ギリギリ♡(はーと)にキリキリMind(マインド)
「紗砂ぁ 背中の翼見えてるわ 一週間後は、ブラッディ・ムーンよ
気を付けなさい」
「はぁ〜ぃ」
こうした会話を交わすのは あたし、化野 紗砂 14才と
その母 化野 麗奈
実はわたし サキュバスと人間とのハーフっ子。
パパは化野 隼人
ママは、異界から四回前のブラッディ・ムーンのとき、人間界にやってきて
パパに一目惚れ、ちょっとアプローチをしたら直ぐパパからも快諾。
そして私が産まれたってワケ。
異界名はシャーサ これだとこの国で住むのに不都合だからと言って
あえて、化野 紗砂を名乗ってるの。
何故か、近くのマンモス校 聖柊女学園の中等部に通っている
サキュバスは、カッコいい男の子と仲良くしてればそれだけでいいと思っていたら
この国は”ギムキョーイク”なる面倒臭い制度があるから
ダメなんだって つまんないの。
でも学園生活も悪くはないよ 朝の礼拝の聖句はちょっとニガテだけどね
だって、ハーフ魔族が聖教の学園に通っているんだよ
たまに、礼拝中に倒れちゃう事も有ってクラスの同性の子に抱えられて
保健室行きになるけど つまんない ちょっとは生気は貰っちゃうけど
やっぱりこういうシチュエーションは男の子がいいよね。
でもねわたし好みのイケメン男子見つけたから、学園生活を楽しんでいる
その男の子の名は 柊 拓海君18才
チェックのグレーのズボン同じくチェックの着崩したグレーのドレスシャツ
に黒いベストと小洒落た服を着ている イケメン男子なの
隣接の楡総合学園大学に通っているんだ。
彼の御両親共リジチョーをやっていてパパは
楡総合学園大学のリジチョーセンセ、
ママはここ聖柊女学園のリジチョーセンセを
やっているんだって 自宅もここ聖柊女学園内に
あるんだよ。
彼が小さい頃は、目が真ん丸で大きくまるで女の子みたいだったと先輩達から
タブレットタンマツで画像を見せられて 胸がキュンとしちゃった。
そして彼も年頃になりやや目が切れ長になってますますカッコよくなってた。
(いまでもお化粧映えする顔でかっこかわいいのよ)
そんな、彼に最近髪が猫っ毛の女子がつきまとって ちょっとヤキモキしているわ
そしてつい、彼のこと考えてゆだんして可愛い翼が背中から出ちゃうの
それで朝食の時ママに注意されたってワケ
ママは化野 麗奈
れっきとしたサキュバスで異界名は レーナ この国では 麗奈として
一児の母をやっている。
ママぐらいになると聖句なんかは気にならなくなるらしいわ
膨大な魔力がとか言っているけど難しすぎて分かんないや。
パパは、聖柊女学園の姉妹校の楡総合学園大学の
天文の講師をしているわ
小さい頃から天文が好きで学位を取って今では
小さい天文台がある学園大学の所長さん
私もよくプラネタリウムを見に行くのよ
だってすてきじゃない、ギリシャ神話・ローマ神話の
神々の恋の鞘当てや駆け引き サキュバスの血が疼いて ついタクミ君以外にも
目移りしちゃいそう。
ママが言っていたけど ママの世界にも”星”は有るんだって
でも誰も関心を示さない 示すのは占いババ様や星詠みのババ様だけだって
でもこの国の人間は女の子も男の子も星には関心が有るらしく
女の子は星占い、男の子は新しい星を見つけたり難しい軌道とやらを機械で計算して
望遠鏡で計算どおりの位置に来ることに悦びを見出しているみたい、
あと望遠鏡の性能にこだわったりね あんなの大きく見えればそれでいいじゃん
やっぱ男の子って変なの
わたしが大きくなる頃には、ケルト神話もプラネタリウムでの演出もあって
ドルイドや騎士様のゲッシュ等乙女ココロが刺激されまくり
