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異世界の常識破壊者【オーバーブレイカー】  作者: しまらぎ
三章 〜王都とクエストギルド〜
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『初めての武器選び』

 

 あれから超特急で準備を済ませて宿を出てきた。そして今僕らは初めてここに来た時に通った大通りにいる。


 相変わらずここは人で賑わってるなぁ。うるさいと感じる事もなく、静けさを感じる事もない。ちょうど良い賑わいだ。なんとなしか心が和む。が、そんなことはつゆ知らず、ゆぅがひたすらに興奮して騒いでいる。まぁこれも和むと言えば和むのかもしれないが……。


「やっぱりここはすごいです! 見てください! エレフルの頭ですよ! あ! あそこには綺麗な服が並んでるのです!」

「ちょいちょい、落ち着いてって……。まだまだ時間はあるんだから」

「あー! あっちには美味しそうな木の実があるのです!」

「少しは僕の話を……」

「心葉! あれって何のモンスターかなぁ? 大っきいねー!」


 なんだかんだでリッタも楽しそうだ。でも僕の記憶の中だと、この2人がここまでテンションマックスだとろくなことが起こりそうにないんだが……。へんなモンスターが出てきたりとか、へんな人に絡まれたりとか……。口に出してフラグを立てるよりはマシか。もう十分立ってる気もするし。

 何か起こったらその時に考えよう! うん、そうしよう!


 ちなみにだが、エレフルとは象のような魔物だ。牙がかっこよく置物として売られている。ゆぅはそれに感心なようだ。

 和みを感じるなか、不安も募りつつあった。

 でも楽しみなのは僕もいっしょだ。買い物なんて久しぶりだからな。いちいち不安なんか気にしてられるかってんだ! さあて、今日はいっぱい買うぞ!



「それじゃあまずは君たちの武器から探そっか」

「武器……‼︎ わたしは弓を所望します!」

「私は……私は心葉が選んでくれるのなら何でもいいよ! でも杖を使ってみたいな」


「あのねぇ2人とも……自分に合うのを探さなきゃ……。君らの身を守る為のものなんだからさぁ。もっと真剣に選んでよ?」


 リッタもゆぅもあまりちゃんと考えてなさそうで少し不安になるよ。いや、ここは2人に任せちゃいけないんじゃないか? いっそのこと僕が選んだ方が良くなる可能性が……。

 なんて考えてもしょうがないし、さっさと行くか!


 そうして僕らが向かったのは、王都一と噂される武器屋『アイアン』だ。

 この店の良いところは品揃えが豊富というところ。ラナリオンのような剣もあれば、ごっついおっさんのもってるようなハンマーとか、レイピアにモーニングスター、薙刀やメイスなどいろんな武器が置いてある。その中には魔法がかかっているものも多く、僕の見た中で一番凄いと感じたのは相手を斬るとその相手の体力を少し奪って回復出来るという剣だった。


 ほぼゲームだよね、この武器屋……。某RPGの武器屋を思い出すよ。その場でトンテンカンテン打って武器を作るんだよね。それも5秒くらいで。

 まぁゲームにいちいち物理法則を当てはめてたら面白くなくなっちゃうけども。やっぱり考えちゃうかな……。


 その剣のお値段はと言うと、おおよその日本円に換算して500万円ほどだ。この世界の通貨は金貨や銀貨だけど……正直言って高いのか安いのかが全くわからない。

 どのみち買うことはないだろうけどね。


 さて、この中から探さなきゃいけないのか……。図書館の時といい、今回といい何かを探すのって気が遠くなる。それでも今回は2人とも欲しいものがだいたい決まっていたし、その武器は僕にだって分かるから楽ではあるんだけど……それでもしんどいもんはしんどいよ。


「2人とも、欲しい武器は見つかった? たしか……ゆぅは弓でリッタは杖だっけ?」

「そうそう! 杖を使って魔法を使うの!」

「わたしは遠距離攻撃をします! あと木の実を落とします‼︎」

「それが本心か……」


 ゆぅの本心はさて置いて、剣と弓と杖……まぁバランスはとれてるよね。僕は魔法も素手で多用するだろうし、剣を媒介にだって出来るだろ。そんな使い方してる人なんていないらしいけど、アニメの中じゃよくある話だ。無い物なんて僕が作ればいいさ。

 剣と魔法と弓と魔法、これならこれからの戦いも安心出来る!



