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 ボクはチャーチベル博士に、人類の平和と進歩のため、責任があるはずだと告発された。

 確かにボクは、時計の針を進めてしまった張本人だ。だが遅かれ早かれ、誰かが物語の秘密を見出していたに決まっている。長い人類史を紐解いても、きっと何度かそういう事件が起こっていたはずだ。

 今回はたまたま、それがボクの番だったというだけの話で。


 けど、その役割を負ったのがボクで良かった。《小咄菊造くん》は今の人類には少し早すぎる。

 だが一度形になったのだから、強奪されるまでもなく、どのみち誰かに解析されるのは時間の問題だったのだ。だからボクは、行き過ぎた時計の針を、再び押しとどめるという計画を企てる。

 恐らくは将来的にも先進国が軍事力と財力を占有し、富が分配されることはないだろう。だから、人の持つ希望だけでも、世界の非対称性を崩しておくことにする。


 ボクは世界中の途上国で、同時多発的に天才を作り出すという計画を立てた。

 彼らは近いうちに傑作を量産し、《ギフト》で作られた物語は凡作となるだろう。すると今度は文化の中心が途上国になる。

 富があっても希望がなければ、人は健やかに生きて行けない。先進国が文化的に劣るようになれば、新たな若者の尊敬は母国でなく、そうした途上国に集中する。


 金と力があっても文化的に劣るのなら、それは野蛮で悪趣味な成金に過ぎない。誰からも尊敬されなければ、自らの誇りを維持するのは不可能だ。

 力量の差がありすぎる者との平等は、不公平になる。だが自分より弱い者からも、頭を下げて学ぶべきことができてしまったとしたら。いつか、互いが対等な立場で語り合える世界がやってくるかもしれない。


 この計画こそがボクにとって、責任の果たし方だ。友人であるチャーチベル博士との約束だからな。仕方ない。

 ちなみにアメリカは……もう既に《ギフト》があるから大丈夫、大丈夫。今さら天才の量産なんて、もう不要だろう。うん。

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