表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/81

25

 ローカリズムで自信を取り戻した日本。と共に地元も賑やかになっていた。町内会ですっかり遅くなった夜。帰宅すると玄関で父が出迎えてくれた。珍しい。

「最近ここらの景気が良くなったのは、お前の仕事だって聞いたんだが、本当か?」

 父からボクに話を振ってくるというのも珍しい。ボクは「ああ」と濁した形で肯定の返事をした。実際、凄いのはボクじゃないしなあ。


「ウチは紙を扱う印刷屋だってのに、息子がコンピューター屋かよ。別んトコで出世しやがって」

 また愚痴かと思ったら父は意外にも笑顔で、

「お前はお前で、自分の仕事を成し遂げていたんだな」

 とだけ言葉を残すと、さっさと寝室に戻ってしまった。その翌朝、父は布団に入ったまま、ポックリ逝っていた。


 ボクが知らなかっただけで、どうやら父は人望があったらしい。商店街中の人間が集まったかのように盛大な葬式が終わり、数ヶ月して落ち着いてきた頃。《小咄菊造くん》がハッキングされる。

 データを盗まれた痕跡を見つけてから数日後、お隣の国で重大発表が行われる。なんと自分たちも《小咄菊造くん》に匹敵する、物語生成プログラムを開発したというのだ。

 だが公開された「それ」は、全く動作しない。お隣さんは慌てて公開を停止した。


 実はボクがレンタルサーバー上で公開しているプログラムは、リクエスト受付フォームと、生成された物語テキストを表示する機能しか持たせていない。

 そのプログラムが、物語生成プログラムが搭載されている自宅サーバーとテキストデータのみを送受信。物語生成プログラムには誰も直接、アクセスできないようにしてある。

 どうやら、お隣の誰かさんは、テキスト表示プログラムのデータだけを盗んだらしい。そりゃあ物語が生成されるわけない。


 盗人は世界で散々な笑いものになった。

 しかし被害こそなかったものの、ハッキングによりボクは大事なものが冒涜された気分だった。

 腹の立ったボクは《小咄菊造くん》をバージョン2にアップデートすることに決めた。検索ロボットが自動でネットや、創作系SNSを巡回。勝手に内蔵辞書のデータベースを更新する。いわば、最新の流行に対応する《小咄菊造くん》だ。


 かくしてローカリズムの流れは加速した。反面、ローカリズムに対応できない者を出してしまった。ローカリズムの光が照らせない、影がより濃くなる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