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 世界中の国々がローカリズムによって自信を取り戻す中。反面、ローカリズムの恩恵が少なかったのはアメリカだ。


 といってもハリウッド映画の収支が減ったわけではない。変わらずグローバル市場で売れている。そう、変わらないのだ。

 エンタテイメントの市場規模はローカリズムにより、何倍にも膨れあがっていた。なのにハリウッドの売れ行きだけが、下がりもしないが、上がりもしない。

 しかし売れ行きが下がっているのではないならと危機感は薄かった。だからエンタテイメントでは収益よりも大事な、影響力の低下に気づくのが遅れた。


 アメリカは移民国家らしく、各人種をマーケティングし、白・黄色・黒とあらゆる肌の人種を満遍なく映画に登場させていた。そうすれば、どの人種が映画を見ても、誰かに感情移入してくれるはずだった。

 ところがローカリズムによって、各国の各人が勝手に、自分の民族が主人公になった物語を作るようになってしまう。すると、かつてのインドや日本のように、コンテンツの自給自足が充分でシェアが奪えなくなる国が増えてしまった。


 どうにかシェアを奪おうとしても、ハリウッドはローカライズが苦手だ。インドを若門書房に取られたのも痛かった。仮に一地域におけるローカライズに成功したとしても、今後はグローバル市場に通用しなくなる恐れもある。


 飽和した市場において、消費者の嗜好は細分化する傾向にある。グローバル市場での勝負に特化したハリウッドでは、消費の細分化に追いつけなかったのだ。結局は、地産地消が理想だったともいえる。

 チョロく得た技術は応用ができないものだ。よその国に伝わる物語を元ネタとして使ってやる、というハリウッドの戦術は細分化された嗜好に合わなかった。


 制作システムも時代に追いつけなくなっていた。

 「ネヴァー・ビフォー・シーン・イメージズ」すなわち「まだ見ぬ景色」をいかに表現するか。ハリウッドはそれをCGのみに頼るようになってしまった。企画については「いま日本で何が流行ってる?」が会議の合い言葉になって、自分の頭で考えようとしない。

 これがアダになった。


 技術の進歩でコンピューターの処理速度が増えても、人間の認識には限界がある。とうとうCGの進化に行き詰まりが見えだしてきたのだ。

 携帯が一台あれば映画を撮影できる時代。CGアニメすら、フリーウェアで最新のネズミー映画と遜色ないエフェクトが配布されている。高度なCG技術はとっくに一般化・陳腐化していた。誰でも使える、ありきたりな技術に過ぎない。

 ならばアイデアで勝負をするべきだったのだ。だがアイデアのみで、ずっと勝負をしてきた日本に勝てるはずもない。すると、どうなるか。ハリウッド映画は「グラフィックは豪華なのに、システムは平凡なゲーム」扱いをされるようになった。


 しかもネズミー社はCGによる、アニメーターの削減を行っていたが。その本質とは、CGでも手書きアニメのような映像を作ることにある。

 だがCGが極限まで発達した現在。更なる高みを目指すには、より優れたアニメーターによる手書きのテクニックを参考にしなければならない。ところがネズミー社は手書きアニメーターをリストラしてしまい、技術が失伝してしまっていた。

 結果ネズミーのCGアニメは細かいだけで、どこかで見たことがある。「まだ見ぬ景色」からは程遠い。「グラフィックは豪華なのに、システムは平凡なゲーム」になっていった。

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