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 《小咄菊造くん》によって、面白いストーリーなら自動で作れてしまう。すると創作者は、アイデアや、表現様式の新しさで勝負するしかなかった。

 日本国内では表現様式が成熟。次々と新しい表現が編み出された。


 ところが事件が起こる。数百万ドルの高額で競り落とされた作品を巡り、現代アート界で騒ぎになった。知る人ぞ知る。完全に、日本コンテンツのパクりだったのだ。

 しかしアーティストの方は「日本を参考にアートを再発見したのだ」と芸術性を主張。意見がまかり通ってしまった。するとチョロく同じ手口で一儲けしてやろうと考える人間が他にも出てくる。次々に日本人が作った作風を「再発見」したアートが発表された。


 一時だけ現代アートは確かに賑わう。パクり作品が高額で飛ぶように売れた。この流行は第二次ジャポニズム芸術と呼ばれた。

 だが、あるバイヤーが気づいてしまう。だったら最初から、オリジナルの作風を編み出した本人の作品ならば、もっと高額で売れるんじゃないか? と。


 世界はとうとう気づきだした。最初はマニアから、そして一般層にも。

 景気の低迷した国際社会の中で、ジャパン・コンテンツだけが売れている。気づけばマスメディアに流通するコンテンツも、日本というクレジットが入ったものばかり。しかも、どれもが異常に面白い。

 どこか、がおかしいのではない。日本だけがおかしい。


 なぜ日本だけが面白いコンテンツを洪水のように、大量に生み出せるのか。

 どうやら《コバナシ・キクゾー=クン》というプログラムの仕業らしい。あの、先生のインタビュー放送が世界的に注目される。そして《キクゾー》の秘密とは、日本語独特の構造にこそあるらしい。他に情報はない。

 我らの国でも《キクゾー》を手に入れたい。そのためにも日本語と、日本の謎を探るのだ。

 既に日本コンテンツは世界中で流通し始めている。日本語への興味を持つ人口は増えていた。多くの研究者も日本語を習得。各国で日本語圏が拡大する。


 火と言語を発明することで。農耕により国家を形成することで。人類は文明を先へ先へと進めてきた。そして産業革命から続く現代が、とうとう終わりを告げる。

 第二次ジャポニズムと呼ばれた流行は、人類意識の変革という、新たなブレイクスルーを迎えようとしていた。

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