日常を覆す重要な1日
呼び出しを食らった俺は咲と一緒に職員室へ入った。そこで待ち受けていたのは先生全員だった。
「良く来ましたね」
「えっと、呼び出された理由はなんでしょうか?」
大体見当はつくが一応聞いておいた。もし違ったらそっちの方が良いからな。しかし案の定呼び出された理由は今回の襲撃の事についてだった。
「この男の人はあなたが殺したのですか?」
「違います、俺は足を攻撃して動けなくしただけです!」
「では、何故この男の人は死んでいるのですか?」
「それは、この人が武器を投げたからです」
前も説明したが、自らの武器を手放すと言うことは命を手放すのとほぼ同じだ。そのため、武器は絶対に手放してはいけない、そんな事を出来るのは命を捨てる覚悟が無いと出来ない。
「・・・では、何故君は何故不審者に戦いを挑んだんですか?」
「私のせいです、私が動けなかったから、法助は私を助けるために・・・」
咲は事情を説明してくれた。先生達は納得したようだ。しかし、先生達の表情はまだ真剣そのものだった
「それでは最後の質問です」
「はい」
「あなたの他に誰か居ましたか?」
この質問の意味を理解するのにそこまで時間はかからなかった。俺がこの学園で出して、使っている
武器は剣だ。しかし、この男達に対する攻撃は銃撃だ。この世界のルール的に考えて俺が銃でこいつらを攻撃するのは不可能、だが、確かに銃での攻撃があるのだから誰かが他にいたと考えるのが自然だ。
「え、えっと・・・」
どうする?ここで他に誰もいなかったって言ったら俺が疑われる、だが居たと言っても誰が居たのかって
話しになる、八方塞がりって感じだ、その時だ、職員室の扉が開き。クラスメイトの燐が入ってきた。
「私です、私がそこに居ました」
燐はいきなり入ってきて、自分がそこに居たと言い放った。こいつが扱う武器も銃だし
そこにいたとしても不思議は無いが、こいつが俺を庇う理由が分からない。
「ふむ、確かに不思議はありませんね、良いでしょう、帰っても大丈夫ですよ」
「は、はい、分かりました」
「それと、今日はもう下校してください、クラスの皆にも伝えておいてくださいね」
「分かりました、失礼しました」ガラガラ
職員室から出た俺は早速、燐に何故俺を庇ったのかを聞いてみることにした。
「なんであんなことを言ったんだ?」
「別にあなたの為じゃ無いわ、あなたが居なくなったら咲がかわいそうだからよ」
と言う理由だそうだ、こいつはあの男達を倒そうと武器を出して近付いて居たときに俺が武器を変化
させてるのを見たそうだ、そして先生に呼び出されたのを知り、もしやと思ってきてみたらしい。
その時に俺が八方塞がりだと気付き、庇ったそうだ。動機は咲かもしれないが助かったぜ。
「それじゃ」
燐は去って行った、今更だが燐のフルネームは香原 燐、容姿はピンクの髪の毛で
ツインテールだ、そのツインを留めているリボンは意外と可愛らしい。
「燐ちゃん行っちゃったね」
「あぁ、さて、俺達もクラスメイトに今日はもう終わりってのを伝えて帰るか」
「そうだね」
俺と咲はクラスメイトに今日はもう下校だと伝え、帰った。
「その、今日はありがとね」
「気にすんな、でも本当、お前が無事で良かった」
俺と咲は家が近くで登下校はいつも一緒に行動していた。
「そんじゃ、ここでお別れだな」
「うん、本当にありがとうね」
「しかし、大人しいお前を見るの新鮮だな」
「う、うるさいなぁ、もう」
こいつはいつも騒がしい、何かと一緒に遊ぼうだのサボろうだの言ってきてたからな。
「じゃ、俺は行くぞ」
「うん、またね」
俺は咲に別れを告げ、家に帰った。俺が扉を開けると同時に妹の恋がすごい勢いで降りてきた。
恋は俺の妹だが、目の色は俺とは違い茶色だ、ただ、服装は俺と似ている
容姿は茶髪でショート、小学六年生の妹だ。来年俺と同じ中学に入学する予定だが、大丈夫か?
恋は母似で茶髪に茶色の目をしている、まぁ、俺は父親似だし、あまり似ているとは言われないな。
「兄貴!大丈夫だったか!?け、怪我とかは・・・」
「あぁ、大丈夫だ、怪我も軽い切り傷だけだし」
「け、怪我したのか!?ちょ、ちょっと待ってて、お母さん呼んでくるから!」ダダ!
「おい!もう怪我の手当はしてるって!」
こいつは普段、俺に対していつも冷たい態度を取っていた気がするが、流石に今回は心配してくれたんだな、しかし、こいつがここまで心配性だったとは思わなかったぜ。
「れ、恋、し、心配しすぎよ・・・」
「母さんだってずっと心配してたじゃん、今だって安心して動けてないみたいだし」
母さんは俺の事をずっと心配していたそうだ。今は安心してうごけないみたいだな。
「それにしても良かった、兄貴、私ずっと心配してたんだぞ?」
恋は半泣きでそう言ってくれた、母さんはかなり泣いてる。
「あぁ、心配かけてすまんな、でも大丈夫だ」なでなで
「うわぁ!や、やめろよ兄貴!」バシ!
