傭兵部、第2の依頼、園児達の先生代理
傭兵部が本格的に活動を開始してから数日が経過した、傭兵部はその活動内容の為に基本的に大きな
依頼をこなせるのは休日のみだ。まぁ、前回の依頼は授業も早めに終わっていたから休日じゃ無くとも
活動が出来たが。基本は休日活動だ、学生である以上授業は疎かには出来ないからな。
そして、今日は休日の土曜日、傭兵部の基本活動日だ。
「先生、依頼来てますか?」
「えぇ、今回は幼稚園に勉強を教えに行きますよ」
「え!?そんなの傭兵の仕事じゃ無いでしょ!?」
咲はかなりいやがった、まぁ、確かに幼稚園児に勉強を教えるなんて傭兵の仕事じゃない気もするが
国の兵士は結構そういうのやってるみたいだし、良い経験になるかもしれないな。
「今はオーブ国に宣戦布告を受けているでしょう?」
「はい、全く動きはありませんけど」
現状オーブ国に宣戦布告を受けてから国の兵士はほぼ全てオーブ国の警戒に当たっている。
その為、今この国には殆ど兵士がいない。
「ルーン国の兵士は今は全て警戒態勢なんですよ」
「はい、それは分かってますよ」
「ですので今日企画されていた園児達のお勉強会が開けれないんです」
兵士達はこの国の子供達の勉強会などで呼ばれることも多い、まぁ、特別授業という形だな。
それに、この授業は毎年子供達が楽しみにしている授業でもある。
「休止にしようにも園児達が大騒ぎになりますし、代理と言うことですよ」
「それ、私も行かないといけないんですか?」
「当然ですよ、燐さんも恵美さんも皆です」
「・・・はぁ、分かりましたよ」
「え、良いの!?」
「私も大丈夫です」
「恵美ちゃんまで!?」チラッ
咲がチラッとこっちを見た、その後はジーッとこっちを見ている、これはあれだな、俺の意見を
待ってるんだな。まぁ、俺の意見は決まってるが。
「あっと。俺も大丈夫です」
「えぇ!?法助まで!!」
「分かりました、それでは行きましょうか」
先生は咲を置いて俺達だけで行こうとした。必要以上にゆっくりと、きっと咲の反応を
待ってるんだろうな。
「い、行くよ、私も行く~!」
「そうですか?人手はもう足りてるんですけどねぇ」
先生は悪い顔で咲を挑発した、咲はその挑発にガンガン乗っていった。
「お願いします!1人嫌だ、退屈なのも嫌だぁ!」
「そうですか~、う~ん、どうしましょう~?」
「お願いします!お願いしますから~!」
先生は楽しそうに微笑んでいる、本当に楽しんでるな。
「お願いします!私も連れてって~!」
「うふふ、そこまで言うのなら仕方ありません、一緒に行きましょうか」
「やった-!」
先生はニヤニヤと楽しそうに微笑み、咲は嬉しそうにピョンピョン跳ねている。
咲の奴、先生に遊ばれてるって気付いてなさそうだな。
「・・・大丈夫なのかしら?」
燐は少し心配そうにそう言った、まぁ、うん、確かにこの風景は心配だよな。
「まぁ、咲もやるときはやるし、大丈夫だろう、普段からは想像も出来ないがな」
「楽しそうですねぇ」
恵美は笑いながらそう呟いた、確かに楽しそうだよな、先生とか。
「さて、行きましょうか、今回の場所は南東区の幼稚園です」
この国は大きく分けると5つの地区に別れる、王城の近くの中央区、後はその中央区を中心にし
東西南北で別れている、更に区分けすると北東になるが、基本は東西南北で表記される。
因みに、俺達がいる場所は中央寄りの北部だ。
「結構遠いんですね」
「えぇ、まぁ、そこまで遠くはありませんし、大丈夫でしょう」
俺達は先生のミールで移動し、しばらくしたら着いた、結構な距離だったが、先生のミームは速く
思いの外早く着いた。
「ここが菜の花幼稚園です」
今日は土曜だし、そこまで人はいないだろうと思っていたが。園児達は結構沢山いた
「お休みなのに沢山いるんですね」
「さっきも言ったでしょう?園児達にとって、この日はとても楽しみな日なんですよ」
「へぇ・・・それで、私達はどうすれば良いんですか?」
