異常な魔物
大型の魔物と遭遇し、戦うことにした俺達。相手は大型、明らかに他の魔物よりも格上だ、
今までの小型と違って少しは考えて動かないと勝てないかもな。
「でりゃー!」
「・・・」
「今だ!」
「了解!」
「食らえ!」
結構な猛攻撃。しかし、なんだろうか、当たってるだろうに何か嫌な予感がする。
「ふん、終わったわね、所詮見かけ倒しか」
「燐ちゃん!後ろ!」
魔物は一瞬にして燐の後方に回り、その鋭利な爪で燐に攻撃を仕掛けた。
あの図体で瞬間的に移動するのは普通じゃない!
「く!」
「クソが、重てぇ!」
「法助!」
俺は反射的に動いてきた。しかし、武器を盾剣に変えている、確かにあいつの動きは予想外だったが
不思議とあっさりと動けた。もしかしたら嫌な予感がしたから準備が出来ていたのかもしれない。
「この!」
「ふしゅぅ」
大型の魔物は燐の銃撃を簡単に回避した、明らかに普通の魔物の反射速度じゃない、完全に化け物だ。
「まさか!弾丸を回避するなんて!?」
「見た目からして並じゃないのは分かってたが、これほどとはな」
「法助先輩!さっきのなんですか!?なんで武器があんなに変わって・・・」
そういえば今まで見せてなかったな。説明する余裕はなさそうだし、でもこのままだと
混乱したままだろう、仕方ない簡単に話しとくか。
「俺は武器を自在に変えられるんだ、まぁ、説明してる時間はないし、この事は他の人には言うなよ?」
「え?え?わ、分かりました、黙っていたら良いんですよね?」
「あぁ、にしてもどうする?」
相手はほぼ確実に格上だ、こういう異常発達した魔物は普通は軍隊総じて当たってようやく勝てる程の
化け物だ、そんな化け物相手にたった4人で戦うのは自殺行為に等しい。
「ここは引いた方が良いと思います」
恵美の意見が1番なのは明白だ、こんな化け物相手じゃほぼ勝算はない。
人間では追いつけないほどの身体能力、正面からじゃ絶対に勝てないし、銃弾も避けられる。
唯一の救いはこいつが獣だと言うことだ、知能に乏しいし、なんとかすればまけれるだろう。
「いやよ、このまま逃げるなんて」
「で、でも!」
「私も嫌かなぁ、法助に負けるのはまだ良いけど、魔物に負けるのは絶対に嫌!」
しまった!咲のスイッチが入っちまった、こうなったらこいつは引かないぞ。
「・・・はぁ、仕方ない、お前らを死なすわけにはいかないからな、俺が盾になる」
「法助先輩まで!」
「恵美、ちょっと聞いてくれ」
「え?」
俺は恵美に紀美先生の元に行き、このことを伝えてくれと小声で話した。
もしも大声で呼んだら魔物を刺激する危険性もあるしな。
「分かりました」
「なんの話をしてるの?戦わないと!」
「はぁ、お前らは本当、振り回される方の身にもなれよ」
「ふしゅぅ、ぐら!」
魔物は再び瞬間的に移動した、今度のターゲットは俺のようだ、まぁ、正直の方が良い。
「く!」
「ぎゅら!」
盾で防いだ直後、もう一方の爪で攻撃してきた、速く、目で追うのは困難だ。
しかし、何処を攻撃しようとしているか分かれば、止めれる!
