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異世界の常識破壊者【オーバーブレイカー】  作者: しまらぎ
三章 〜王都とクエストギルド〜
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『謎の波動と励ましの中で』

 

「さ、もう帰ろっか」

「はい、そうですね。もう帰りましょう」

「回収回収っと!」


 魔法も収めて、三人でアクアウルフを回収する。今回は僕が一番ダメだったな。闇雲に破壊はするし、自分について行けずに敵にやられるし。何もいい事してないよな。


 何故剣を振る事が不安だったんだろうか。レッドウルフやブレイズウルフの時だって出来ていたのに。

 なんであの時にあんな事を考えちゃったんだろう。


 まるで時間が止まったようだった。五つ目の水弾を斬った直後、剣を握る右手から変な波動を感じたような気がした。少し悪寒がして、周りがすべて停止する。意識が現実に強制送還された感じだ。剣を握っているとき、振っている時、僕はゾーンに入っている。覚醒状態かな。そこから現実に引き戻された。

 目の前に迫った水弾を見て、焦ったんだろう。命の危機を感じた。そしてすぐにこんな事を考えてしまったんだ。


 『僕にこんな力があるはずない』


 考えなければあのまま勝てていた。

 どんなに魔族を倒したと言っても、ブレイズウルフを倒したと言っても、未だに僕が僕自身に勝ててない。

 あの時右手に感じた、言わば僕を現実に引き戻したあの波動はなんだったのか。そんな疑問も存在するけれど、それがどうであれ心が負けてる。

 こんなんじゃこれ以上強くなんてなれないよな。


 回収作業をしながら自分を責めていた僕に、リッタが声をかけた。


「心葉、ありがとうね。心葉の魔法のおかげで勝てたんだよ! 今日も、この前の魔族も!」


 優しい笑顔は僕を励ましてくれる。気を遣ってくれてるんだよな。


「コノハはわたしの英雄なのです! 一度や二度の失敗でそんな顔をしてはダメなのです! リッタなんか水属性の相手に火属性を使っているのですよ!」

「もう! それは言わないでよ!」

「リッタがお間抜けさんなのです!」

「うぅ……反論できないよぉ」


「ふふ、二人を見てたら少し安心した。僕も次からはもっとちゃんと二人を守れるように頑張るよ」

「頑張るのは心葉だけじゃないよ」

「わたしたちも一緒に頑張るのです!」

「ああ、そうだね! 一緒に頑張ろう!」


 二人の会話を聞いていたら、思わず笑ってしまった。

 そうだよな、忘れちゃいけない事だけど、何も一度の失敗を深く考えちゃいけないよな。魔族を倒したことがプレッシャーにでもなってたんだろう。

 もっと強くなれるように努力していけばいいんだよな!

 なにも僕はそんなに強い訳じゃないのだから。

 これからみんなで頑張ろう!



 僕、もっと強くなりたいな!

 もっと魔法の勉強をして、もっと剣の練習をして、いつか聖龍の元にたどり着くために。

 二人の前に、二人の横に堂々と立っていられるように。


「さぁ、行こう!」

「うん!」

「はい!」


 笑顔で振り返り、飛びっきりの笑顔を見せてくれる二人と一緒に王都への帰路に着く。

 この笑顔を絶対に守り抜かなきゃいけないと再認識する僕だった。

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