『真っ白な少女』
無論考えても無駄なわけで、結局二人に付き合って服を見てみることにした。数百着とある服はフリフリしたのが付いてたり、ゆぅの着ているワンピースのようなスラーっとしたものまで沢山ある。
「今までのイメージってのがあるからなぁ。僕にはやっぱり選びづらいよ。せめて二人の好きな色とかが分かれば」
「私はピンク!」
「わたしは白なのです」
そう元気よく答えてくれるのはいいけど、それって今とほとんど変わってないんだよね。
「とにかく何か選んでみてよ!」
「コノハの選んでくれたものなら何でも着るのです!」
そうせがまれてどうしようもなく、店内をグルッとまわってパッと目に付いたピンクの服を取ってみる。いかにもリッタに似合いそうな服だけど、思った通り今とは変わらない。何の変哲もない、ただのピンク。
少なくとも僕にはそんな風に見える。
だが、リッタは違うようだ。
「その服! 可愛い!」
「えっと……とりあえず目に付いたのを持ってきたんだけど……」
「私それにするよ! 今のよりも断然可愛いもん! それにポッケだって付いてるし」
「……君がそう言うならいいんじゃないかな」
あれ? 僕って意外とセンスあんのかな? なんて思ってしまうぐらいの食いつきだった。もう一度言うけど僕には同じに見える。
ま、リッタが良いならいいんだよ、きっと。
「それじゃあ次はゆぅのだね。ゆぅは白い服が良いんだよね? 僕もそれが良いと思うよ。とっても白が似合ってるから」
「えへへ……ありがとうございます//」
「でも今と全く同じじゃよくないよね。少し探してみよっか」
そう言って僕が向かったのは小さな服がたくさんあるエリア。子供服のところかな。
「なぜわたしは子供服を見ているのでしょう……」
「ハハ、あまり気にしなくてもいいんじゃないかな。ほら、僕だって小さい子の方が……じゃなくてゆぅみたいな子の方が……」
「なにも弁解になっていないのです‼︎ どうせわたしは子供服なのです」
「そ、そんな事よりさ! これなんてどう? 白くてキラキラしててゆぅにぴったりだと思うんだけど」
僕が持っているのは小さく雪のように白い服だ。このタイプの服をなんと言うのか分からないけど、シルクのような素材で、薄くヒラヒラとしている。ワンピースと似ていて上下がくっついている。どう見ても子供服なのはしょうがないけど、それでも清楚な雰囲気がゆぅの見た目にマッチして、より白く可愛い印象を与えられる。
彼女のぷっくり膨れていたほっぺたも、鏡に映る自分を見て笑顔へと変わっていった。
「より白くなったのです! 可愛くなりました」
「うん! よく似合ってるよ」
「わぁー、ゆぅが真っ白だ!」
どうやら白けりゃ白いほどいいっぽいな。子供服でもこんなに喜んでくれるならいいか。
さて、この二着を買うとして、僕もそろそろ自分の服を選ばないとな。確かさっきの大通りをあともう少し行ったところに魔法道具の店があったし、そこで服もなんとかなるだろう。




