山に行こう!
書類仕事を終わらせた次の日、咲の話で近くの山に行こうとの話しになった。
面倒だが、正直こいつの誘いを断る方が面倒くさいので仕方なく行くことにした。
どうも咲の奴は傭兵部の全員に声を掛けたそうで、何故か恋も誘われた。
恋は嫌だ、と言っておきながら顔を真っ赤にしていた、その後咲のアタックに負け付いてくることに。
集合場所は学校の校門前だ。
「で、まぁ、来たけど・・・、よく燐が来たな」
「まぁ、思い出作り位はね」
「ほう、珍しいな」
「たまにはね、そういえば私達を呼び出したご本人さんは何処かしら?」
「さぁ?」
呼び出しておいて本人はまだ来てなかった、どうやら俺達が先に来すぎたようだ。
そして、少しして恵美が、更にしばらくして咲がやってきた。
「ごめん!お待たせ!」
「遅い、お前が呼び出したんだろう?」
「あはは、いやぁ、服が見つからないし、BBQセットも見つからなくて、探してたの」
「あの、その重そうな荷物ですか?」
「そう!いやぁ、運ぶのに苦労したよ~」
背中にとても大きなセットを持っている。
かなり重そうだな・・・はぁ
「仕方ない、俺が持ってやるよ」
「え?良いの!?」
「あぁ、力はある方だからな」
「ありがとう!」
俺は咲の荷物を全部持ってやった、結構軽いな、大剣とかの方が重いぜ。
まぁ、金属の塊と比べるのも変なもんだがな。
それにしても、こいつらの服装はよく変わるな。
咲は赤い袖の長い服に黒の長いズボン、そして、茶色の防寒具にいつもの髪飾り
燐は黒い長袖に、黒いズボン、そして、黒い防寒具に黒のニット帽
恵美は白い長袖に白の長いズボン、そして、白めの防寒具にピンクのリボン
恋はグレーでフードが付いた長袖、ちょっとブカブカだけど、黒の長ズボンベルトで強く締めている
そして、俺が渡した花の髪飾りだ。
俺はいつも通りだな、皆靴はスニーカーで、山に行く態勢ばっちりだな。
恋は防寒具がないから心配だけど。
「恋ちゃん、防寒具はないの?」
「そんなの無い、兄貴は防寒具とか買わないから」
「俺は寒いのは得意でな」
俺は寒いのが得意だ、逆に暑いのは本当に無理なんだよな・・・
でも、冬は殺風景になることが多いから、どっちかと言えば夏の方が好きだ。
まぁ、暑いのは勘弁して欲しいけど。
「自分のを買えば良いのに」
「面倒だし、防寒具なんか無くても大丈夫、兄貴の妹だし」
「本当に大丈夫か?」
「大丈夫って言ってるじゃん!」
あぁ、恋はこうなると聞かないんだよな、まぁ、良いか、多分大丈夫だろう。
「じゃあ、山にしゅっぱーつ!」
「おー!!」
「へいへい」
恵美と咲以外はそこまで乗り気じゃない。
いや、まぁ、楽しんではいるんだが、あそこまでハイテンションにはなれないな。
しばらくして、山の入り口当たりに到着した。
「よし!着いた!」
そこは思ってた以上に木々が多かった、それに誰も入った痕跡がないし。
「おい、本当にここか?」
「うん!」
「誰も入った痕跡がないんだけど?」
「誰かが先に入った山なんてロマンも何もないじゃん!」
これはあれだな、迷うな、ここは引き返した方が良い、そうじゃないと絶対迷う。
「おい、帰った方が良い、絶対迷う、もしくは別の所にしろ」
「やだね!絶対ここ!」
「ふざけるな!って、お!恵美!何山に入ってるんだよ!」
「だって山ですよ!山!」キラキラ
恵美は目をキラキラさせながらドンドン奥に進んでいった。
「ちょ!待てって!」ダ!
