入れ代わり。
子供の時に、何時も一緒にいた親友のコウタ、僕たちがまだ小学一年生の時に、川で水遊びをしていた時、
川の流れが急に強くなって、コウタは流されてしまった。僕の目の前で・・・流されて行くコウタ! 僕は
何度も、何度も、声が、かすれるぐらいに大きな声で叫んだ! 「誰か! コウタを助けてください!」
でも、川の流れが激しく強い勢いで、あっという間にコウタが流されてしまった。多分・・・水死だったと思う。
何故かと言うと? コウタの死体が見つからなかったから。何処まで流されて、何処かで沈んでしまったのか?
結局?あれから、20年経った。僕は、コウタの分も一緒に生きようと決めていたが・・・?
僕が数十年ぶりに、実家に戻って来た時に、コウタの家にも寄ることにした。コウタの両親とは、家族ぐるみで、今でも、仲がいいから。
それに、僕の姿を見ると? コウタを思い出すらしい。同じ年で幼なじみの僕を、今では本当の息子のように見てくれていて、何かあったら? 僕の両親に言えない事でも、コウタの両親に相談したり、物凄くいい関係を築かせてもらっている。
そんな時に、コウタのお母さんから、こんな事を聞く。
◆コウタのお母さん「実はね?あの子の・・・コウタの死亡届を出していないの?」
◇直人「えぇ!? どうして、じゃ? 死んだ事になってないって事・・・?」
◆コウタのお母さん「まぁ、そうゆう事になるわね。あの子が今でも、何処かで生きていてくれたら?そんな嬉しい事はないのにね! でも、私バカみたいね! そんな事あるはずがないのに・・・。」
◇直人「わかるよ。コウタのお母さん! 僕だってそう思ってるから。何処がで、生きていて欲しいって思ってる。」
僕がそう言うと? コウタのお母さんが、泣き出してしまった。ずっと、我慢してきたのかな?
◇直人「ごめんね! ずっと辛かったね!」 って言って! コウタのお母さんの背中を優しくさすった。
僕はその頃、自分の会社を立ち上げて、約2年目。でも仕事は軌道に乗らず「赤字」 続き。このまま行けば、間違いなく会社が潰れるところまでになっていた。
そんな時に、この話を聞いて、僕は心の中で、まだやり直せるんじゃないかと思った。第二の人生を・・・。そんな事が、僕の頭をよぎった。
そう、コウタのなりすまし。直人の人生を終えて、コウタとして第二の人生を歩もうと考えた。もう既に、僕は多額の借金をして、サラ金業者から、必要以上の取り立てにあっていたし、奥さんや子供も、そんな僕に愛想を尽かして、家を出ていった。離婚届を置いて。
だから、僕はコウタのお母さんを上手く丸め込んで、コウタのお母さんやお父さんにバレないように、いや? 誰にもバレないように、僕とコウタの立場をコッソリ入れ替えた。
僕は、借金地獄で、死んだことにすればいい。そしてそこから、コウタの人生として、これからの僕の人生をやり直すつもりだった・・・。
でも、まさか・・・? 僕がコウタの人生を送ろうと踏み出す矢先に・・・コウタが生きていた事を知る。どうやら? 長い間、記憶喪失で、昔の記憶を思い出せずにいたところ、大きな事故にあったらしい、その時に頭を強く打ったのがキッカケで、全ての記憶を思い出したって。
まさか! こんな時に、戻って来るなんて! もう僕(直人)の人生が、完全に終わった後に、なんで、戻って来るんだよ! コウタ!
どうしよう? 僕は、もう死亡届が出ている。生きているけど? 死んでいる。僕の計画が丸つぶれだ! これもそれも、自業自得だな!
この先、僕はどうして生きて行けばいいのか・・・? 人間、悪い事は出来ないものだな。 今では、浮浪者として生きている。誰にも気づいてもらえず、密かにひっそりと・・・。
最後まで、読んでいただきありがとうございます。