北欧神話のオーディン様やロキ様は言わずものがな
つい油断して羽を出しちゃって
その時はコスプレで誤魔化したけど ママにいっぱい怒られちゃった。
センパイ達からタクミ君の事を聞いたら何でも、旧いアイルランドかケルトの血脈が
混じっているんだって
どおりで この国の人とは容姿も一線を引いているもんね
私も、普段はウェーブロングの明るい栗色の髪だけど、
サキュバスの血が疼くと髪の毛先から淡い銀光沢のパウダーピンクに染まるし
瞳も淡い金色に変わるんだステキでしょ
ほんとはこっちの髪色や瞳の色好きなんだけど
「いつもはこの国の人に合わせてなさい シャーサ」
だって
つまんないなぁ
ちなみに私の尻尾はまだお子様尻尾でふわふわスカートで隠しているから分かんないの
ちょっとコーフンしてうっかり出てもふんわりしたワンピースドレスならわかんないもん
でも体育なんかは特に気を使うんだ
少ない男子枠との合同授業の時なんかは何時も大変なの。
特に一週間後は数年に一度の ”ブラッディ・ムーン” 何時もの通り
パパは天文の講師らしく、”赤方偏移”がどうたらとか
難しいお話を始めたの やっぱ男の人って変だったわ。
ママは、いつも増して同性の私の目からも分かり易い眼差しをパパに向けていたわ
オトナの女の人ってやっぱすごいわぁ。
(私も早くオトナになりなたいなぁ)
「こら、麗奈よさないか 紗砂が見ているぞ 娘の前で、はしたないことは止めなさい」
「うふふ この娘だって、このレーナの血引いているのよ 恋を当てつけて見せて
早く ”立派” なサキュバスになって カッコいい男の子を家に連れてきてくれないかしら」
「おいおい まさか君も狙っているんじゃ ......」
と言いかけたパパの口を唇で窒いだの。
「んんっ ダーメ それ以上は この娘意外とヤキモチ妬きよ
さぁ 紗砂早く寝なさい いくらサキュバスって言ったって夜更かしは駄目
貴女は半分人間なのだからね
「ママだけずるい」
「言い訳は駄目、 早くお風呂に入って寝なさいな」
とこの夜は尻尾と翼が一晩中出っ放しだった。
「一週間後は、ブラッディ・ムーンです それも特に紅みが強く世紀の天体ショーが皆様の目で直に
ご覧になられます数時間限りの自然が織りなすエンタテインメントをお愉しみ下さい
どうして紅く視えるのかと言うと......」
やっぱつまんないとテレビを消し
神々の織りまなす愛憎劇か
凛々しい勇者様が厳しい禁忌を自分に課し、思い人の為に身も心もボロボロになり
とうとう禁術に身を染めて異形となっても思い人との想いを断ち切れずに
苦悩する話かどうしようかと思ったけど今夜は後者の
狂騒の騎士”オルフェウス”というママから貰った羊皮紙の分厚い本を読み始めて
凛々しくも狂おしい騎士様にまた翼と尻尾出しちゃったわ
私だけの使い魔でまだ虫しか殺せないけど”死の妖精:ルリン”が
ページを捲りお菓子を持って来てくれた。
「あぁ タクミ君大好きぃ」
と思わず大声を上げてあわてて枕で口を塞いだわ
でもタクミ君には あのティアリーナが居るのよね
アイツ(ティアリーナ)にはわたしがサキュバスとのハーフっ娘って御見通しで
さり気なくタクミ君を避けさせようと誘導するの
しかも、近所かなんかしんないけど 最近”視える”娘がつきまとっているわ
うぅー どうしよう そうだ ママの使い魔ちょっと借りちゃおかな
初等部の娘に取り憑かせてティアリーナのティアドロップ頂いちゃおっかな
そうすればアイツ(ティアリーナ)ってなんも出来なくなるもんね
ウフフ そうしよっと」
と紗砂は自宅地下に麗奈が使い魔を飼っている部屋に忍び込んで
使い魔 ”セルン” を持ち出した。
