表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の常識破壊者【オーバーブレイカー】  作者: しまらぎ
二章 〜襲来を超えて〜
26/76

『暗い噂』

 このまま真っ直ぐに進んでいれば、夜までには僕らの向かう村『レーブン』に着きそうだな。

 ケータイの時間でこっちの時間も大体分かる。

 今は午後2時ぐらい。もうそんなに歩いたのか。

 さっきまでは元気に話していたリッタも少し疲れてきたのか全く喋らない。それは僕も同じかな……。


 リッタと言えば、彼女も一週間でかなり進歩している。初級魔法を操れるくらいにはなっていた。

 ルナから受けた指導をそのまま僕がリッタにしていたからかな。もちろんルナのことはもう話しているから、僕が急激に魔法を使えるようになっていくのも彼女は笑って頷いていた。



 それから何も起こることなく、レーブンの村に着いた。村に着き、すぐに宿を確保する。

 相当疲れてたんだな。

 リッタは部屋に入ってからすぐさまベットにダイブしていた。ここでしっかりと疲れをとってもらいたい。


 やっと今日一日が終わるんだ。ベットに横になって眼を閉じると、今日一日の疲れに襲われる。

 今日も一日頑張ったな。

 僕は他の事を考えることもなく、すぐに眠りについた。相当疲れたんだろう。リッタもぐっすりだ。



「やぁ、やっと眠ってくれたね。君が来るのをずっと待ってたんだ! 現実でちょっといろいろあってさ、少しの間ここに来れないんだ。今もけっこうギリギリでね。悪いけど今日から数日間は会えないから、ごめんね」

「うん、用事なら仕方ないよ。でも時間ができたらまた来て欲しい。僕もまだまだ教えてほしいこといっぱいあるんだ」

「また来た時にお預けだね。寂しいかい?

 僕がいないからって泣きべそかかないでよ?」

「じゃあ用事頑張って!」

「なんだかすごい勢いでスルーしたね……まぁでもありがとう、終わったら絶対に来るから。

 それまで生きててね。師匠との約束だよ、心葉」


 そう言って、ルナは消えてしまった。同時に周りの景色が歪んでいく。なんだろう?

 意識がだんだん薄れているような……ふわふわした感覚。急にどうして……ダメだ‼︎ 考えられない。

 どんどん視界が暗くなっていく……。

 あぁ、またか、もうダメだ……。


 気がつくと目の前には天井が見えていた。宿屋だ。ベッドの上で目を覚ましたらしい。

 さっきのはいったい……?

 そんな疑問も虚しく、すぐに解決できてしまった。考えればすぐに分かることだ。

 ルナに初めて会った時の事。彼女は自分の魔力の説明をしていた。『夢渡り』は、一度行ったことのある夢になら何度でも行けて、その時の夢に強引に切り替えられる、そんなことを言ってた。

 今回のケースはルナがいなくなったから、あの夢が強制終了したってことだ。

 夢が強引に変わったことで僕の意識も飛んじゃったんだね。まったく先に言っといてほしいもんだよ。

 とにかくパニクるから……。




 さぁて、今日もいっぱい歩くぞ!

 大きく伸びをしながらそう口にすると、リッタも大きく伸びて「歩くぞー!」と繰り返した。

 今日も昨日と同じく王都に向かう。

 また広い平原を通って、一つ森を抜ける予定だ。

 森の向こう側にも平原が広がっていて、そこで一泊することになっている。

 目標地点まで行くのには、ここからおおよそ7.8時間かかる。今はおおよそ7時だから、出発まで3時間くらいかな?

 うーむ、3時間……どう潰そうか。

 とりあえず3つ浮かんだから、このなかから選ぶとするか。


 ①ひたすらリッタと話す

 ②この村の散歩

 ③二度寝


 さぁどうする? と言っても二度寝したら起きれなさそうだし……ひたすらリッタと話すって三時間も話せるほど話題もないしなぁ……。

 やっぱり散歩か。

 僕の三択は、結局一択のようなものになってしまった。



 宿屋を出ようとした時、2人の男エルフの近くで足を止めた。別にエルフが珍しい訳じゃない。その2人の話していることに興味を惹かれたんだ。


「なあなあ、お前知ってるか? また近くの村に魔族の襲撃があったんだってよ」

「魔族⁉︎ またか? もうこれで4度目だぞ! そんなしょっちゅう来るもんかよ。馬鹿も休み休み言え!」


 魔族……この近くに? 本当に来たのか?

 『ミナヅキ』で聞いた噂……ここでも聞くとはな。

 なんだか物騒な時に旅を始めたような……どうか間違ってて欲しい。


「いやそれがほんとらしいんだ。その村から避難して来た人に会ったんだよ!」

「おいおい、まじかよ……そろそろここもヤバそうだな。早めに王都に行くとするか」

「ああ、それがいい。魔族に捕まると魔力を全部奪われて殺されるって言ってたんだ! 命からがら逃げてきたやつの話だぞ! 間違いなもんか!!」


 間違いじゃなかった! 正真正銘本当の話だ!

 彼等によると、魔族は魔神族が1人に悪魔族3人の4人だ。たった4人でも途轍もなく強い。

 悪魔族1人で騎士団の最小隊(5人)に匹敵すると言う。そんな悪魔族が3人、それだけでも悲劇と言っていい。町1つが軽く壊滅させられるだろう。

 だが問題は悪魔族でなく魔神族だ。

 魔神族は堕天族とも呼ばれていて、その名の通り魔に染まった天族のことだ。

 大昔に天王の座を争い負けた天族が負の感情に飲み込まれて、魔神と化した。って伝説として残っている。その時に魔神化した天族は5人で、その後も数が増えていき、魔神族と言う名称がつき、初代魔神王として魔神族をまとめ、最終的には魔界を統べる魔王となったらしい。

 まったく迷惑な話だよ。

 負けたなら引っ込んでりゃいいし、天族と勝手に戦ってればいいのに。人間まで巻き込むなよ……。


  話しを戻すと、そんだけの脅威が迫って来ているってことだ。そんな奴らと戦いたくないし、リッタに危険な目にはあって欲しくない。

 念のため僕らも早くこの村から出るか。


 結局3時間が10分程度になってしまったが、出発の準備は昨日のうちに済ませてあるから今からすぐにでも村を出られる。

 リッタに話をして、早くこの村を出よう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