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 決して豊かとはいえない、この国で。さらに貧しい者たちは、郊外の貧民街に住まうことになる。好景気に沸く首都だったが、郊外はいつまで経っても未開発のままだった。

 元から治安の良い場所ではなかったが、最近は地方からの出稼ぎも押し寄せて、イザコザが多くなっている。

 誰もが輝く未来を想像できず、酒と薬に溺れる。ここ貧民街で大人になるとは、理想を捨てること。夢を持てるのは、現実をまだ知らない子供たちだけ。


 だったら、こんな年になっても夢を捨てきれない自分は、まだ大人になれていないのだろうか?


 貧しいこの国では夢を見ようと思ったら、どうしたって体ひとつでできる仕事ということになる。すなわち作家か、さもなくばスポーツ選手だ。

 夢見る子供たちは普段なら、ボロボロの手作りボールでサッカーをして遊んでいるはずだ。だがパウロが帰宅すると、どうも様子がいつもと違う。サッカーをしている子供が少ない。しかも、そのグループの中には、見知らぬ子までいる。だが初顔だというのに、みんな旧知の仲のように、楽しげに遊んでいた。

 顔つきからして、いかにも東洋人風で、この国の人間とは違う。チャイニーズかなと考えたところで既視感。


 他の子供たちはすぐ近く別の場所にいた。人だかりになっている。どの子も本を手にし、笑顔で読んでいる。人だかりの中心には老人がいた。

「やあ、意外と早い再会になったね」

 昼休みに会った日本人の老人だ。

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