撫でられたのが気に入らなかったのか?やっぱ俺は妹に嫌われてるのかもしれない。
「その、すまん」
「いや、その、あ、謝らないでくれよ・・・私が悪かったから・・・」
恋は顔を赤くして謝ってきた、やっぱ、怒ってんのかな?はぁ、嫌われてる理由はなんなんだろうか。
「だ、だから!ん!」
恋は後ろを向いた。やっぱり嫌ってるんだろうな。はぁ、部屋に戻るか。俺は恋の横を通って部屋に
戻った。
「へ?な、撫でないのかよ!」
「恋、素直にならないと駄目よ?」
「う、うぐぐぐぅ・・・」
部屋に戻り、俺はテレビを付けた、テレビでは最近の他国の進行を恐れる声を取り上げていた。
しばらくテレビを見ていると、突如砂嵐に変化したと思ったら画面が変わり。なんだか偉そうな
おっさんがテレビに映った、どのチャンネルでもだ。
「このテレビを見ている弱小国、ルーンの国民達よ、ごきげんよう、我は大国、オーブの国王、
リオス・エルドナードだ」
オーブはこの国からそう離れて居ない大国の名前だ。他の国を制圧して領土を拡大させている危険国家。俺達の国は小さく、資源もあまりないから攻められる危険は少なかった筈だが、ついに動きやがった!
「我がこのような大規模な事をした理由、君たちの様な低脳な馬鹿どもでも分かってるはずだ」
こんな事をするくらいだ、間違いなく攻めてくるだろう。しかし、この国にはあんな大きな力を止める
ほどの軍事力は無い。
「戦争だ、我々は君達を潰しに行く、分かってるだろうが、君たちの様な馬鹿な国民は皆殺しだ
土地を汚すゴミどもだからな」
この言葉が真実だとしたら、俺達に大人しく降伏するという選択肢は無いだろう。降伏すれば
国民は皆殺しだからな。
「しかし、軍は別だ、大人しく降伏するというのなら、君達は救おう、僅かでも戦力は大きい方が良い
こっちもあまり被害は出したくないんだ」
もしも、この言葉に軍が乗れば、この国の国民は間違いなく助からない。しかし、軍の連中も人間だ
命が助かるのならこの話に乗る可能性がある。糞が圧倒的な戦力を盾にするとはな!
あくどい真似しやがる。
「答えは明日の早朝までに出せ、それまでは待ってやろう、だが、返事が無い場合は拒否と言うことで
我々が一気に攻め込む、せいぜい賢い選択をするんだな。くく、ふははははは!」プツン
・・・テレビはリオスの高笑いとともに消えた。この放送でテレビは大混乱だ。
どのチャンネルもこの事についての会見ばっかだ。国は結論を出せずにいた。
「兄貴!今の見たか!?」
さっきの放送を見て、恋が俺の部屋に急いでやってきた。
「あぁ、最悪だな」
「母さんと相談したんだ、逃げよう!」
「逃げられるのか?」
「そ、それは、難しいかもしれないけど、でもこのままだと皆死んじまうよ!」
確かにその通りだ、国が戦闘を放棄せずに奮闘してもいずれは負ける、それに放棄する可能性だって
0じゃない、もしも放棄した場合は間違いなく国民は皆殺し。最悪だな
「・・・そうだな、逃げるか」
そのタイミングで新たにテレビで報道があった。内容は逃走しようとした国民が皆殺しにされたと
言う物だった。
「そんな!逃げれないのか!?」
「・・・」
更に悪い報告はそれだけじゃ無かった。報道によれば国が戦闘の放棄へ傾いていると言うことだ。
すでに半数の兵士が降伏をしているという。
「は、はは、私も、母さんも、兄貴も、もう死ぬしか無いのかな・・・」
恋は絶望した表情でそういった、確かにこのままだと俺達は殺される。
「・・・結局、私の夢は叶わなかったんだね」
「夢?」
「私の夢は、お兄ちゃんの・・・いや、やっぱりいい、どうせ叶わない夢だから・・・」
恋は静かに俺の部屋から出て行った。あんな恋は見てられない、でもどうする?こんなのどうにか出来る
レベルじゃ無い、一体、どうすれば・・・俺は家から出て外を歩いていた。すると咲と燐と出会った。
「あぁ、法助!良かった!法助が居ないと何も始められないからね」
「お前は元気そうだな」
「うん、だってまだ諦めてないし」
咲はいつも通りで安心した。しかし、俺が居ないと始まらないって何のことだ?
「ねぇ、私の案に賭けてみない?」
「案?」
「聞いたらあなたでも驚くでしょうね」
「は?」
燐は少し呆れた表情でそう言ったが、その表情には躊躇いは無かった。
「私達で敵の前哨基地を潰そう」
「はぁーーー!!!」




