戦闘描写 練習作
練習のために書きました。
二人は理由もなく戦います。
理由もなく戦うなんてとても怖い二人ですよね。
この二人は戦闘民族か。
20メートルほどの間を空けて立っている、二人の男。
片方の男は、肩や膝等に装飾の付いた全身鎧を着込み、両手でなければ扱えないほど大きいグレートソードを持つという、まるで騎士のような格好をしていた。
もう片方の男は、革の服の上に金属製の胸当てをして、安物のシミターを腰にぶら下げている。剣士のようだ。
お互いに向き合い、相手を睨んでいた。
どちらも、戦う準備は整っている。
だが、まだ大きな動きは無い。
二人とも間合いを図るように、ジリジリと、少しずつ近づいていっている。
20メートルの空間が、半分ほどになったとき、剣士がいきなり走り出した。走りながら、右手でシミターを鞘から引き抜く。
それを見た騎士は、グレートソードを振り上げて、走って来ている剣士に向かって降り下ろす。
剣士は、降り下ろされるグレートソードを左にジャンプしてかわしながら、騎士の首もと、ちょうど鎧の継ぎ目の部分に向けて剣を振る。
騎士はそれを、鎧の肩の部分で受けた。シミターの刃が当たり、欠ける装飾。その破片が飛び散る。
剣士が地面に着地。騎士は一歩踏み込み、グレートソードを横向きに振ろうとするが、やはり重い大剣だけあり、その動きは遅い。
騎士がグレートソードを振り終わる頃には、剣士と騎士の間に、また一定の距離が生まれていた。
しかしまだ剣の届く距離だ。
騎士は、剣士に向かって一歩踏み出し、大剣を振り上げる。
剣士は、走って左に避け、今度は腹にある鎧の継ぎ目に向かって曲刀を振る。
騎士は、曲刀の軌道にあわせて、体を半時計回りに回転させ、攻撃を避けると共に、その回転を利用して、さながら、回転切りのように剣士へ反撃をした。
剣士は、腰を落とし、手に持っている曲刀を斜めに、鋭角に両手で構える。受け流すつもりのようだ。
ガギィッという、金属同士がぶつかる音が辺りに鳴り響き、騎士の大剣が剣士の曲刀の上を滑る。
だが、まだ受け流せていない。
力が思ったより強かったのか、剣士の剣は押し込まれ、このままでは騎士の剣が体に当たる。
曲刀の刃の中間に来たあたりで、そう判断した剣士は、騎士の大剣を上向きに押し上げようとした。
が、そこで剣士の曲刀が折れる。
いきなり力が消えたことで、騎士の体制が崩れ、前のめりに倒れる。
倒れた状態から、首だけで後ろを振り向く騎士。
剣士は、振り向いた騎士のクロースヘルメット(顔面まで覆う兜)のフェースマスクを、素早く開け、顔をむき出しにして、
折れた剣の柄頭で、顔面を思いっきり殴り付けた。
ありがとうございました。