 まずはゆぅの弓から探してみようかな。リッタよりはデザインとか気にしてなさそうだし。

 お、あれなんていいんじゃないか?

 弓コーナーを物色していると、ゆぅの体格に合ったちょうど良さそうな弓を発見する。


「ゆぅ、弓ならこれなんてどうかな?」


 僕が指さしたのは、ゆぅの髪の色と同じで真っ白の弓だった。値段的にもお手頃で、どうやら魔法が付与されているらしい。

 その名も『サーチ』だ。

 だいたい効果は予想できる。放った矢が敵を自動追尾してくれるのだろう。弓初心者のゆぅにはちょうどいい代物かもしれないな。流石に木の実を追っかけてくれるかはわからないけどね……。


「こんなに高そうなものでいいのですか⁉︎」

「もちろん! 君らを守る為のものでもあるからね。ちゃんとしたのを買わなくちゃ! それにそこまで高くはないと思うけど」

「コノハ……//」

「ねえねえ、こんなの見つけたよ!」


 ゆぅとの会話に割って入ってくるのは、なんか面白い杖を持ったリッタだ。にしてもほんとに面白い形をしている。杖の持ち手から先端にかけて渦巻きのようになっているのだ。


「えっと……それにするの?」

「いやいや違うよー! ただ変なのがあったから」

「変なので悪かったな!」

「うわっ⁉︎」


 ビックリしたぁ。

 急に棚の横から声を出したのは、とてもごっついおっさんだった。見た目からして店主だろう。

 そしてその店主らしき人は杖について話し始めた。


「その杖はなぁ……ま、正直に言えば飾りもんだな。貴族とかにいるんだよ。こういう変なのを家に飾る奴が」

「やっぱり実用的なものじゃなかったのか」

「おうよ! 姉ちゃんたち、杖を探してるならその棚のなんてどうだい? そいつにも魔法が付与されていてな、初級だが回復魔法を使うことができるんだ!」

「回復魔法!」


 ハゲ頭のごっついおっさんはガハハと笑いながら武器について自慢気に説明してくれる。

 僕も回復魔法の言葉に反応してしまった。今の僕らにはヒーラーがいないからな。どうしても回復魔法が必要だ。

 僕が覚えるのは時間の問題だけど、2人の内どちらかが使えるのは心強い!


「回復魔法ならちょうどいいんじゃないかな? 形とかもけっこういいし」

「うん! これにする!」

「即答⁉︎」

「だって心葉が良いって言うんだもん! 悪いはずないよ!」

「とりあえず試させて貰ってから決めよっか」

「うん!」


 ありがたいことにリッタは即決してくれた。僕は回復魔法があれば多少の怪我も安心かなと思ったから勧めてみただけだったけど。その杖の柄や形にリッタはどこか惹かれているようだった。さっきからずっと抱きしめている。杖の柄は木の木目のような感じのところに黄色と水色の線が入っていて、ゲームの一番最初に使う杖のような形をしていた。

 なんにせよこれを選んでくれて良かった。


「ゆぅもさっきの弓でいいの?」

「はい! わたしもこの弓を使いたいです!」

「お、姉ちゃんもいいのを選んだじゃねぇか!」

「はい! コノハが選んでくれたのですから!」

「ハハ……そっか……そう言ってもらえるならいいんだけど……」


 はぁ……もうなんも言う気になれないよ……。試してみて良ければそれでいい。僕も専らそれで構わないしね。


 漸く買うものが決まったから、おっさんに頼んで武器を試す為に店の裏へ移動するのだった。

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