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●11 添い寝の懺悔






 八月に入った。


 せっかくの反省会にもあまり意味はなく、キララもイシュタルも夏緒に対してあれやこれやとアピールしてきてはいるのだが、成果の方はからっきしだった。


「あと、ちょうど三週間ってところか……」


 夜の八時。携帯端末のカレンダーを見て、夏緒は呟く。今日は八月五日。キララが言っていたタイムリミットまで、あと二十一日である。


 相変わらず細々と二人の異邦人の勘違いによる騒動などがあったりするが、逆に言えばこれといって大きな問題もなく、三人の奇妙な共同生活は続いていた。


 階下のリビングから、キララとイシュタルの口喧嘩が聞こえてくる。またぞろ意見が衝突したのだろう。今となっては、それが日常茶飯事だと認めている自分がいた。エスカレートするようなら実力行使だが、最近は二人も学習したのか、初期の頃のような取っ組み合いは控えるようになっていた。


「だから雑誌をあっちこっちに放置しないでって言ってるじゃないか何でちゃんと整理整頓しないのちゃんと片付けなよイシュタルさんのおばか――――――――ッッ!!」


「うるさいですわよ庶民クラスタの分際であたくしに意見するなど一〇〇グルーチ年早いですわよそれより先月号のYan―Yanをどこにやったんですのよ――――――――ッッ!!」


 耳を澄ましたら、どうでもよすぎる諍いが聞こえてきた。


 未来から来た情報存在、しかも元は肉体を持たぬ故、こちらに来て受肉したという少女二人。


 そんな彼女らと共に暮らし始めて、もう一ヶ月ほどになる。


 他人と過ごすには長いような、それでいて短いような微妙な期間だが、それでもある程度のことならわかるようになった。


 キララは基本的には常識人に見えるが、その反面、どこか韜晦じみたところがある。わたわたと慌てたり、すぐに泣きべそをかいたりするが、その心の中ではこっそり舌を出しているような――そんなイメージだ。


 おそらく、わざとではないのだろうし、【宇宙人モード】の時の言動の変化の面影も手伝っているのかもしれない。


 例えば、時と場合によって微妙に言葉遣いを変えたりするところだったり。大人しそうに見えて、ここぞという時には牙を剥くところだったり。


 具体例を出すなら、初めてイシュタルが澤城邸に現れた時、弱った彼女にあっさりトドメを刺そうとしたあたりがそうだろう。見た目通りの天真爛漫な少女でないことは明らかだ。


 悪い奴ではない。それはわかる。基本的に言うことは正論が多く、プラスかマイナスかで言えばプラスの傾向が強い。道化じみたところもおそらくは計算ではなく、ただの天然だろう。


 言うなれば、【したたか】なのだ。そして、そのあたりがイシュタルの不興を買っているのかもしれない。


 対するイシュタルだが、彼女はほとんど見ての通りである。世間知らずのお嬢様、という言葉がここまでしっくりくる奴を夏緒は初めて見た。


 基本的には我が儘。応用的には横暴。ことあるごとに自分が貴族であることを主張するが、それが本当ならとんだ独裁者である。まるで小さな子供がそのまま大きくなったような性格をしている。


 常に理屈よりも自らの感情が優先で、そこをして彼女をキララに突っかからせているのだろう。


 が、これまた悪い奴ではない。嫌な奴ではあるが、決して悪人ではない。


 それに子供みたいな性格ではあるが、何も一事が万事そうであるわけではない。時には素直なときもあるし、優しさや思いやりを持ち合わせていないわけでもない。それが発揮される機会が稀なだけで。


 要は良い意味でも悪い意味でも【幼い】のだ。そう考えれば、キララ相手にムキになって噛み付いているところなど、いっそ可愛げがあるものだ。


 二人とも、動物に例えるならば猫と犬が妥当に思える。それも外面と内面では真逆になってしまうのだが。


 キララは外面が犬っぽいが、内面はどちらかというと猫に近い。


 逆にイシュタルは外面はいかにも猫なのだが、内面は犬っぽい。


 奇妙な奴らだ、と夏緒は思う。そして、こんな疑問を抱く。


 こんな風に冷静に彼女らを分析している自分は、果たして本当に二人に好意を抱くことができるのだろうか――と。




 しかし、そんな高校生男子の密やかな悩みなど、未来から来た少女にとっては知ったことではないのだ。


 その夜、夏緒がそろそろ寝ようと思ってベッドに入った時だった。


 遠慮がちなノックの音。


「……なんだ」


 扉越しに声を返すと、ノックの主は、


「えっと……ボクです。キララです。入っても……いい?」


 断る理由が咄嗟に思い付かなかった。仕方なく「いいぞ」と応えたら、またもや遠慮がちにドアが開いて、キララが姿を現した。


 白と水色を基調としたパジャマに、豪奢な金髪がふわふわしているせいだろう、髪の乱れを防ぐためのナイトキャップまでかぶっている。その胸の前には、何故か枕が抱かれていた。