「うふっ あの娘ったら不可ない娘ね
お目当ての男の子でも居るのかしらね」
「娘の玩具にしても良いのか、あれ君の使い魔だろ? 」
「いいわ どうせあの娘はまだ完全には使いこなせないし
”セルン”だと大した事も出来ないでしょ
何れあの娘に与えようと思っていたしね」
「ほんとに君って娘に甘いね」
「あら、それを貴男が言うの? ハヤトぉ 今だってこうして影から見ていて
注意すらしないじゃない」
「うう いいだろ 男親ってのはこんなモンだよ 何時だって娘には甘いもんさ」
「ねぇ それより ねぇ」
とレーナはハヤトの首に腕を回す。
「もう 君は相変わらずおねだりが上手いな」
「だって レーナは ”サキュバス” ですもの これが本性よ」
「それも当然か こうして虜になった男が君の目の前に居るんだからな」
「それでいいじゃない♡ 」
二人の気配は書斎兼寝室へ消えていった
「良かったぁ ママ に見つかると思って居たのに
さぁセルンちゃんわたしの小鞄に隠れて」
{きゅい きゅい}
と小さな蛇にそのまま羽が生えたような使い魔は
紗砂の小鞄に押し込まれた
そのままドキドキのまま本を広げたまま眠ちゃった。
「んーーっ おはよ ママぁ 学園に忘れ物しちゃってね今は夏休みだけど
連絡して許可貰ってよ夏季講習以外は部活の娘以外は入れないの」
とママをみると
ココロなしかお肌のツヤが良く何時にも増してご機嫌だった
時々、パパとママはふたり揃って凄く機嫌が良くなるときがあるんだ。
「ええ いいわ 今は便利ね学園の専用アプリからこうして
申請出来るもんね
このタブレットタンマツってやつって異界にはなかったしね
シャーサの持っているスマレットもそうだけど」
「いいから早くして」
「はいはい せっかちね シャーサ お目当ての男の子はそんなにすぐ逃げやしないわ」
「そんなんじゃないの いいから早くして 一週間後のブラッディ・ムーンで無いと駄目なの」
「へぇ シャーサちゃん 少しは日取りを考えられる様に成ったじゃない
星詠みのババ様に聞かせてやりたいわ」
「だって テレビの占いで良いって言ってたもん」
「そうだぞ 紗砂 ブラッディ・ムーンは そもそも...... 」
「パパは黙ってて 難しいお話は嫌」
「おやおや またボクの悪い癖が出ちゃったな」
「ここは、女同士のカ・イ・ワ ハヤトの出る幕は無いわよ」
「はは 女世帯だと話相手は生徒ぐらいしか無いな では行ってくる
ボクは生徒の夏季講習もあるし一般聴講枠もあるからな ちゃんと勉強もするんだぞ」
「はぁ〜ぃ分かってますぅ」
と上の空の生返事。
「ねぇ ハヤト忘れてるわ いつもの ......して♡ 」
とママはパパの首に腕を回して娘の前で濃厚なキスをする
尤もママは仰々(ぎょうぎょう)しく”接吻”なんて言い回しを
していたが。
「ところで、シャーサちゃん 貴女この前空飛んで夜遊びしたでしょ? 」
パパが出かけた後 ママはニヤニヤ顔でいきなり
訊いてきたの。
「えっ していないわ タクミ君の所へなんか行っていないもん」
「ふふ 引っ懸かったわね 駄目よ人間にその姿を見られちゃ
リズムが重要な忘却の呪文は紗砂ちゃんって下手だもんね
ハヤトもね、ああ見えてすごい音痴なのよ 貴女までその血引いちゃったもんね」
「どっ、どうだっていいじゃん」
「 ......でそのタクミ君とやらはどうなの? ステキな男? 」
とレーナはニヤリと微笑んだ。
「ママには絶対譲らない タクミ君はわたしがモノにするんだからぁ
でもわたしとは違うクラスの娘がくっついているし
精霊:ティアリーナまでもが居るのよぅ もういやぁ」
