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 そして、とうとうグローバリズムに限界が見えだした。

 安価な労働力を求めて、世界中の貧困国に工場移転を繰り返した結果。世界的に人件費が上昇してしまったのだ。かといって遠隔地すぎても、輸送費がかさんでしまう。

 グローバリズムにとっては、人件費の安価な未開地こそ、目指すべきフロンティアだ。そのフロンティアが、ついに尽きてしまった。手近な場所に、安価な労働力がなくなったのだ。


 また世界中を転々と工場移転を繰り返した結果。全世界的に平均して工業力のインフラが整ってしまった。

 そこに3Dスキャナの進歩で、部品ならどこへでも供給できる。識字率の上昇で、知的水準も上がったため、組み立てのできる職人も増えた。結果、近所の町工場さえあれば、大工場と同じ製品が作れるまでになった。

 大量生産の中心として生産を行う「世界の工場」は分散し。代わりに世界中が工場となった。


 消費が発達すると、嗜好は細分化する。グローバリズムは世界中の人間を市場倫理に巻き込み、消費者とした。だが消費者が増えれば、それだけ嗜好の選択肢が増える。大雑把なグローバリズムでは、細かな嗜好にまで対応しきれなかった。

 代わりに、生産力を持った町工場が、自分たちで自分の欲しいものを作ってしまう。フェイス・トゥ・フェイスで互いの要望を交換し、品質を高めた。これは大量生産では不可能な芸当だ。


 さらに、この頃になると物流革命が起こっていた。ネットによる細やかな商品管理。そして省エネ技術を結集させた、エコシップによる大量輸送。ふたつが揃うことで砂漠や密林にも、ネット通販の注文が正しく届くようになっていた。

 さすが、アメリカはこうしたシステム作りには強い。

 この流通システムを応用。余剰や不足が生じれば、その時はじめて、ネットによる生産管理で過不足を補い合う。町工場の連携で、一極化された大量生産にも等しい生産力を維持できた。


 地元の限られた人間だけで、地産される富を消費しているうちは、決して取り尽くさないよう相互管理が行き届いているものだ。だが、よそ者にそんな事情は関係ない。グローバリズムは、責任のないよそ者が地元の富を根こそぎ奪うことで悲劇を振りまいた。

 再生産のない収奪は、全体で見れば共有資源を最小化することに繋がる。未来がない。木を切ったなら、誰かが新しい苗木を植える責任を負わなければならないのだ。


 といっても再生産性の継続には、土地ごとの細やかな配慮をしなければならない。そんな細かいこと、大雑把なグローバリズムには無理な話だった。

 必要なのは、当事者としての責任感と、そこに住む人間のやる気と教養。ローカリズムがそれを可能にしてしまった。

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