「えへへ……」


 照れ隠しの笑いを浮かべて、とてとてとベッドに近付いてくるキララ。ベッドの上で上半身を起こしただけの夏緒は、その様子を不思議そうに見つめていたが、やがてその真意に気付き、


「あのね、一緒に寝ても「駄目だ」いい? って返事早いよびっくりしたぁ!?」


 キララが話している途中で早々と先を見越し、断りの文句を投げつけた。あまりの速度にキララが瞠目する。


「なんでさ!? いいじゃん!」


「いいわけあるか。大体、お前は俺とくっついたら大変なことになるだろうが」


「触らなきゃ大丈夫だもん! ちゃんと気をつけるもん!」


「いいから、さっさと自分の部屋に帰れ」


「むーっ! 夏緒さんの嘘つきっ! 出来る限りの協力をしてくれるって言ったじゃないかっ!」


「む……」


 涙目のキララから出て来た思わぬ反撃に、夏緒は言葉を詰まらせる。確かに以前、自分はそう約束した。


「ちょっと距離を置いて一緒に寝るってことは、別に物理的に無理な事じゃないでしょ?」


 最近、キララはこうやって夏緒の言動や用いた理屈を逆手に取ってくるようになった。このあたりが夏緒をして彼女を【したたか】と称させた由縁だ。


「……嘘つき呼ばわりは気に食わないからな……仕方ない」


 苦虫を一度に十匹も噛み潰したような顔で、夏緒はベッドの端の方へ身を寄せる。彼が常用しているベッドは母の知り合いからの譲り物で、サイズはセミダブルだ。詰めれば二人でも充分に寝られる。


「わーい♪」


 今の今まで目の端に涙を溜めていたくせに、もう嬉しそうに笑っている。キララは空いたスペースに持ってきた枕を置いて、ウキウキした動作でベッドに寝転がった。


「明かり消すぞ」


 二人で一枚のタオルケットをかぶると、夏緒は手近な端末で照明を落とした。PCのインジケーターだけが光源となった中、夏緒は枕に頭を乗せ、早速ごろりと寝返りを打つ。隣のキララに背中を向ける体勢だ。出来る限りの協力として一緒に寝ることは許可したが、それ以外についてはとやかく言われる筋合いはない。


 一緒に寝るだけでそれ以外は何もしない――そんな夏緒の意思表示に気付いているのいないのか、


「ねっ、ねっ、夏緒さん。何かお話しようよ」


 などと気軽に話しかけてくる。


「寝ろ。お前はここに何しに来たんだ」


「だから、夏緒さんと一緒に寝るためだよ?」


「ならさっさと寝ろ」


「んもぉ、わかってないなぁ夏緒さん。『一緒に寝る』っていうのは、ただ並んで寝っ転がるだけの意味じゃないんだよ?」


 その発言は受取手によっては非常に危険なものだったのだが、幸い夏緒の脳にはそちら方面の思考回路に繋がるシナプスが形成されていなかった。それに、そもそも夏緒とキララは原則として触れあわない方が良い関係なのだ。


「知るか。俺は寝る」


 にべもなく突っぱねると、夏緒は背を向けたまま黙り込んだ。するとキララは、むーっ、と不満を隠しもせずに唸ったかと思うと、


「………………なつおさんの、ばか……」


 小さく、拗ねた幼児のような声でそう囁いた。夏緒はそれを聞こえなかった振りをした。




「――夏緒さん、もう寝ちゃった……?」


 緩く稼働するエアコンと、PCのファンと、インジケーターの刻む音が微かに聞こえる中、それらにすらかき消されそうな声音でキララが囁いた。


 返事はない。


 夏緒が静かになってからもう小一時間は経過している。その間、彼は微動だにしていない。


 視界の諸処に浮かぶARDに目を配るが、やはり少年のステイタスは確認できない。これが余人であれば、プロテクトを構築されていない限り、アカシャDBにアクセスして情報を得ることが出来るのだが。


「……ねぇ、夏緒さん。ほんとは起きてて、実は寝たふりとかしてない?」


 今度はもう少し大きな声で言ってみた。が、反応はなし。定期的な呼吸運動が認められるだけで、耳をそばだててみても聞こえてくるのは寝息だけだ。


 夏緒は完全に眠っている。そう確信した。だから、


「……あのね……ボクね、本当はいけない子なんだ……」


 ぽつり、ぽつり、とキララは独り言をこぼし始めた。


 あるいはそれは、懺悔だったのかもしれない。


「……本当はね、人類滅亡の危機を救うって言うのは、ただの建前なんだ……あ、ボク達の世界が危ないのは、本当だよ? でも、ボクにとってはそれは二の次で――ボクはただ、夏緒さんに会いたくて、この時空にやってきたんだよ」