「あらあら 邪魔は多いほうが、障害が大きいほど恋は燃え上がるものよ
ハヤトにだって色んなのが寄ってきたけど 頑張ってモノにしたの
アンタも頑張なさい このサキュバス:レーナの娘でしょ」
「だって、ママって いっぱい使い魔いるじゃない、アレで邪魔者排除したくせに」
「ふふ それはそれ これはこれよ ってなんでそのこと知ってるの? 」
「ふふ 私も半分はママの血引いて居るんだもん
それくらい分かるもん」
と紗紗は麗奈似のねっとりとした目で微笑んだ
紗紗の普段着は清楚なお嬢様の様な白を基調とした淡い薔薇柄で
フリルやレースがたっぷりありゴスロリや甘ロリとは違う清楚さを滲ませた
ワンピースだった。
足元は薔薇柄のタイツにピンクのパンプスで一見は清楚なお嬢様風で
髪もゆるく波打って腰迄あり、毛先がゆるくカールして可愛らしかった
それをツーサイドにして白いレースの大きなリボンで結んでいる。
体育の授業には髪をポニーテールに変え邪魔にならないようにする
数少ない男子達にとって紗砂は中等部でもトップを争う美少女だった。
聖柊女学園の制服も某有名デザイナーが
デザインしたとあってフリルやレースが程よく配されいて 可愛らしい紗砂に良く似合っていた
紗砂目当てで体育の授業の時、詐病を使って
見学に来る男子も居るほどだった。
(わたしお目当ての男の子ってちょっと子供っぽいわ
だって”サキュバス”の血が疼かないだもん つまんない)
と母親似のちょっと大人っぽいねっとりとした目を細めていた
(やっぱり 拓海君よ あのアメジストの目、銀色に近いアッシュグレイの髪
高い背、着こなし上手な服のコーディネートのセンス あぁたまんない)
そんな事を考えているともう授業なんて身には入らない
後ろのクラスメイトに 肩を突かれ
「ちょっと 紗砂の髪色変わってない アンタそれ染めてる? ねぇ誰にも言わないから
その色何処のブランド 教えてよ」
と言われて慌てて冷静さを取り戻し、元の淡い栗色に戻る。
「これ陽の加減でこうなるの ...ね」
「でも背中の盛り上がりは陽の光の加減じゃないよね これ」
とツンと出て来かけた翼を突かれ
「ひゃん くすぐったい」
と思わず立ち上がってしまい
夏季講習の講師のセンセに
「化野さん 何ですか 講義中ですよ ほらっ後ろも悪戯しないっ!! 」
と言われ皆の顰蹙を集めた。
その時は翼は完全に引っ込んでいて普通と変わりはなかった
「変なの 確かに何か有ったと思ったんだけどな? 」
「ブラの肩紐が捩れたの急に立ちがったから直ったの ありがと」
とその場はごまかしたわ 危ない危ないっと
そうして私の一週間は瞬く間に過ぎて ブラッディ・ムーンの当日の朝
今日の”忘れ物”を取りに行く許可も降りスマレットに学園入場許可の鍵アプリが
配信されてきた
「いよいよ今夜 アイツのティアドロップを奪って 能力が出ない内に
タクミをわたしの虜にするんだから」
思わず可愛い舌を出して ぴちゃり と舌舐めずりしちゃった
これをやるとパパに凄く怒られるんだ
女の子がこんなことしちゃ駄目だってオギョーギが悪いんだっけか
ゲヒンな事だーって煩いのでも、ママもやるんだよ これ
それを見るとパパは軽く肯定いてママとどっか行くのよ
パパは今日は夜間の天体ショーのため
天文台に泊まり掛け
ママも特別にパパと一緒にお泊りするんだって フーフ同伴でどうぞと楡学院大学で
招待状アプリが配信されてたわ
「ねぇ 今夜でしょ彼を射止めるの? 」
「そうよ ママ 今夜よ」
「日は跨いでもいいげどあまり陽が高くならない内に帰って来なさい ハヤトには上手く言っておくわ」
「きゃーうれしー ねぇ頬っぺにキスして ねね」
