『見えなかった世界に目覚め』
「う、うぅ……ん、ここは、どこだ? 死んだのかな、僕」
あれからどのくらいの時間が経ったのだろうか?
まだ少しぼやぼやしてる。
終わったんだよな、僕は。光に包まれて。
時間が経つにつれ、少しずつ意識が戻ってくる。
おっ? だんだんなにか見えて来たな。
なんだここは? 夢の続きか?
でもさっきよりももっと意識がしっかりしてる。
終わってしまったんじゃないのかな?
実際に消滅した事がない僕には、今のこの状況が掴めなかった。
よし、もっかい抓ってみるか。
「痛っ‼︎ てぇー」
痛い。とても痛い。強くやりすぎた。ってそうじゃないだろ。ここはどこだよ? 少なくとも日本じゃない。
僕はベッドで寝てた筈だし……それにさっきの夢? の続き……ではないだろうし。
一体全体どうなってんだよ⁉︎
ほんとに何がどうなっているのやら……。
僕は死んだ訳でも消えた訳でもない。
かと言ってもともといたはずのベッドの上にいる訳でもない。
僕の目の前に広がる世界。今自分の見ている世界。
そこには、綺麗な景色が映っている。
空は青く、周りには何もない草原が広がる。
そんな景色の中、ただ1つ目を惹くものがあった。
この丘から見える町だ。数キロはあるだろうこの距離からでもよく分かる。とても現代日本とは、いや、あの世界とは思えない町。
異世界……そんな言葉がふと頭に浮かぶ……いや、ないない。アニメも漫画も大好きだし、あったら嬉しいけど、流石にありえない……で……しょ⁉︎
うおーい! あ、あ、あれ、あれは……‼︎
ドラゴン⁉︎ ドラゴンだよな!
翼が生えてて、とても大きくて、アニメや漫画に出てくる。黒く光を反射する鱗、口元から出ているドス黒い闇のような煙。
僕の目の前を飛んでいたのは、まさに想像のまんまのドラゴンだった。
ここがレイの言っていた見えない世界……なのかな?
僕がいくら信じようと思っても、唯一信じきる事が出来なかった世界。
今、その世界が目の前に広がっている。
どうやら信じるしかないようだ……ほんとに来てしまった。
異世界に‼︎
次回もお楽しみ!