「えぇ、まずは武器のルールを説明してください、最も重点的な所は他人の武器には触れるなと
武器を投げるな、この2つです、最重要なのでしっかりと伝えてくださいね」
「はい」
俺達は先生に言われた通り、誰かの武器には触れるな、武器を投げるなとしつこく言った。
そういえば俺が幼稚園児の頃も咲と一緒に怖い兵士さんにこんな事を言われてた気がするな。
確か、その時はこの話が終わった後、その兵士さん達が実際に戦って見せてくれたっけ。
武器の扱い方を説明するためとかで・・・あれ?じゃあ、もしかして・・・
「以上で説明は終わります、しっかり分かりましたか?」
「うん!、わかった!じゃあ、お兄さん達!あれをやってよ!」
「あ、あれ?」
「それでは、咲さん、法助さん、戦ってください」
あぁ、やっぱりか、うん、今完璧に思い出した、確かその戦いがかなりのハイレベルでかっこいいから
園児達は好きだったんだったな、なんで忘れてたんだろう。
「え!?聞いてませんよ!?」
「言う必要あったの?、まぁ、頑張ってね」
「えぇ、まぁ、良いか、私も一度法助と戦ってみたかったし」
「そうかい」
戦うと言っても真剣での戦いは出来ない、その為、学校や幼稚園には模擬刀が置いてある。
槍、剣、弓、その他諸々だ、その模擬刀を使ってでの戦いだ。
「まぁ、俺は剣かな」
「当然、私は槍だよ」
長いこと一緒に居るが、咲との戦いは初めてだ。理由は簡単でこいつがそこまで戦いに
興味が無かったからだ、授業もサボってたしな。
「さぁ、行くよ!私の槍使いを見せてやる!」ダ!
「へ、サボり魔が良く言うぜ!」ダ!
「法助も私と一緒にサボってるでしょ!?」ブン!
咲の攻撃は真っ直ぐだ、初動もそこまで速いわけでは無い、これなら簡単に逸らせるだろう。
「大半はお前のせいだろ!?」カ、スゥ
「おわっと!」
咲はバランスを崩した、この隙に攻撃すれば俺の勝ち。しかし、咲はこう見えても戦闘順位10位の
実力者だ、バランスを崩しながらも左手で俺を掴んで無理矢理体勢を立て直した。
「お!」
「舐めないでよね!」ブン!
バランスを立て直し、素早くこっちに攻撃をしてきた、普段なら見せないであろう機敏な動き。
こいつはスイッチが入ってるときとそうで無いときの差が激しいな。
「は!言い判断だな」カン!
「くぅ!完全に行ったと思ったのに!」
「甘いぜ!」カン!
「わぁ!」
咲の攻撃を止め、その攻撃を大きく上に弾いた。そして、咲に再び大きな隙が出来る。
今度はどう動くのかな。
「そら!」ブン!
「どっせぇーい!」ブン!
今度は俺が弾いたと思った槍を無理矢理下に叩き付けてきた。かなりの力業だが
あの状況では離脱並みに効果的な行動、なんだかんだでこいつも実力者だな。
「おっと、危ないな」スゥ
俺はその攻撃を横に動き、回避した、縦に振り下げる行為は横に逸れるのが効果的だ。
それに、あの勢いで武器を下に降ったら地面に激突だろう。
「あ!」ガン!
「うぐぅ・・・し、しびれるぅ・・・」
「これで俺の勝ちだな」ブン!
「くぅ!」コン
俺は攻撃をギリギリで止め、軽く叩いた、寸止めは結構得意なんだ、それに寸止めのままでも良いが
こいつの事だ、まだ当たってない!とか言って負けを認めないだろうしな。
「うぅ、負けた、悔しいけど、流石は法助だね」
「俺は戦いくらいしか取り柄は無いからな」
その戦いを見ていた園児達は決着が着いたとたん、大喜びで俺達の方へ近寄ってきた。
「兄ちゃんスゲぇ!かっけぇ-!」
「お、おい」
「お姉さんもすごい!かっこよかったです!」
「あはは、ありがとう」
「ふふ、成功のようね」
俺達は大喜びする園児達に別れを告げ、学校に帰った、今日は結構いい汗かいたな。
普通に前の魔物退治よりも動いたし。
それに、今日は報告書は書かないでも良いという話だ。咲は大喜びだ。
俺は家に帰り、今日の事を話した。
「兄貴は随分と人気者だな」
「そんな事は無いだろ?」
「自覚無いんだな」
「ん?」
まぁ、良いか、今日はいい汗かいたし、さっさと風呂入って、しっかり寝るかな。




