第2話「事件発生」
かなり強引。
もしかしたら後で変更するかも。
自分が思い描いたように表現するのが難しい。
リントを先頭にして謁見の間に入ったノルイ達は今、数多くの貴族がこちらを見る中、国王の前で跪きありがたいお言葉を頂戴している。
しかし、長い。ほぼ同じことを言ってるようにしか聞こえない。
30分だか1時間だか国王が途切れる事なく喋った後、ようやくノルイ達の願い事を聞くところまで来た。
「さて、『悠久の迷宮』を完全攻略したパーティには各々の願いを国王権限で叶えることになっておる。順番に聞いていくことにする。まず最初にリントよ、そなたは何を願う。」
国王がリントに願いを問う。
「では私はかねてからの願いであった、第1王女のソフィア殿下との結婚を所望します。」
貴族からのざわめき、やはりオルガヌム公爵家が…という声も聞こえてくる。ちらと王女様をみてみると嬉し涙を流している姿が目に入ってきた。
リントは公爵家の人間なのか…やっぱり貴族の人間じゃないか。後で問いただせねば。
「ふむ、元よりそのつもりであったがこれで反対する者も居ないだろう。そなたの心意気しかと受け止めた。結婚を許そう。」
「はっ、ありがたき幸せ。」
そう言ってリントは一歩下がる。
「では、ノルイよそなたの願いは?」
ザワザワしていた貴族達も国王のその一言で静かになる。
「俺…私は田舎での生活と仕事、そのための資金を願います。」
国王は少し目を見開きもう1度問いただす。
「そなたがミトラ王国の者でないことは知っておる。しかし、この願い事とは別なのだ。本当にそれで良いのか?」
「それで違いな…ありません。」
貴族達はさぞ当たり前かのようにこちらを見る。一部の貴族に至っては侮蔑しているようだ。おそらく、俺の力を知らないからだろう。だって見せてないもん。
「ふむ、分かった。そなたの願いは後日叶えることにしよう。今ここで直ぐには与えられぬからな。」
「ありがたき幸せ」
そう言って、一歩下がる。
次はミアだ。聖女であるミアがどのような願いを言うのかが今日最大の注目らしい。メイドが喋ってるのを聞いた。決して見とれてたわけじゃない。
「国王様。私、ミア=スプラとイリス=スラスターの願いは同じなのです。一緒でよろしいでしょうか。」
「同じか、よかろう言ってみろ。」
ミアの横にイリスが立つ。イリスは柄にも合わず緊張しているようだ。しかし、次の一言でそんな呑気なことは考えれなくなる。
「私達は結婚を願います。」
貴族達に衝撃が走る。それもそうだろう、聖女が結婚を願い出たのだ。誰だ、どこの家だと騒いでいる。正直俺も気になる。幼なじみだろうか?どこかの貴族様か?あるいはリントか。リントは大いにありえる。なにせパーティメンバーだし。
「誰との結婚を願うのだ?」
国王の言葉に、貴族達が黙る。
ミアの次の言葉を一言一句聞き漏らすまいと。
「同じパーティメンバーである…」
やっぱりリントじゃないか、あいつめ王女様以外とも結婚するのか…あいつは敵だ。今この瞬間から敵に認定する。異論は認めん。
「ノルイ=ピットと結婚する事を願います。」
その言葉を聞いた瞬間の俺の顔といったら、これ以上ないアホ面をかましてただろう。信じられん、リントじゃなくて俺だったとは…
貴族の反応の方も凄かった。阿鼻叫喚である。
「ノルイ=ピットとの結婚とな?イリス君の結婚は問題ない。しかしミア君、君は聖女だろう?教会は認めるのかね?残念ながら教会に働きかけるのは無理であるぞ。互いの事に関して不介入と決めておる。そこの所どうなのかね教皇よ。」
そうだ。俺はこの国出身ではない。流れの得体もしれない俺と結婚できるはずがないんだよ。
「それについては問題ない。ミアが聖女になる時に、政略結婚ではなく恋愛結婚をすると契約で決めた。そうじゃないと聖女に就かないとごねられたものでな。」
と、教皇。その一言で貴族のざわめきがより一層大きくなる。
「国王様!!」
そのざわめきの中から大きな声が聞こえてくるともに、恰幅のいい豪華な服装の男性が前へ出る。
「なんだね、アセス伯爵。今は記念すべき恩賞の儀の最中であるが?」
伯爵の方を見てかなり非難めいた口調で問いただす。
「このような平民、しかも身元もハッキリしない人間と聖女様はハッキリ言って釣り合わないと思われます。私の倅のような高貴な人間の方が釣り合うと思いますが?」
伯爵は自信満々に国王に言う。
「だそうだが、ミア君どうなんだ?」
国王はミアに向かって問う。
「私の理想の結婚相手として通告しておりませんでしたか?強くたくましい人で無ければ結婚はしないと。それとも貴方の息子はノルイと同じようにエンシェントフロッグを料理できるのかしら?そうだとしたら見てみたいものだけれど。」
なぜか、エンシェントフロッグを料理できる事が凄いらしい。伯爵は言い返せず歯噛みしている。あのカエルぐらい皆料理できそうなものだが…というか、どんどん結婚に進んでいる。本当にいいのか?順調すぎて怖いのだが。
「ほう、そこまでの者とは…皆の者異論はないな。では、これで恩賞の儀を終えることにしよう。皆の者大義であった。」
国王が締めくくると共に、貴族が謁見の間から退出していく。伯爵がこちらを睨んでいるのがとても印象的だった。
まぁ、睨み返したら慌てて出てったけど。
貴族全員が出ていき、俺たち4人と国王だけになった。
「君たちは本当によくやってくれたよ。『悠久の迷宮』が自分の代で攻略されるとは夢にも思わなかった。君たちの願いを叶えるために私も奔走しよう。2、3日後もう1度ここに集まってもらえるかな?」
4人は同時に頷き、謁見の間から退出した。