「やっぱり法助も入るんじゃん!」
「恵美を追ってるだけだ!」
俺は急いで恵美を追っかけたが、体育の時と違って恵美は凄い体力で進んでいった。
楽しいことに夢中になると色々と壊れるタイプだったか。
「・・・嫌な予感しかしないわ」
「いや、もしかしたら楽しいハイキングになるかもしれない」
「恋ちゃん・・・あなたも随分楽観的ね」
「思い出作りって楽しいじゃん?」キラキラ
「あぁ、あなたも恵美みたいなタイプなのね」
結局俺達は山に入ってしまった。
引き返そうにも道とか無いし。
「あぁ、入っちまった」
「いやぁ!良いよねぇ!山の中って!」
「馬鹿、熊とか出たらどうすん」ガサ
大体この手の話題を出すと、実際に出てくるってのが鉄則だが・・・
いや、待て、流石にそれはないだろう・・・
「あぁ!熊だ!」
あぁ、やっぱりか、仕方ない、ここはこいつを倒して、BBQの材料にでもしようか。
「まぁ、熊程度じゃ、ビビらないがな」スチャ
俺は武器を出した。
そして、攻撃しようとしたが。
「ぎゃーーー!!熊だーーー!!」ダダ!
「あ!恵美!落ち着けって!」
恵美がいきなり走り出した、追わないと不味いと思った俺は恵美を追いかけた。
大体こういう時に我を忘れて走り回る奴は皆とはぐれて死にかけるからな。
「待てって!落ち着けよ!」ダダ!
「あぁ、もう!山なんて来るんじゃなかったわ!」ダダ!
「兄貴!待ってって!」
「おぉ、熊だ!初めて見た!」
しばらく走り、ようやく恵美を捕まえる事に成功した。
そして、少し時間を掛け、ようやく落ち着かせることが出来た。
「うぅ・・・ごめんなさい、走り回ったりして・・・」
「全くこんな場所で我を忘れたら大体死ぬぞ?」
「ひぃ!怖いこと言わないでください!」
「まぁ、今なら大丈夫でしょうけどね」
しかし、結構走ったな、ここ何処だ?
「・・・なぁ、兄貴」
「何だ?」
「咲が居ないんだけど?」
「はぁ!?」
恋の言葉でビックリして周りを見てみたが、確かに咲が居ない。
どっかではぐれたか!?
「おーい、みんなぁ!何処!?熊倒したよ!?」
私が熊を倒して周りを見たときにはもう誰もいなかった。
困ったなぁ・・・皆は何処行ったんだろう?
「もう!私を置いてくなんて酷いよ!?BBQしたいのにさ!」
大声で叫んでみたけど、やっぱり誰も返事をしてくれない・・・
うぅ・・・何だか暗くなってきたし・・・1人はさみいしいよぉ・・・
「うぅ・・・私は寂しいと死んじゃうよ!ねぇ!誰か返事してよ!」
私の声だけが周囲に響く・・・法助達の声が聞えない・・・
うぅ・・・こんなことになるんなら山登りなんてするんじゃなかった・・・
「咲!何処だ!!」
「咲!出て来い馬鹿!!」
「咲先輩!何処ですかーーー!!私達はここですよーーー!!」
「・・・返事がないわね」
「クソ!何処行きやがった!暗くなってるってのによ!」
こんな山の中で1人は不味い。
見張りが居ないと寝る事も出来やしない。
「仕方ない、音がデカくて動物が集まるのが怖いが、燐、銃を上にぶっ放してくれ」
「分ったわ」チャ、バン!
バン!と言う小さな音が聞えた、確か音が聞えてきたのはこっちだったはず!
多分燐ちゃんか法助が銃を撃ったんだ!
「こっち!」ダダ!
私はその音が聞えた方向に走った、でも、川があって進めない。
「うぅ・・・ここを渡らないといけないのか・・・少し深いんだけど・・・」
私は川を泳いで渡った、すごく寒かったけど1人でいる方が嫌だ!
私は川を渡って、なんとか合流できた。
「みんなぁ!!!」
「あ!咲!大丈夫か!」
「う、うん・・・」
「スゲー濡れてるみたいだけど、どうしたんだ?」
「あはは、その、川を泳いで渡ったから・・・クション!」
咲はかなり震えている、とりあえず雨風を凌げそうな場所を探さないと・・・
「そういえば近くに洞窟があったわ、流石は山の中ね」
「じゃあ、そこだ!」
「う、うん」ガタガタ
俺は震えている咲を背負って洞窟の場所に着いた。
中は外より寒く、とりあえず火を点けた。
「うぅ・・・さ、寒いよぉ・・・」
「そんなに濡れてたらな、仕方ないだろう」
「うぅ・・・」
「て言うか何で泳いだの?」
「ま、回り道するの・・・が、嫌で・・・その・・・クション!」
「そうなの」
こうして、迷ってしまった俺達、無事に帰れると良いが。