「甘えん坊ね おねだり上手は私に似たのかしら? それともハヤト? 」
んんっ んーっ
麗奈の可愛いピンクの唇が紗砂の頬に埋もれる。
自宅の鍵アプリがママのタブレットタンマツからわたしのスマレットに入り
と車で出ていった 本当は飛べば済むけどこの世界だとちょっとした騒ぎになるからね
「”大火蜥蜴の涎”って匂いが嫌だわ」
でぼやいていた。
異界ではガソリンや灯油などは ”大火蜥蜴の涎” って言うんだって
「頑張ってモノにして来なさい」
と車の窓からぎゅうと抱きしめられてわたし・紗砂は
辺りに細心の注意を払い朝靄の中、翼を出し学園近くまで羽ばたいていった。
「はいこれ許可貰ってまぁ〜す」
と守衛さんにアプリを見せ敷地の中に入る
本当は夜遅くまで学園に居ては駄目なんだけど ”魅了”を使っちゃった
これわたしの得意技で、淡い金の目で見つめると大抵は堕ちるんだよね
前もって別のクラスの娘に ”サガシモノ” を依頼をするように誘導した
合宿の朝練の初等部の娘を見つけて ”セルン” を取り憑かせたの
これでこの初等部娘はわたしのお人形さん
あとはタクミが来るまで保健室で寝ていようっと
当然、保健のセンセにも”魅了”をかけてあるわ
”死の妖精:ルリン”に
「タクミが来たら起こして」
と頼んで後は睡魔に身を任せてたわ
『 しゃーさ おきて おきて もうすぐ ひる かれが きたわ
いま ”ガクショク” に ...いる 』
と突かれゲヒンな舌舐めずりをまたしちゃった。
今日はお気にのふりふりの私服 こういった時でもないと学園に私服で来られないもんね
「ねぇ カンナ こっち来て」
「はぃ 紗砂ねーさま 神奈はここに」
と可愛いスカートを摘んでおじぎをした
「ふふ もうわたしのお人形さんね さぁ あの猫っ毛の娘に ”てぃあどろっぶ”
見つけて来てっておねだりするのよ あぁタクミが傍にいるわぁ あぁん すてき
んんっ ねぇ分かった? 」
と目だけ淡い金色にしてカンナに念押しっと
「はい ”シャーサ”様のお言い付け通りにいたしますわ」
「ふふ、それでよろしい あとパフェ奢ってあげるけど 食べたら紗砂の事は忘れてね」
「いやぁ 紗砂ねーさま 神奈ねぇ ねーさまのこと忘れたくないの」
と訴えるような目
(子犬みたいでカワイー♡ )
「ふふだめよ いい子だから ......ね」
((汝、我の眼に魅られし者、暫しの廃忘と戯れよ))
とママから教わった取って置きのオマジナイを唱えたわ。
彼女の目からは一筋の涙。
可愛そうだけどあとは全部一人で出来るもん
「ねぇ、アケミさんパフェ”大盛り”で一つ頂戴あと”普通”の一つ」
「あいよ 化野さん 貴女、何時もパフェばっかりでお腹空かない? 」
と絶対”大盛り”出来ないスウィーツを”魅了”で大盛りにしちゃった
これくらいいいよね。
「えぇ、いいの これで ...ね」
わたし、がっつり肉食系で ”炭水化物”系だったっけか
それらは、あまり好きじゃないの
サンドイッチもカツサンドやハンバーガーもお肉多めのやつがすき
ちょっとお値段お高めけど
パパは所長さん ママはあまり会合に行きたがらないけど
偉い人がなんて言ったけか ”クラウ・グループ” の魔術顧問をしているんだ
この国はね隠秘学・神智学・神話学・錬金学等が
単なる人文科学的な学問ではなく
実在する ”現象” と認知されている世界なの
ママのような魔族もひっそりと、人間の社会に紛れ込んで生活しているのよ
その一般には知られていない存在の魔族を研究しているとかなんとかその顧問のセンセ
純粋な魔族だから組織の中でも偉い方だって言っていた。
だから、普通よりはおカネはある方かな
