表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の常識破壊者【オーバーブレイカー】  作者: しまらぎ
一章 〜異世界と旅立ち〜
24/76

『夢を叶えに』

 

 八日目の朝、リッタの部屋で目が覚める。もうすっかりこの生活に慣れていた。


 今日はリッタに話をするぞ!

 一週間たって自信がついた。自分とリッタを守れるだけの自信が。

 リッタは旅をしてみたいって言ってた。世界を見てみたいとも言っていた。

 僕はその願い、夢を叶えてあげたい。

 リッタがこの世界で初めて優しくしてくれた人だから。その優しさで僕を助けてくれたから。今まで何度も感じているけど、また改めて思う。

 彼女がいなかったら僕は死んでいたと。

 だから絶対に叶えてあげると決めたんだ。それが僕に出来る唯一の恩返しだから。

 深く深呼吸をして、窓から外を見ているリッタに話しかける。


「リッタ、大事な話があるんだ」

「大事な……話?」

「そう、大事な話」


 もう一度深呼吸をして、話を続ける。


「リッタ、僕と一緒に旅をしよう。旅をして、世界をまわろう。前は君からそう言ってくれたね。あの時は君を守ることができるぐらいの力が無かったけど、今はその力があると思うし、その自信もある!

 だからさ、リッタ。僕と旅をしよう。君と一緒に旅がしたい!」

「心葉、覚えてくれてたんだね、私の夢。心葉が待っててって言ってから、この日を楽しみにしてたんだ。ありがとね、心葉。私も心葉と一緒に旅がしたい! 今はあの時よりもずっと強くそう思う!」

「ありがとう、リッタ。これからもよろしくね」

「うん、よろしく!」


 そう言う彼女の目には、薄く涙が浮かんでいた。

 その涙と笑顔が、この日を……僕の言葉をどれだけ待っていたかを伝えてくる。

 本当にありがとう、リッタ。

 僕は心の中でもう一度、彼女にそう告げた。心の中で伝えるありがとうをいつかちゃんと大きな何かに変えて返してあげたい。

 そのためにも僕は彼女を絶対に守り抜くし、自分をわざと危険に晒して彼女を1人にしたりしない。

 僕はそう誓いを立てて、リッタと一緒に部屋を出たのだった。




 時は夕食、ついにリッタの両親と旅について話す時が来た。



「……ってことで、パパ、ママ、私心葉と旅がしたいの!」

「リッタがそうしたいなら反対はしないわよ。あなたは昔から世界中を旅してみたいって言ってたものね。いつかこんな日が来るんじゃないかと思ってたのよ」

「いいの⁉︎」


 ミレナさんの意外な反応にリッタが驚く。


「俺も反対はしない。しないが、絶対に帰って来るんだぞ? それと心葉、リッタの事よろしく頼む。

 リッタにもしものことがあったら絶対に許さないからな?」

「心葉さん、お願いしますね?」

「任せて下さい! リッタは何があっても守り抜きます!」

「リッタ、幸せになるのよ?」

「うん!」


 グリアさんもミレナさんも反対はしなかった。

 いつかはこうなると分かっていたらしい。

 グリアさんの言う通り、必ず無事に戻ってこよう。

 それにしても、すんなりと事が進んで良かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