『話題の英雄』
だいたい大通りも半分くらいはきただろうかと言うところで、やっと宿屋の看板を発見した。もう他の場所を探すのは嫌だからここで即決だ。このところ歩きっぱなし
だからな。そろそろ休みたい。と、リッタやゆぅは思ってるだろう。僕は3日は寝てたから体は快調だ。僕につきっきりだった2人の方が心配かな。
そんな2人の為にも、異世界を満喫したい僕の為にも、一週間はここに泊まる予定だ。
お金の事情で3人一緒の部屋というのが少し怖いけど、無事に泊まるところが見つかって良かった。僕自身が無事でいられるかは分からないけどね。
そういえば、この宿の中もそうだけど、見渡してみるとここら辺には騎士が多い。王都だからと言う事もあるだろうが、ちょうどこの宿のとなりに騎士団の演習場がある事も大きい。この宿では食事ができるため、宿の中にも沢山の騎士がいるから余計に多く感じるのかもな。
みんな青と白の鎧を纏っていて、10代の青年から4.50のおっさんまでいる。やっぱり騎士ってカッコいいな。
受付に並ぶ途中に食事場を見回していると、その中でも20才くらいの若い騎士が僕の顔を見てこっちに向かってきた。
なんだろう? 僕はまだ何か罪を犯した訳じゃないんだけど……ってまだはおかしいな、まだは。もちろんこれからもそんなことはしないぞ! とまぁ冗談は置いといて、その青年騎士が僕に話しかけてきたのだった。
「あの、もしかして、あなたは先日森の方で悪魔と戦っていた方ではないですか?」
「え?」
この騎士様は僕のことをしっているのか? 僕はこんな人知らんぞ! いや、まさかあそこに来てた騎士団って……?
「えっと……何故それをご存知で?」
「やっぱりそうなんですね!! 私の所属する小隊があの現場に行ったので、あなただとすぐに気づきました!」
やっぱりこの人たちがあの時に来ていたという騎士団なのか。ほんとうよく僕が分かったな。僕は騎士団の騎士様たちの笑いもんかな、きっと……。
「でもまさかあなたと会えるなんて! 騎士団は今、あなたの話しでもちきりなんですよ。1人で悪魔を倒した英雄だと!」
「そんな、買い被りすぎですよ。たまたまです、たまたま」
「やはり真の強者は強ぶらない。なんてかっこいいんだ!
あ! そういえば、騎士団であなたの行方を追っていたところだったんです。この後、ぜひ騎士団の演習場に来て下さい。団長からお話があるかと思うので」
なんだかすごいことになってるな。
僕は笑いもんじゃないのか。むしろ英雄扱いって……。魔族ってそんなにヤバい奴らだったのかな? 書籍で得た情報ほどではないように感じたけど。本当にあんなのが騎士団の小隊を全滅させるほどの力を持っているのか……そもそも騎士団の力が弱いのか……。
まるで見当もつかない。
彼と話し終えてからも結構多くの騎士に捕まってしまって動けなかった。
2人も随分と待たせてしまったが、
『やっぱり心葉はすごいよ!』
『さすがわたしの英雄です!』
と、とても嬉しそうに言ってくれる。こう言われると結構嬉しいかな。でも正直なところそう言ってくれるのはこの2人だけで十分だ。むしろ他のは勘弁してもらいたいよ。
短めですみません……これからも頑張ります!




