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その後ボクらは散々な目に遭いながらも、どうにか近くの町まで到着。交通機関を乗り継いで、日本まで帰国することができた。
帰国すると驚いたのは、ボクが失踪したということでニュースになり、大騒ぎになっていたということだ。なぜボクなんかがいなくなった程度で騒ぎになるんだと思ったら。どうやら正確には、《小咄菊造くん》が公開停止になっていたから騒がれていたらしい。
なるほど。自宅サーバーを引っこ抜かれたのだから、そりゃあサイトも公開停止になる道理だ。
どこから知ったか自宅には連日、報道陣が押しかけて、ボクは質問攻めに遭った。だがボクは何も答えなかった。答えられるはずがない。外交問題だ。喋れば大いに問題が起こるし。正直に話しても信じてもらえるまい。
ただ、もうひとつの質問。サイトを再開する気はあるのか。これについては明確に、その気はないと返答しておいた。
《小咄菊造くん》はボクが作ったものだ。完成品をなくしたところで、新しく再現できないはずがない。だが、もう色々と嫌気がさしていた。争いの種は懲り懲りだ。
若門書房の方からもエージェントがやってきて、今までの分のアフィリエイト代金を報告し、サッサと去って行った。恐らくは上の方から何か聞かされているのだろう。
だが《小咄菊造くん》がサービスを停止した間にも、世界のコンテンツ産業は大きく動くことになる。




