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田舎町のギルドマスター  作者: 氷雪月下
第1章【ギルドマスター就任】
4/5

第4話「城下町」

第4話まで毎日投稿ですが、どうなるか分かりません。一応不定期です。

すいません。予約間違えてました。



あの後リントとミアから逃げるようにして城下町まで走ってきた。俺はイリスと手を繋いだままだ。


「な、なぁ?ノルイ」

「どうした?」


手を繋ぎ顔を赤らめながらイリスが困ったようにこちらを見てくる。


「いや、そのだな…どこに何があるのか全くわからないのだが…」

「あぁ…そうだな…どこ行きたいんだイリスは?」


そう言えば来たことないんだよなミトラ王国の城下町って。見たところ人口がかなり多い。その上獣人、エルフ、ドワーフ、魔族が共存している。人種のサラダボールだな。こんなに人種が入り乱れているのに平和とは国王の政治手腕がどのぐらいかはっきり分かるものだ。下手な奴がやると内乱が起こり始めるんだよな…いろんな国を旅してきたからよく分かる。


「むむむ…そうだな…い、一緒に露店を見て回らないか?」

「おっ、いいぞ。露店と言えば美味しいものだよな!そこの兄ちゃん、どこで露店ってやってるんだ?」


店頭で品物を売っているガタイのいい兄ちゃんに聞く。


「なんだぁ?初めてここに来たのか。この大通り進んだらあるぞ、楽しんでけよ!」


兄ちゃんに礼を言い、大通りを突き進む。

数分歩いた後、人がさっきより多くなってきた。もうすぐだろう。


「おおっ、これはすごいな!早く行くぞノルイ!」

「わかったから、待てよ」


俺は苦笑いしながら後を追いかけていく。


「やっぱり露店の賑わいって凄いな…」


色んな食べ物や雑貨店がある。大量の仮面が飾られていたり、大きな肉が山積みになっていたりと見ているだけでも飽きない。


「美味しいぞ、これ!ノルイも食べろ!」


俺が露店を色々見ていると、イリスが大量の食べ物と一緒に戻ってきた。口いっぱいに肉を頬張っている。中でも俺に差し出してきた肉が一番美味かったらしい。


「おお、美味いな。」


何の肉がわからんが、タレが絡んでて美味しい。


「次は雑貨店に行くぞ!」


いつの間にかイリスは大量の食べ物を消費していたらしい。どこにそんな大量の食べ物が短時間で入るんだか…アマゾネスだからか…?いや関係ないか。

イリスが俺の手を引いて雑貨店のある方へと向かっていく。そこには腕輪が所狭しと並んでいた。


「おお…腕輪だ。なんか良い腕輪ないか?」

「露店にイリスが欲しいような腕輪なんてないだろう?魔道具店ぐらいにいかないと。」

「いや、露店こそ掘り出し物が多いらしいぞ。私の祖母が生きている時に『この腕輪のおかげで何回命を救われたか。今私の命があるのは露店で買ったこの腕輪のおかげだ。』と何十回、いや何百回も聞かされたも

のだ。ほら探すぞ。」

「ハズレの方が多いんだがな…」


イリスに急かされ仕方なく俺も探す。さっきはハズレが多いと言ったがこの店の品物は良い物の方が多かった。デザインもかなり凝ってある。


「これはどうだ?」


イリスがペアの腕輪を持ってくる。よく見ると攻撃力上昇の効果があるらしい。イリスは今以上に強くなりたいのか…


「そ、そのなんだ…ノルイと一緒の物を付けたいというかだな…」

「そうか、俺達は夫婦だもんな」


俺がニヤニヤとイリスを見るとイリスは顔を真っ赤にする。


「あら、新婚さん?うちの腕輪買ってくれるの?」


店主らしき女が話しかけてくる。


「あぁ、嫁が気に入ったみたいでな。」


俺がそう言うと、イリスがさらに顔を赤くさせ俯く。かなり恥ずかしいんだろう。そんな柄じゃないしな。


「あら、嬉しいわ。新婚さんならこれとかどうかしら?おすすめよ?」


店主がおすすめの腕輪を見せてくる。


「なんだこれは?」

「これはね、浮気すると赤く光る腕輪なの。浮気対策にバッチリ!おすすめよ。」


店主がウインクしながら説明してくる。そんな便利なものがあるのか…世の中の夫婦にバカ売れだろう。どれ程の人数腕輪が赤くなるのだろう。興味が湧いてきた。


「すまない、3つ同じ腕輪ってないだろうか?」

「3つ?もう1人奥さんがいるの?お兄さんやり手ね。ちょっと待ってて取ってくるわ。」


と言って荷物を取りに行った。


「あぁ…そうかミアの分もだな。気が回らなかった。」

「ミアが仲間ハズレみたいになってしまうからな。イリスは俺とイリスだけの腕輪を買いたかったみたいだが。」

「意地悪言うなよ…」


いじりがいのある奴だ。イリスがちょっと拗ねた顔をする。


「これなんかどう?腕輪を付けている人同士で意思疎通が出来るの。」

「デザインもいいし、買いたいのは山々なんだが高いんじゃないのか?そんな効果付いてるんだし。」

「価格はそこに並んでいる物と同じでいいわ。その代わり装備とかはうち寄ってよ?」

「先行投資ってやつか。じゃあ好意に甘えて。」


お金を払い、店を後にする。イリスは左腕に腕輪をはめかなりご機嫌だ。


「そろそろ戻ろうか。」


もう夜になる頃だ、そろそろ戻った方がいいだろう。


「そうしよう。今度は夜の街も探索してみたいもんだな。」


イリスと俺は城でと戻っていく。


「楽しかったか?」

「あぁ、楽しかったよ。戦闘とはまた違った幸福だ。」


俺の問いにイリスが答える。その答えがなんともイリスらしい。


「おし、城まで競走するか。」

「ふっ、私に勝負をしかけるとは…受けて立とう。負けて泣くなよ。」

「じゃあ、スタート。」

「おいこら、まて!!」


先を走りながら笑うノルイに真剣な表情で追いかけるイリス。

何気ない一日だったが昔に捨てた感情を再びノルイが感じ始めるには十分であり、今日のノルイは久々に心の底から笑う事が出来た。ノルイの過去をイリスやミアに話すことも近いかもしれない。

そう思いながらノルイは城まで駆けていった。


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