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アメリカも自信を喪失したとはいえ、実際のところ経済的にはむしろ微成長していた。
海運方面での成功。少年兵貿易関係への投資。中以国への兵器輸出による軍需の好景気。国策に近い大企業ほど潤った。
結果、格差化はより拡大。医療や教育を受けるのは、より高額化。特に大学教育は富裕層でもないと不可能となった。自然に、有名大学は良家の子弟ばかりになる。すると一流企業は学歴を理由として、社員を採用するようになる。実質は貴族の家督継承のようなものだった。
かくして学歴による身分差が明確なものとなり。アメリカは実質、貴族制資本主義社会となる。
これに対し、格差の拡大に反対するリベラル派の人々が抗議運動を起した。議論は日に日に激化。すると貴族主義の大統領が、リベラル派を「バカは死なないと治らない」と発言。リベラル派も「バカといった方がバカだ」と反論。両者は激突寸前にまで緊張が高まる。
プロパガンダが効果をなくしてしまった現代社会の、あけすけな水掛け論がここにあった。
かくしてアメリカは東西で独自に大統領を立てて、事実上の分裂状態となる。一時は南北戦争の再来かと、人々の肝を冷やしたが。好景気で金のあるうちは本気の内戦になることはないだろう。




