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 地元で頼まれて創作教室をやることになった時。ボクの中には、ひとつの考えがあった。《小咄菊造くん》のプログラムと同じような思考のできる人間がいたとしたら、どうなるか。

 結果、人間の脳が持つ、物語を作ろうとする働きを活性化させることに成功。さらに長年の研究を重ねた末に、ボクは天才の育成法を確立してしまった。

 ボクは子供たちの喜ぶ顔がみたくて、だから童話作家になりたかったが。才能がなかった。だが、人を育てる才能はなら持っていたらしい。


 しかしボクはその研究と指導方法を、デジタルデータとしては残していない。全て、普通の大学ノートに書き記していた。

 つまり、このノートを探し当てなかった時点で、マンハッタン計画の負けは既に決まっていたのだ。傲慢さは視野を狭くする。どうせ、目的となるサーバーさえ手に入れば、全てが思い通りになるとでも信じ込んでいたのだろう。さらにその先なんて想像もせず。

 ノートの表紙にはわざわざ、太字マジックで「小咄菊造くん・バージョン3」と題名まで書いてあげているというのに。


 ボクは「このプログラムの秘密をお教えしよう」とは宣言したが。研究の全て、ましてやこのノートについて話すとはいっていない。

 亡き父の言葉を借りるなら、ウチは印刷屋だぞ。ペーパーメディアこそメインに決まっているだろう。

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