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インドのボリウッド映画も、安価な頃はロシアやアフリカに普及していた。だが将来的にハリウッドと対抗するには、著作権をちゃんと管理しなければならない。すると、どうしても価格は上がってしまい、ハリウッドに押されるようになってしまった。
だがクールで若者向けに受けるハリウッドと違い。「歌と踊り」を必ず入れなければならないボリウッドは、どうしても古臭く見られてしまう。独自のクールさをどう出すかに苦心していた。
そこで日本の新しさに飛びつく。
まずはフォーマット・トレードで何作か、日本コンテンツをリメイクする。そのうち、ファミリーものが大ヒットした。ボリウッド映画は中東イスラム圏でも流通している。日本の家族観や、伝統的なヒンズーの倫理観が、イスラムの教えに合致したのだ。
しかもインド映画の「歌と踊り」は、日本式のテレビドラマ戦略と相性が良かった。日本でもかつて、トレンディドラマに主題歌をセットで流行させていた実績がある。
やはりインドで急成長を遂げていた通信会社と提携。主題歌をケータイの着メロとして展開した。あまりDVDを高額で流通させられないとしても。人口の膨大なインドだ。関連グッズの収益が、塵も積もれば山となる。
またアジアで注目すべきが、インドネシアだ。インドネシアは比較的表現の自由が認められていた。地政学的にも東南アジアの流通ハブとして機能する。
ゆえにインドネシア映画には、既に質の高い作品が揃っていた。ところが自信のあったアクション映画がハリウッドで下手にリメイクされてしまい、痛い眼を見てしまう。他の手はないかと模索中だった。
そのような事情を持ったインドネシアが、若門書房の話に飛びついたのは必然だった。
地理的に同じアジア圏だから、日本コンテンツにも昔から慣れ親しんでいる。独自の特撮ヒーローなど、フォーマット・トレードも既に行っていた。アニメの作画といった、各種の下請けも既に任されている。若門書房との提携はスムーズに行われた。
インドネシアから環太平洋アジアへ。インドから中東へ。日本コンテンツ、もしくは日本テイストのコンテンツが拡がっていく。




