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異世界の常識破壊者【オーバーブレイカー】  作者: しまらぎ
三章 〜王都とクエストギルド〜
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『ギルドのざわめき』

 逃げるための気力すらも抜けてしまっているオオカミたちを狩らなきゃいけないのは少し気が引けるが、任務完了のためだ。サクッとやってしまおう。



「すごいよ! 心葉はまた新しい技を覚えたんだね! こんな強そうな魔獣を倒しちゃうなんて」

「そうです! 凄いです、コノハ!」

「いやいや、僕の力だけじゃないよ。君らの協力があってこそだ。でも、やっぱり凄いことはしてるのかもね」


 魔獣の死体……素材を回収しながらそんな会話をしている。

 今回は僕もいい仕事をしたと実感できる結果だった。なにせ、新しい技術を身につけられたのだ。魔力制御が難しいパニッシュを武器にかけて使うなんて、なかなか至難の業じゃないかな? 魔法を武器にかけるのは、魔力制御力の高い高位の魔法使いがするような事だ。と2人は言っている。きっとそうだろうから僕も素直に嬉しい。

 こうやって新しい技術を習得して、努力を積み重ねて強くなっていくんだ。

 この世界に来てから割と僕の努力は報われている気がする。どれもこれも神さまのおかげだな。今度教会にでもいって拝んでこよう。



「よし、回収も終わったしそろそろ帰ろっか」


 そうして僕らは王都への帰路につく。


「初めての任務完了なのです!」

「ブレイズウルフの素材もあるからどれぐらいお金になるかな〜?」


 帰り道、初めての任務達成に僕らは会話が弾んでいた。

 王都につくまで、ずっとこの話をしていたのだった。




「えっと……レッドウルフ15頭と……ブレイズウルフ1頭……ですか?」


 ここはクエストギルド。王都へ帰還してすぐ、ギルドに任務完了の報告をしに来たのだ。そして、この何が起きてるのか分からないといったような反応をしているのは受付のお姉さん。お姉さんだけじゃなく、ほかの冒険者達もザワザワとしている。

 その理由は紛れもなく僕らが討伐したブレイズウルフにあった。剥ぎ取りなんてなにもしていない、巨大な狼が受付前に転がっているのだ。無理もない。

 本来このクエストギルドにはBランク程度の冒険者しかいないのだ。僕らが討伐したブレイズウルフはBランクの冒険者の任務の標的となっていることが多い。たまにAランクで出ているくらいだ。つまり、今日登録を終えた駆け出しの子供がAランクに相当する獲物を持ってきたことになる。

 S〜Fランクまであるランクだが、それぞれのランクによって任務が異なっているのだ。平均値がFランクの冒険者は、Fランクの任務を受けるのが普通で、平均値がSランクならSランクの任務を遂行する。下のランクの人が上のランクの任務を受けちゃいけないってことはないけど、そうなることはあまりない。分かる通り、ランクごとの標的の強さの差がかなり大きいからだ。簡単に例を挙げてみると、Fランクの標的は最下級のモンスター及び魔獣だ。スライムとかウサギとかそんなのが多い。Eランクになると、鳥のような魔物が多いかな。ここまでは大した事はないけど、Dランクからは大分変わってくる。Dランクまでくると遂に向こうから攻撃を仕掛けてくるようになるのだ。主に中型の魔物か動物と言ったところだろう。そして、Cランクからはもう戦闘経験が必須となってくる。Cランクに値する魔獣は魔法を使うものが主だ。

 魔法と言っても近距離のだけだけどね。それでも初心者では命を落としかねない。

 Bランクで討伐するのは、遠距離魔法を放ってくるモンスターや魔獣。僕らの討伐目標だったレッドウルフもここに入る。リッタもゆぅも武力と魔力の平均値がDランクにも満たない。おまけに僕のは分からない。受付のお姉さんが心配するのも当たり前だ。あの時はまだこの事を全く聞かされていなかったからしょうがないと言えばしょうがない話しなんだけどね……。

 ブレイズウルフが属するAランクには、大型かつ遠距離魔法を使うかなり強い魔獣が多い。クエストギルドではほとんど任務として張り出していないのだ。ここに来る冒険者はさっきも言った通りBランク程度しかいない。そんな人たちにそのような任務を任せたら死人が出ること間違いなしだ。

 僕らと戦っている時にそんなに強そうに感じないのは、どうやら僕らがおかしいらしい。




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