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 この流れに乗れとばかりに、我が地元もいつの間にか聖地化してしていた。確かに最近、観光客らしき人を見かけることが多くなったと思ったら、いつの間に。


 閑散としたアーケード街は久しぶりに、どの店もシャッターが上がり、営業するようになっていた。地元の名産や、ドラマの関連グッズといったショップとして、商売をやりたい若者に貸し出されたのだ。

 古くからの祭も、イベントとして今風にアレンジされて催される。町はにわかに慌ただしくなった。


 そんな時だ。ボクは町内会長に選ばれる。むしろ強制的に選ばれた。

 町内会長といっても、ボランティアだ。高齢化で若い者が他にいない。だったら暇そうなヤツにやらそう、というのがボクが選ばれた理由だった。

 確かに仕事は暇なままだったが。《小咄菊造くん》で得たアフェリエイト代で、生活費はラクになっていたし、構わないかと引き受けた。


 もちろん町内会長の雑用ついでに、印刷の依頼があるのではないか、という下心もあった。一応は印刷物の仕事も来たが、せいぜいが微増といった程度に過ぎなかったが。


 町内会長をやった10の手間で、1のリターンがあればラッキーというくらい。損得でいえば、損になるだろう。特に農繁期の手伝いにまで駆り出されたのには堪えた。

 むしろ、地元の顔見知りと美味い酒を飲むため。口実作りに町内会長をやっていたようなものだった。


 仕事は相変わらずだが、それなりに忙しくなった日々。しかし朗読のボランティアだけは続けていた。

 更に、外国人観光客の人たちと話す機会も増えたことだしと。趣味ついでに、世界中いろんな言語を勉強しはじめた。


 ボクの手を離れた《小咄菊造くん》が、日本をぐるり一周して、地元に里帰りしてきたような。そんな感懐があった。

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