でないと可愛いフリルやレース盛りもりのワンピース普段着になんか着れないもんね
ママは男の子を虜にするには先ずは外観からって言ってたし
女のミリョクはそれからじっくり仕込むんだって
オトコって単純だからすぐ自分好みになるって
そうして ”育てて” いく楽しみもあるんだって
パパが居ない時よくお勉強の合間に教えてくれるの
そんなことをパフェが出来上がるまで考えてたわ。
「はい ”普通”のパフェふたつね」
とスマレットを読取機械にかざす。
[ 貴女に教主様からありがたい慈悲の賜です ]
とちょっと耳障りな機械音声の聖句
タクミが良く見通せる位置に陣取り”大盛り”のパフェを突き
パパが見てないからいいよね と居ないことは分かっていても辺りを見回して
大好物を舐めとるようにゲヒンに食べた。
神奈より早く食べ終え 額に優しくキスすると
お人形から普通の園生に戻って きょろきょろしてたわ あの娘
「はいアケミさん グラスをどうぞ」
「あら、いいのよ 机の上に置いたままでないといけない規則、知ってるでしょ でも今回だけよ
ありがとね 下げにいくの面倒くさかったしね」
パフェグラスはガラス製なので学食のおねーさんが下げにくるのだ
乱暴に扱って壊すと危ないしね
だからほんとは食べ終わったら机に置きっぱなしでないと駄目なんだって
いいじゃんオウチではパパが食べ終わったら、
食器はシンクに下げなさいって煩く言うのにね
後は大好きな気怠い午後の微睡み
また保健室でお昼寝かな
少し肌寒くなって ”死の妖精:ルリン”にまたもや突かれると
もう夜になってた
そしていよいよ天体ショーが始まったわ
お月様が紅く染まっていく
「わぁ きれーな紅 」
わたしの髪はパウダーピンクに染まり小さな翼、尻尾も遠慮なく出して
小さな”サキュバス”の出来上がり
地下納骨堂の上の霊廟の魔方陣の結界を、ひょいひょいとくぐり抜けて難無く突破
地下納骨堂で幽霊の娘と楽しいおしゃべりしながら
あの神奈って娘の声色でタクミ達を謎解きさせながら、地下納骨堂に誘導したわ
大きな学園ですもの 疲れさせたトコロでイッキに攻めよ 攻めてイクもん
恋もねがいも受け手じゃだめとママにも言われてるもん
あの美咲都とかティアーナはどーでもいいけどタクミはちょっとかわいそうだったわ
でもね、タクミったら ティアーナを手を覆う剣の形に変形させて一体化して
戦うって言うのよ 水色の剣にはしっかりティアーナのココロのてぃあどろっぶが埋め込まれていて
アイツ(ティアーナ)単独じゃ無かったわ よりによってダイスキなタッ君と一体化してたの
無我夢中でセルンちゃんで攻撃したけどまだ上手く使いこなせなくて
この地下納骨堂で使い魔の契約をしたゴーストの”ルシア”ちゃんと
ジリジリと追い詰められた。
でもでも、わたし頑張ったのよ
流石は男の子いい勝負だっだけど とうとう追い詰められちゃった
もうお終いね と思って目を瞑ったら
「はい シャーサここまでよ、 今回はアナタの負け
負けを認めなさい
ねぇ タクミ君、私に免じて今日は赦してくれないかしら」
と突然のママの声。
ママのネームタグと会合の紋章が彫り込まれた
イヤリングを見たタクミ君は
「化野 麗奈って ”クラウ・グループ” の魔術顧問の? 」
「そうよ、このイヤリング ”クラウ・グループ” を知ってる者なら
当然何を意味する物なのかは知ってるわよね それにこの娘私の娘よ」
とママが私とタクミの間に割って入ってた。
「えっ ママ!! 」
「貴女は黙ってなさいな」
ママの尻尾はオトナだから先っぽは小さな羽の様になっていて 口を塞がれちゃったわ
「だったら 剣持 翔吾って 知ってる?