 キララは届かぬと知りながら、夏緒の背中に語りかける。本当は、彼にちゃんと聞いてもらいたかった。でも、これはただの自己満足かもしれない。そう思ったら、強く言い出せなかった。


「ボクね、こう見えても自分の世界じゃ〝ギンヌンガガップ〟の研究で結構有名なんだよ? 元々、宇宙の真理には興味があったし、だからまだ未解明の〝ギンヌンガガップ〟に挑戦してみようと思ったんだ」


 眠る少年に胸の内を打ち明けるその行為は、彼女がかつて同列に並んだとまで言い放った神仏に告解するようでもあった。


「初めてアバターに受肉して、物理世界の〝ギンヌンガガップ〟を見た時は驚いたよ……だって、男の子だったんだもん。それも、ミイラか骸骨かと思ったら、今にも目を開けてこっちを見そうなぐらい新鮮な状態で……あ、ごめんね。夏緒さんの体がミイラになってるって言ったの、あれ嘘なんだ。本当は、夏緒さんの肉体は〝ギンヌンガガップ〟の影響で、死んだ時の状態で固定化されちゃってるんだよ。でも、まさか夏緒さん本人に『あなたは十七歳の誕生日に死んじゃったんだよ』って言うわけにもいかないでしょ? だから、ミイラってことにして誤魔化したんだよ。……あはは、これ本当に聞かれちゃってたら、すごい怒られちゃうよね……」


 夏緒が熟睡しているものと思って喋っているため、本来なら言うべきでないことでも口を衝いて出て来てしまった。そのため、逆に彼が眠ってくれていてよかった、とも思える。中途半端な告白は、ストレスを解消するどころか、逆に増やしてしまっていただろうから。


「――そういえばね、以前、危機回避のために夏緒さんの肉体と〝ギンヌンガガップ〟を切り離そうって案も出たらしいんだけど、すぐに却下されたんだって。〝ギンヌンガガップ〟が生命体――特に人類に宿った例って夏緒さんしかいなかったし、切り離しちゃうと今度はどこの何に宿るかわからないから。今度はもう見つけられないかもしれないし、それで情報存在を〈正常化〉する属性が消えなかったら、それこそジ・エンドだもんね」


 そこでキララは口を止め、胸元のタオルケットを手繰り寄せ、ぎゅっと握った。ベッドの上でもぞもぞと動き、


「……それ、でね……? ボク、その時さ――あ、その時って言うのは、初めて夏緒さんと会った時……ううん、夏緒さんは遺体だったからボクからの一方的なファースト・コンタクトだったんだけど……その……」


 そこで恥ずかしさが臨界点に達して、キララはタオルケットで口元を覆った。頭の隅で――あ、夏緒さんの匂いだ――などと考えながら、呟く。


「……【一目惚れ】、しちゃったん……だよね……」


 言った途端、ぎゃひー、とタオルケットに顔を埋めて小さくジタバタする。しばらく悶絶してから、そっと顔を出すと、


「……実を言うと、本腰入れて〝ギンヌンガガップ〟の研究に熱中しだしたのはその時からなんだよね、ボク……でね、調べていくと夏緒さんのパーソナルデータがいっぱい出て来てね……だからボク、知ってるんだよ。夏緒さんが、どんなに寂しい人だったのか……あくまでデータを読み込んだ上で、ボクの想像なんだけれど」


 話していく内に、再び声のトーンは落ちていく。


「――だから、思ったの。この人の助けになりたい、って。この人を、寂しさから救ってあげたい、って……こんなの上から目線だし、余計なお世話だっていうのはわかってるよ? でも……どうしてもそうしたくなっちゃったんだ」


 つまり、


「だからね? ボクは人類滅亡より、澤城夏緒さん……君に会うために、この世界に来たんだよ。もちろん、消えて無くなるのは嫌だけど……存在するものはいつか滅するのが定めだしね。それなら、好きなように、思う通りに生きて消えたいよ。それは多分、いつの時代も、みんなそうなんだろうけれど」


 キララは左手を上げ、目の前にある思いがけず大きな背中に伸ばそうとして――中途で止める。


「……寂しかったよね。悲しかったよね。お父さんとお母さん――好きな人とずっと一緒にいたいって思うのは、自然なことだもん。好きな人が一緒にいてくれないのは、つらいことだもん。必要とされてないって、そう感じるのは、とても苦しいことだもん……こんなに悲しくてつらくて苦しいなら……もう誰も好きにならないって、心を閉じちゃうのも、無理ないよね……」


