿保の子がいたような……。会話全体が阿保かもな。


「ゆぅはこういうのには参加しないんだね」


 意外にもゆぅは会話に参加していなかった。不思議に思って聞いてみる。


「当然なのです! コノハとわたしはパートナーなのですから。正妻がいようと愛人がいようと関係ありません。何があってもコノハと一緒なのです」

「なんだか複雑だけど、ありがとう」


 なんだかんだ言ってゆぅだって同じなんだと、彼女の言葉で実感する。


 そうして、ゆぅが僕の右腕に抱きつき、リッタがそれを真似して両腕を塞がれる。おまけに後ろからはルナだ。


 嬉しいような違うような……複雑な気持ちで聖域までの道を歩き続けるのだった。





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