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 中以国の主産業はまず、米軍業務の下請けとして民間軍事会社の傭兵が世界各地の戦場で、略奪と破壊の限りを尽くした。そして、さらってきた人々を奴隷として輸出。戦災孤児は少年兵として利用した。

 そして租税回避したい国際企業を、大幅優遇することで本社機能を引き受けた。安価な労働力もあるので、工場の移転も積極的に受ける。特に欧米の軍事産業がこぞって参加した。


 だが会社機能の大半を本格的に移転したところで突然、法改正。再移転できないよう囲い込む。それでも中以国から出たければ、工場施設から何から、全て現地へ置き去りにしなければならない。そうすれば中以国は整備されたインフラを再利用できる。

 中国に工場移転した日本企業が、さんざんにやられた手口だった。


 そして経済的にも軍事的にも充実しだしたとことで、中以国は周辺諸国へ侵攻。領土拡大を開始した。

 元から人の住む土地に現れ、問答無用に塀と鉄条網で囲ってしまう。そして近代的な建物を造ってしまい、自分たちの土地だと主張するのだ。

 これは西部開拓時代に、アメリカ移民がインディアンに対して行った真似と同じであり。最近なら中国やイスラエルも周辺に町を広げ、領土拡大を行っていた。いわばお家芸だ。

 周辺諸国からの圧力を弱めるためにも麻薬の製造にも注力した。

 もちろん地元住民の抵抗に遭ったが、そろそろ国内の奴隷供給がおぼつかなくなった頃合いであり。むしろ奴隷獲得のために周辺諸国への侵攻を行っていたともいえる。中以国にとって、戦火の拡大は願ったり叶ったりだった。


 かつて聖地へ侵攻した十字軍の海軍は、軍艦不足から海賊が業務を担っていたこともある。そして戦地でガレオン船のオールを漕ぐ奴隷が少なくなると、どうしたか。海賊らしく、異教徒の村や町を襲い、漕ぎ手奴隷として使った。

 そして海賊への投資から、株式が産まれ。オールの漕ぎ手のための奴隷が、アフリカからアメリカへの黒人奴隷貿易となる。黒人奴隷で潤ったアメリカは奴隷制廃止後も、安価な労働力を求めてグローバリズムを発達させた。

 資本主義において、海軍と海賊行為と奴隷貿易とは、ずっと密接な関係にあった。ゆえに資本主義と共産主義とが合体した、西欧文化の行き着いた果てともいえる中以国が、主産業に海賊と奴隷貿易を選んだのは当然の帰結といえる。


 そして中以国はローカリズムへの恨みを忘れてはいなかった。まずはアメリカン・レーティングを国是として採用。さらに独自の解釈を次々に加えて、言論弾圧に利用した。そうして表現規制運動は更に過激化することになる。

 日本のマンガは悪魔の書であるとして、焚書が薦められる。ポルノ的創作物の所持者は反国家的思想病患者であるとして、重罪になった。さらに創作狩りを世界中で速やかに行うためにも、司法を簡略化。個人の裁量による、クリエイターへの私刑を推奨した。

 これを指導者ビッグブラザーは聖なる文化大革命と呼び、焚書のために武装を持つアグニス機関という組織を設立。世界各地にエージェントを送り込みテロや暗殺を行ったが、国際社会は黙殺した。


 最初はイスラエル難民こそ流れ込んでいたものの。とっくに真面目なユダヤ教徒は中以国内にはいない。律法も、神の愛もない。あるのはローカリズムを生んだ世界への、逆恨みのみ。物語を編み出す自由はない代わり。戦火を広げる自由と権利だけが行使される。

 ボクが《小咄菊造くん》をプログラミングした頃からは想像も出来ない。まさに、今まで見たこともない光景だった。まるでSFのディストピアのよう。いや、ボクも年を取った。今ここは既に、遠い未来なのだ。


 そして激しい奴隷狩りの結果。中以国のあった土地に元からいた人々は、危険思想に汚染されているとして民族ごと浄化。今では、元からの文化が残るどころの話ですらない。ひとり残らず根絶やし、人種ごと絶滅したそうだ。

 ボクらを招待してくれた、あの国の人たちは、もはやいないのだ。

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