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 水と食料を支配され、全世界がグローバリズムの市場倫理に従わざるをえなくなった。もとからある自然の恵みは砂漠化し利用できない。

 ともかく金を稼がなければ生きてゆけない。

 貧しさで親から捨てられた子供たちが、どうすれば食ってゆけるか。児童売春でもやるしかないのだが。先進国から派遣されてきた人権監視団体により、非人道的な売春も禁止された。

 ならば力の弱い子供たちは、どうやって生きてゆけば良いのか。あとはもう、自らの人権しか売る商品はなかった。


 ローカリズムにより平和な時期があったため、世界人口は微増。これが余計に食料と水不足に拍車をかけた。

 増えた分の口減らしのため、子供たちは合意の上で、合法的に、民間軍事会社へ兵士として就職した。

 そうして戦争で当たり前のように少年兵が使われるようになった。


 少年兵は現地調達できる。しかも無人爆撃機よりも安価で替えが効く。少年兵は各分野に重宝された。

 弾除け。地雷除け。捨て駒。さらには正規兵士の戦場におけるストレス解消のため、性のはけ口にもなる。やむを得ない理由で死んだら、医療用に臓器を再利用。

 とうとう民間軍事会社から、少年兵の輸出業務に専念しだす会社まで出てきた。


 「輸出」された少年兵の用途は多岐に渡った。例えば、労働力として工場で活用される。社会保障も、残業代も必要ない。サボタージュすることもない。時給は数円で充分。死亡事故や自殺で損耗しても、いくらでも安価に替えが効く。グローバル時代の価格競争に、次々と優良企業が活用した。

 また変態の金持ちが愛玩用に少年兵を購入することも多かった。移植用の臓器も富裕層に需要がある。


 少年兵の輸出といっているが、誰もが理解していた。これは体のいい奴隷貿易だと。

 だが当のアメリカは、自国内でやっていない。第三国にアウトソーシングされた企業が勝手にやっているだけだ。合意の元、会社員として雇っているだけ、という言い訳を決して崩さない。

 人権管理団体のバックには企業がスポンサーについているので、問題視もされない。疑問に思う人々も愛国言論法案のせいで活発な議論は行われなかった。


 立場の弱い子供が奴隷になり。奴隷が資本家の代理として戦争し、死んでゆく。プロパガンダの失われた現在、既に建前としての正義すらなくなっていた。大国と資本家は堂々と開き直り、私欲を満たすためだけに戦争を行う。

 世界の正義を守るアメリカの、ダブルスタンダードによる、これがヘドの出そうな結末だった。


 そして、とある小国があまりの非道を見かね、アメリカに宣戦布告をした。その国はアメリカに届くミサイルなど持っていない。一個の法治国家としてテロなど行えない。だが苦しむ人々を前に、許せなかった。

 だが宣戦布告の数日後。その国は大量破壊兵器を所有しており、国際秩序を乱すテロリストの巣窟であるとして、大規模な空爆を受けた。大統領も残虐な独裁者だとして暗殺された。ひとつの国が地図から消滅した。


 そこはかつて、ボクら親子を招待し歓迎してくれた、あの国だった。

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