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降って湧いたような、あまりの出来すぎた話に、パウロは悩んでいた。
「俺でも……なれるかな」
「誰でもなれるさ」
「才能なんてないぞ」
「関係ないさ、ボクが教えるならね」
ボクがなぜ天才を生み出せたかって? 苦笑するしかない。無意識とか他者性とか神話とか関係ない。書きたいことがあって、伝え方を知っているならば。人との新たな出会いを楽しめるなら。
きっと誰でも天才だよ。特別でも何でもない。
「でも……」
「ただし、ひとつだけ条件がある」
ボクはかつて、恩師にかけられた言葉を次世代に託す。
「な、なんでもやるさ。修業が辛くても耐えるし。金が要るなら用意する」
「書き続けてくれ。それが教える条件だ。若い君がボクみたいな年寄りになった時、次の世代の子供たちが、新しい物語を生み出せるよう。物語を受け継いで欲しい」