そしてタクミ君 貴男ってもしかして柊家の血脈の者? 」
「え どうして叔父の事を? 」
と彼はちょっとびっくりして慌てて剣を収めた 元に戻ったティアーナはむっつりして
視線を合わそうともしなかった
まぁ当然よね。
「あのね この娘ったら
貴男を虜にしたくて一週間も前から準備してたのよ
それと
タクミ君 ショーゴと、似た魔力をもっているなんておどろいた
会合に殆ど出席しなくて知らなかったわ
流石は柊家の血脈だこと、こんな上質な魔力持ってるもの」
「すんません俺もまさか 貴女があの麗奈さんとはネームタグとイヤリング見るまで知らなかったです
会報には 化野 麗奈 魔術顧問としか無くて
”クラウ・グループ” の魔術顧問のレーナさんの娘さんと知らずに
”本気”だしちゃって」
「世間の目があるからわたしに娘が居ることを知っているのは極々一部よ
特に宣伝もしてないし会合には面倒で出席していないし」
「そうでしたか 叔父には怒られたくないもんで、もちろん俺はこれで手を退きますよ
本当にすんません」
と平謝りだった。
「ねぇ紗紗、本当はね、ママしってたのよ貴女がタクミ君をダイスキでダイスキで
毎夜飛んで出かけていたのも
”セルン”を勝手に持ち出したことも ......ね」
塞がれた口を放すと、
「うわ〜ん ママぁ 怖かったぁ あとごめんなさい 勝手に 使い魔 持ち出したりしてぇ」
「ほら 泣かないの シャーサはサキュバスでしょ あきらめないの
ママだってパパをモノにするまで邪魔モノを 排除 .....コホン
押しのけてモノにしたって言ったでしょ だから ね」
とおでこに軽くデコピンをされっちゃった 痛く ...は無かったけど。
「あの 美咲都ちゃんこの娘は見ての通りハーフサキュバスよ
まわりには黙っていて欲しいんだけど この娘がタクミ君をダイスキって
言ったことだけは忘れて貰うわ でないとこの娘可哀想だもの
サキュバスが男を虜にしようとして失敗するなんて失態は
サキュバスの私としても見逃せないわ いい? 」
とあ然とした美咲都に濃厚なキスをしたわ
「レーナさん ”後始末” まですんません 忘却処理は
沙冬さんの役割なんですけど これ正式な依頼でないもんで
あと美咲都は紗紗さんの正体は誰にも言わないように言って聞かせますんで」
私の正体については、この国に他にも多勢の異界からの来訪者がいる以上
バレても ママに頼んでなんとかなるけどタクミ君をスキなのは絶対に内緒にしてほしかったの
流石ママって女を長くやってるだけのことはあるわぁ
「そうして頂戴。 これはあなたの借りにしてあげる」
「でも美咲都ちゃんの忘却の件 これは私の都合だったとしても
術の行使には対価が必要よ ...でサフユにはこれは貸しと言うことにしといてあげるわ
本当は相殺しても良かったけど 大事な娘の恋心を
同年代の同性のライバルに勝手に知られるわけには行かないわ
この気持ちは男性であるタクミには永遠にわからないでしょうけど
だから貸し借りの”相殺”は無し。 」
ママはわたしの正体よりも”コイゴゴロ”を優先してくれたの
うれしー 忘却の呪文なんてママからすれば”見返り”なんて居らないでしょうけど
さすが、異界からやって来ただけのことはあるわ
しっかり算段してたわね
わたしもママのそういうところしっかりと見習わないとね。
後この娘ナミダ 報酬代わりに持って行きなさい
