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異世界の常識破壊者【オーバーブレイカー】  作者: しまらぎ
三章 〜王都とクエストギルド〜
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『初任務〜ラナリオン〜』

 


「あっちの茂みの方に行ったぞ!」


 絶賛僕らは狩りの途中だ。僕がだいたいの指示を出してリッタとゆぅはそれに従って動く。僕が前衛、リッタとゆぅは後衛だ。2人にはそれぞれ遠距離攻撃と、僕に対する補助をお願いしてある。さすがに慣れるまでは危険なことはあまりして欲しくないからな。それに武器も何もないうちは敵に近づいて欲しくもないしね。リッタもゆぅも快く受け入れてくれたから良かった。


 リッタは攻撃系の魔法が得意だから遠距離から魔法を放ち、ゆぅは自然系の魔法である風魔法を使ってうまく追い風を起こしている。

 僕は前衛だから基本的には直接攻撃だ。そんな僕の右手には、地球で言う中世のソードがキラリと光っている。

 そう! これこそが国王陛下から授かった剣、『ラナリオン』だ。まさか剣をくれるとは思ってもみなかったが、よくよく考えてみたら旅人なのにもかかわらず僕らは武器を持っていなかったのだ。陛下はそこに目をつけて、宝物庫にあった剣を僕に送ったらしい。同包されていた手紙にそう書かれていたから間違いない。

 もう少し欲を言えばリッタとゆぅにも何か欲しかったところだけど、今回は諦めよう。こんな高価な武器をもらっただけでもありがたい。感謝しないといけないな。

 ちなみにと言ってはなんだが、この剣には特殊な能力があると手紙に書いてあった。魔力のこもった武器とまでしか分からないからその能力は誰も知らないとのことだ。もしかしたらとんでもない能力を持った武器かも……。パニッシュの時と言い、ワクワクすることこの上ない。が、いらない物を処分した、とも言えるんだよな……。


『この剣の名前はラナリオン。宝物庫に昔から置いてある剣なのだが……使い方を知る者も能力を知る者もおらん。現状どのような剣であるのかですら分からない。そんな剣だ。それ故に私も困っていてな。得体の知れない剣を使う者などおらんし、宝物庫にある剣だから捨てるのにも気がひける。そこでこの剣、ラナリオンを君に贈ろうと考えた。君は武器を持っていないと聞いてな。どうかラナリオンを使いこなし、その力を存分に発揮させてみてくれ。この度は本当に感謝しているぞ! クラウス』


 あの人本音を出しすぎなんだよなぁ……。そのまんま剣を渡せばいいのに……。

 それでも宝物をくれたんだから文句は言えないよな。強そうな剣だし、そのうち凄い力でも出てくるだろ。



 話を戻して、茂みに隠れたレッドウルフを討つために、リッタが範囲攻撃の魔法を茂みにぶっ放す。

 あらら、森林破壊とかでなんか言われないかな……。水属性初級魔法『スプラッシュ』を放ち、そのまんまの意味で水が弾け飛ぶ。とてもでかい水風船が爆弾のように破裂するイメージかな。周りの木々にも大ダメージだ。


 スプラッシュによって木々が破壊され、隠れる場所を失ったレッドウルフが姿を現した。相変わらず牙には炎を纏っていて、全身真っ赤な毛が逆立っている。敵意剥き出しにさえなってなければ可愛い顔をしてるんだけどな……。

 そこはやっぱり狼か……。

 数匹のレッドウルフが僕らの前に立ちはだかる中、ゆぅが声を出す。


「コノハ、もう一度風を起こします!」


 ゆぅの声とともに、僕の後ろから少し強めの風が吹いてくる。風属性初級魔法『ウインド』なんだか名前がそのまますぎるが、効果は絶大だ。とても初級魔法とは思えない。それはゆぅの魔力制御の力によるものだと思うけど、使い方によっては初級魔法も侮れないものだと実感する。

 ゆぅはもともと魔法が得意なだけあって、中級魔法を少し使えるぐらいの実力があった。それに彼女の固有特性『恩恵(グレース)』の効果もある。その効果は自然の力を増幅させるものだ。精霊族特有の固有特性で、風系魔法を多用するゆぅには最高の特性だ。


 僕も背中に追い風を受けて、一気にレッドウルフのところまで突っ込んでいった。構えた剣の先は確実にレッドウルフを捉えている。


「いっけえぇーー!」


 叫びながら勢いよく飛び出すも、レッドウルフは軽く避けてしまう。体勢を崩した僕を狙って、今度は向こうから仕掛けてくるようだ。口元に炎が集まって、大きな炎の塊となり、僕の方へ放ってくる。

 だが僕も負ける訳にはいかない。素早く体勢を立て直して火球を躱す。1つ2つ3つと連続して火球を放ち続けるレッドウルフ。

 全部避けきったのはいいが、気づけば周りを囲まれている。十数匹のレッドウルフは、全員僕に向けて次の火球を放とうとしている。

 そんなレッドウルフ達に、僕もラナリオンを構えて走り出すのだった。まだまだ任務は片付きそうにないな!


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