「この!」
魔物の攻撃箇所を予想し、剣でその軌道を阻もうと剣を振り下げた、その時、偶然魔物の腕を切り
魔物はひるんだ。
「ぐが!」
「今だ!」
「はぁ!」
2人の攻撃は魔物に当たった。流石の化け物でも痛みによって隙が生じたのか。
はは、運が良いな。
「よし!良い感じ!」
「このまま行きましょうか!」
しかし、魔物もやられっぱなしではなかった。魔物は燐の銃弾を避け、再び間合いを詰めた。
「ぐらぁ!」
「そんな!?」
「ちぃ!」
俺は魔物の攻撃を再び防いだ。しかし、魔物はその直後に怪我をした方の腕で俺を攻撃してきた。
「く!しま!」
「法助!」
「ぐ、ぐぅ・・・」
俺は魔物の攻撃の直後に少しだけ間合いを取れ、致命傷は回避できた。
しかし、傷は結構深い、正直なところ派手に動けるのはあと数分だろう。
「がう!」
この魔物は獣である故に狩りの基本が分かってるんだろう。深手を負った俺に再び近付いてきた。
しかし、あれだな、俺の能力は意外と便利だ。武器になるのなら
「ぐ、らぁーー!」
糸にだって変化できる。俺は魔物が近づいてくるであろう方向に糸を張っておいた。当然糸の先端は
持っている、武器を離すのは危険だからな、そんなへまで死にたくないし、そして罠を張ったのは
さっき吹き飛ばされたときだ、相手が獣ならこう来るだろうと予想していたからな。
「はぁ、はぁ、へへ、糸は意外と切れるだろ?攻撃に力も要らないし便利だろ?」
「・・・はは、本当、法助は戦いの天才だね」
「咲、お前が糸はかなり切れるって教えてくれてなかったら考えもしなかったぜ?」
「え?・・・あ!もしかして小学生の時のあれ!?」
俺は小学生の時に糸で指を切ったことがある、その時に咲に気を付けろと言われていた。
こういう妙な事は良く覚えてるんだが、不思議と勉強は覚えられない。
「ていうか法助!大丈夫なの!?」
「ん?あぁ、大丈夫・・・じゃないかな」
「え!?」
正直今は立ってるのがやっとだ、少しだけ目の前もかすんできた気がする。
なんか、さっきの魔物の幻覚まで見えて・・・違う!
「咲!燐!後ろだ!」
「え!?」
「ぐらぁ!」
「くそ!」
俺は急いで魔物に接近し、刃物を突き立てた、手応えは十分!このまま行けば倒せる!
「法助!」
「うりゃー!!」
咲は俺が刃物を突き立てた瞬間に近寄り、槍で魔物を突き刺した。
「が、ぐらぁ!!」
しかし、その痛みに負けずに、魔物も咲に攻撃を仕掛けた。
「きゃー!」
「咲!」
魔物の攻撃で咲は吹き飛ばされた、俺は反射的に咲の方を振り返り名前を叫んでいた。
しかし、この行動を後悔することになる。
「法助!危ない!」
「く!」
「ぐらぁ!」
「が・・・は・・・」
魔物の攻撃は燐の弾丸で若干ズレたが、俺はその攻撃に直撃してしまった。
切り傷もかなり深く、血も相当出てやがる、だが燐が撃った弾丸が無かったら間違いなく
即死だっただろう。しかし、この傷、どっちにせよさっさとなんとかしないと・・・死ぬな。
「う、うぅ・・・痛た・・・あ!法助!」
「う、ぐぅ」
咲も怪我をしてるってのに、俺の方に走ってきた。
「しっかり、しっかりして!」
「ぐる、る」
咲の後ろに見たくない物が見えた、あの魔物だ、あの魔物は瀕死のようだが立ってる。
意地でも俺達を殺すきだ、燐は銃撃を叩き込んでるようだが倒れそうに無い。
「咲!法助!逃げて!!」
「ぐらぁ!」
「法助!」
そこに居た全員は同時に目を瞑った、反射的な物だろう、その一瞬遅れて
顔に大量の液体がかかったのが分かった、俺は最悪のケースを想定した。
それは、咲の死だ、あいつは俺の上にいた、つまり、この液体は・・・俺は怖くて目が開けれなかった
しかし、少しして、ゆっくりと目を開けた、そこに見えたのは無残に切り刻まれた魔物の姿だった。
そして、その後ろには恐ろしい形相をしている先生の姿があった。
「はぁ、全くあなた達は、先生があと少し遅れていたらどうなってたことか・・・」
先生はさっきまでも表情とは全く違う、呆れた表情になっていた、あの表情はあの一瞬だけだった。
「せ、先生・・・」
「法助・・・咲・・・良かった、本当に良かった」
「それよりも皆さん、怪我はしてませんか?」
「先生!法助、法助が酷い怪我なんです!」
「え!?本当ですか!?急いで見せなさい!」
俺はさっきまでの緊張もほどけ、薄れていく意識の中、皆が心配そうな顔で俺を見ているのが
分かった、はは、こんな風に死ぬのも悪くないかもな・・・てか、もしもこの中に
恋、母さん、父さんが居たら、完全に死に逝く人って感じだな・・・




