似た者同士
恋愛において、よく「価値観が違うからこそ長続きする」と聞くが、それが果たしてその通りなのかはわからない。
あるカップルが些細な原因で喧嘩をした。相手の嫌な部分が増大して自分を襲い、いっそのこと別れてしまおうかと思うが、何故かそんな考えが頭を過るのは一時的である。
観ていたテレビ番組を、彼氏と彼女が同じタイミングで笑う。二人は顔を見合せ気まずそうに苦笑した。「ごめん」という言葉はなかったが、それで良かったし、それが良かったのかもしれない…。二人の間に存在した雪は溶け、二人は再び陽の光の中に立った。
心の中で、「自分達は似た者同士」と思った。
そして、互いの正体を知らない人間の男に化けたタヌキと、人間の女に化けたキツネは、この幸せがずっと続けばと思っている…。