 ゆっくりと、一度は止めた手を、再び伸ばして――


「だからさ……」


 服だけなら、大丈夫。ちょっとぐらいなら、体にだって触れてもいい。だから、キララは夏緒のパジャマの裾を、ぎゅっ、と掴んだ。


「だから――ボクのこと、好きになってよ……もう寂しい思いなんて、させないから……ずっと一緒に、いてあげるから……悲しくてつらくて苦しい時間から、守ってあげるから……」


 ぽつりと呟く、それは願望。


「……お願いだから……ボクだけのものに、なってよ……」


 身勝手な願いだということは、重々承知していた。だからきっと、彼が目覚めていたなら、口にすることはできなかっただろうと思う。


 パジャマの裾を引っ張ってもまるで反応しない少年に、それでも縋るように、握る手に力を籠めて、


「――きっと大丈夫だよ。夏緒さんは、ちゃんと誰かを好きになれるよ。だって……自分じゃ気付いてないかもしれないけど、潤美ちゃんのこと、あんなに大切にしているんだもの……絶対、大丈夫だよ……」


 人を愛せないわけではない。生まれながらにその機能が欠落しているわけではない。今はただ、そのやり方を忘れてしまっているだけ――


「ボクはそう、信じてるから……」


 きっと大丈夫。わかりあえる日は、いつか必ずやって来る。自分の使命はその時を早め、彼の命が尽きる前にそれを実現させることだ。


 そのための労苦なら、惜しむつもりは微塵もない。


「……ごめんね。こんな風に夏緒さんが眠ってる時に言うなんて、卑怯だよね、ずるいよね……ぐすっ……ごめんなさい……」


 滲んでくる涙が堪えられなかった。臆病な自分が、惨めで仕方なかった。


 だから、頑張ろう。卑怯な分だけ、努力しよう。ずるい分だけ、力を尽くそう。


 人類の行く末なんて知ったことか。惚れた男のためにこの身を掛けるのが乙女の本懐だ。


「頑張るからね。ボク、夏緒さんに惚れてもらうためにいっぱい頑張るからね。だから……」


 いつかきっと、こっちに振り向いてね。


 胸に浮かんだその言葉を飲み込み、キララは瞳を閉じ、こう呟いた。


「……………………おやすみ、夏緒さん……」




 パジャマの裾に掛かっていた力が消えて、キララの手が離れたことを夏緒は感覚で捉えた。


 なんのかんの言っても、夏緒とて年頃の高校生だ。日頃から傲岸不遜な態度をとっていると言っても、その神経が鋼線で出来ているわけではない。


 隣に同じ年頃――と思しき、だが――の女の子が寝ている中、平然と眠ることなど到底出来やしなかったのだ。


 全部聞いていた。仔細洩らすことなく。


 思いも寄らなかった話に、身動きが一切取れなかった。


 キララが言っていたタイムリミットとは、【彼女達のタイムリミット】ではなかった。


 それは、【夏緒のタイムリミット】だったのだ。


 胃の腑に鉛を詰め込まれたような重苦しさが、夏緒を苛む。


 十七歳の誕生日に死ぬ――彼女はそう言った。他の誰でもない、未来から来た少女がそう言ったのだ。


 それを否定する根拠を、夏緒は持ち合わせてなどいない。


 夏緒はこれまで、自分の誕生日というものほど呪わしい日はないと、そう思って生きてきた。自分が産まれた日。あの両親の間に、澤城夏緒が生まれ落ちた日。彼らに祝って貰った記憶などほとんどない。毎年毎年、西浦の家で誕生日パーティを開いてくれるが、プレゼントこそ届きはすれ、実の両親が側にいてくれたことなど一度もなかった。多くの人に囲まれながら感じる、絶海の孤独。それを思い知らされるのが、夏緒にとっての誕生日というものだった。


 自分はその日に死ぬという。とうとうここまで来たか――そう思った。つまり、救いなんてものは初めから無かった。徹頭徹尾、八月二十六日は己にとって忌まわしい日でしかなかったわけだ。


 笑うことが出来たなら、ここで自嘲の笑みでも浮かべていただろうか。しかし夏緒は、笑うための表情筋の動かし方を忘れてしまっていた。


 泣くことが出来たなら、悔し涙でも流していただろうか。けれど夏緒の涙腺は、とうの昔に錆び付いて動かなくなってしまっていた。


 無表情。荒れ狂う嵐のような激情を持て余しながらも、仮面のような顔で夏緒は暗闇の一点を見つめ続ける。


 エアコンやPCの唸る稼働音が、死に神が這い寄る気配のように思えた。目の前にわだかまる闇が、死が呼び寄せた暗くて深い穴のように思えた。


 その夜、結局、夏緒はまんじりともしないまま、朝を迎えた。



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