男を虜にし損たサキュバスの悔しナミダなんて貴重品よ
”クラウ・グループ” にいい手土産になるでしょ」
とママは彼の耳元で彼だけ聞こえるように囁いていた。
「はい、分かりました レーナさん何から何まですんません」
と彼も恐縮してた
わたしの涙は青水晶の様に涙型に結晶化して
更にブラッディ・ムーンの紅い月光を浴びパウダーピンクに染まっていく。
それを5個渡して話が付いたらしい。
「さぁ 紗紗お前も彼と美咲都ちゃんに謝りなさい」
といつの間にやらパパが私の頭を優しく撫でてくれた
「あの タクミ君ごめんなさい あとパパとママも それにに音無さんも」
でもミサトはまだすこし呆けていたわ。
結局奪うはずのティアーナの心の ”てぃあどろっぶ” は手に入らなかった
しかもわたしの ”てぃあどろっぶ” を逆にあげちゃうことになるなんて
もうサ・イ・ア・ク
「拓海君、この娘と麗奈のことは君の叔父さんには内緒にしておいてくれないかな
麗奈と娘はこの国で静かに暮らしたいだけなんだよ」
とパパが言うと
拓海君は
「えぇ分かっています叔父には上手く言っておきますよ」
そう言ってくれたの
でもさっきママは彼タクミと既に ”クラウ・グループ” のことを知ってたみたいな会話をしていた。
パパだけ ”クラウ・グループ” を知らないかもしんないし
まぁどーでもいいけど。
軽くウィンクして彼はママと軽く目線で答えたわ
「さぁシャーサ行きましょ ハヤト 私とこの娘は ......」
「あぁ 分かっている 車は嫌なんだろ ”大火蜥蜴の涎”
は匂いがきついんだっけ?
ボクは講義を抜けて来から早く戻らないと」
とパパはお仕事を抜けて駆けつけてくれたらしいの
しばらくはパパの言うこと聞いてお勉強や宿題をしなきゃね
「「うん」」
と泣き腫した目をぎゅっと瞑りとびっきりの ベー を美咲都に向けて出し
翼と可愛い尻尾を出し
ママと一緒にパパの運転する車を追いかけるように飛んでいく。
でも翌日わたしは何喰わぬ顔で
「でもでもタッ君は絶対 シャーサの虜にするんだから」
と探偵事務所に乗り込んでまんまとバイト契約を彼の叔父さんと結んでしまったわ
だってだって、サキュバスが男の子を恋の虜に出来なかったときだけ出す特別な
”てぃあどろっぶ” しかもブラッディ・ムーン色の特別製
絶対取り返してみせるワ
それまでは タクミのハートにきりきり舞いさせれられてあげようっかな
そうされながら わたし好みの男の子に ”育てる” の
わたしハーフサキュバス・紗砂は朝靄のなかママと一緒に飛びながらパパが見てないことを
いいことに、ゲヒンに舌舐めずりした。
おしまい
失せ物さがし の てぃあどろっぷ
ギリギリ♡(はーと)にキリキリMind
短編一話完結です
失せ物さがし の てぃあどろっぷ は
柊 拓海
音無 美咲都
のハラハラSide
ギリギリ♡(はーと)にキリキリMindは
化野 紗紗の
胸キュンSide
になります
それぞれの視点からのハラハラSideと胸キュンSideを
お楽しみ頂けましたら幸いです
世界観を元にした長編もプロットを現在
オルティア・レコード
イゲン・ルート・オンライン執筆と併行し構想中です
3月中旬ころ活動報告にてプロットを発表したいと
思っております
お楽しみに
短編ギリギリ♡(はーと)にキリキリMindの
紗紗とレーナのイラストをみてみんに投稿しました
活動報告のリンクから飛べます。