始まった決戦
この戦いが始まった全ての元凶はこいつだ。
リオス・エルドナード、こいつがルーン国に攻撃を仕掛けてきた。
だから、こんな大規模な戦争になったんだ、そして今、そいつが目の前にいる。
たった1人で、俺を見て、余裕そうな表情を浮かべている。
こんな状況で戦わず逃げるのは出来ない、こいつを仕留めないといけない。
俺は武器を取り出した。
「ふ、戦う気か?いや、当然か、敵の将が目の前にいるのだ、戦わないのは臆病者のすることか」
「てめぇ、随分余裕そうじゃないか」
「当然だ、王が自らに自信を持たないわけが無い」
そう言うと、エルドナードは手に持っていた飲み物を置き、ゆっくりと立ち上がった。
「このリオス・エルドナードが貴様を直々に殺す」
エルドナードは武器を出した、その武器は美しく、明らかに観賞用だ。
「そんな武器で戦えるのか? 観賞用じゃないのか?」
「問題は無い、我は全てにおいて頂点に立っている」
そして、エルドナードは一気に接近してきた、すごい速さだ!
「ぐ!」
俺はエルドナードの攻撃を辛うじて防ぎ、その後、すぐに反撃した。
しかし、その時にはもうすでにエルドナードは俺の刃の外側に立っていた。
「・・・素早い奴だ」
「ふん、我が剣を防ぐとはな、たかだか中学のガキと思って油断しない方が良いか」
俺とエルドナードは再び武器を構えた。
ふむ、こいつは油断できそうに無いな、だが、負けられない!
そんな事を考えている時だ、無線が聞えてきた。
{法助先輩! マズいです! こっちにエルドナード近衛7柱の2人が!}
「なに!?」
マズいぞ、このままだと恵美が殺される・・・あいつじゃ、勝てない!
「ふん!」
「うわ!」
エルドナード近衛7柱・・・お、オーブ国での最強の7人・・・わ、私だけじゃ勝てない・・・
うぅ・・・せ、せめて燐先輩のお父さんだけは逃がしたいけど・・・そんなチャンスは無い。
「う、うぅ・・・」
「ふん、基地に侵入してきた割には弱いな、2人も出向くまでも無かったか」
「その様だな、まぁいい、さっさと仕留めろ、アッシュ」
「あぁ」
い、一か八かだ、今の私の武器は法助先と同じ刀・・・
一瞬、ほんの一瞬だけで良いから・・・隙があれば・・・
でも、私を殺そうと振り上げられたこの人の大きな刀・・・
わ、私の力じゃ、絶対に止められない、後ろに逃げようとしても壁だし・・・
「死ね、侵入者が」
も、もう駄目! 私がそう思って目を瞑ったときだった。
「止めろ!」
「な!」
燐先輩のお父さんが体当たりをした。
その衝撃で男の人は少しだけ怯んだ。
「人質が! 抵抗するな!」
「ぐあ!」
燐先輩のお父さんは蹴られて、私の右の通路に吹き飛ばされた。
でも、この一瞬の間に攻撃が出来る!
「てりゃ!」
「ぐ!」
私は何とかその男の人の足を斬ることが出来た。
そこまで深い傷じゃ無いけど、少しは時間を稼げる!
い、今のうちに逃げないと!
私は燐先輩のお父さんを起こし、一緒に逃げだした。
「クソ、あのガキ!」
「不甲斐ないな」
「言ってる場合か! さっさと追いかけやがれ!」
「言われなくともそのつもりだ」
もう1人が追いかけてきた、その男の人の足は速く、捕まりそうになった。
その時だ、前の通路から人が出てきて、追いかけてきた男の人を撃った。
「ぐ!」
「恵美! お父様!」
「り、燐先輩!」
燐先輩だった、私達は何とか燐先輩に合流することが出来た。
良かった、これで逃げることが出来る!
そうだ、このことを先輩方に教えないと!
「皆さん! 燐先輩と合流できました!」
{・・・・・・}
「あれ? 返事してください! 誰でも良いから!」
{・・・・・・}
返事が無かった、その代わりに激しい戦闘音が聞えた。
どうやら先輩達も誰かと戦ってるみたいだ!
{ふぅ、ふぅ、2対1は卑怯じゃ無いですか?}
先生の声が聞えてきた、話の内容からして、先生は2人の敵と戦っているみたいだった。
{ルーン国最強の戦士相手に1対1など愚策ですよ}
{だが、2対1でも互角に戦えるとは、流石最強の戦士だな}
{私は教師でしてね、戦闘はあまり得意じゃ無いんですよ?}
{嘘を吐かないでも良いですよ、情報は完全に集めていますので}
そんなやりとりが聞える・・・紀美先生大丈夫かな・・・
それに、他の皆さんも・・・でも、私もあまり他の人の心配ばかりは出来ないみたいだった。
逃げたと思っていたけど、あの2人が追いかけてきていた。
「ふん、不意打ちには驚いたが、何、大した問題は無い」
「燐よ、まさかそっちに戻るとはな、まぁ、いい、まとめて殺すのみだ」
「あまり舐めないでね? 私達はあんたらが思ってるほど弱くは無いわよ?」
「ふん、舐めた口を、良いだろう、身の程を分からせてやる!」
どうやら、戦いは避けられないみたい・・・私も燐先輩の足を引っ張らないように頑張らないと!
それにしても、先生の状況は分かったけど、愛ちゃん、大丈夫かな・・・
「うぅ・・・い、痛い・・・」
「大した防御力だな、だが、守りだけでは勝てないぞ?」
「ふ、ふん、兄貴よりも下手な攻撃しか出来ないくせに良く言うぜ・・・」
「小学生のくせに乱暴な口の利き方だな、大人にはもう少し丁寧に話すべきだぞ!」
「く、あぅ!」
つ、強い・・・兄貴みたいに攻撃が防ぎにくいんじゃ無くて、とんでもない攻撃力で押してくる・・・
回避が出来れば大した相手じゃ無いのに・・・あぁ、どうせならこいつを紀美先生に頼めば良かった。
「大人に対する礼儀って奴を教えてやる」
「いらないね、どうせならそういうのは先生に習うさ」
「あの女か、残念だがそれは出来ないな、あの女はあいつらが殺すからな」
「それは無理だね、あの先生は強いからな」
とは言え、一切心配してないわけじゃ無い、いくらあの先生が強くても
兄貴みたいに自由に武器を変えられるわけじゃ無いし、対策を練られたら厳しいだろうし。
でも、心配する余裕は無い私はこいつを倒す方法を考えないと・・・
「さぁ、礼儀を教えてやる!」
「だから、必要ないっての!」




