第二章~記憶なき自分~
「僕のへなちょこストーリー」も宜しくお願いします。
「早くおいでよ!」誰かが俺のことを呼んだ。声の方向に向くと女の子がいた。
「早く、早く!…!」口は動いているのに最後のところで声が聞こえない。
「おい、今何て言ったんだ?」俺は尋ねた。しかし少女は答えず、
「もう先行っちゃうからね!いつもの場所だよ!」そう言って走り去ってしまった。
「あっ、おい!」俺は呼びとめようとしたがすでに行ってしまった。
「いつもの場所…。」俺はその言葉を聞いた覚えがあった。いつだったか、誰が言ったかは覚えていない。しかしどこか懐かしみがった。
ここで俺は目が覚めた。
俺はなぜか自分の部屋のベットの上にいた。さっきまで殺人現場にいたのに…。
そういえば撃たれたはずの肩が痛くなくなっている。肩を見てみると治療されてあった。俺は震えが止まらなくなった。
「…なんなんだよ。一体何がどうなっているんだよ!」
俺は怒鳴った。いや、叫んだと言ったほうが正しいかもしれない。怖いのだ。この先どうなっていくかを考えると。おかしくなってしまいそうなのだ。声を出さずに黙っていると。
そして俺は恐ろしいことに気がついた。
「…俺の名前は?俺はあの日の前一体何をしていたんだ?」
自分が何者なのかもわからなくなってしまった。俺はもう笑うしかなかった。
「ハハッ、アハハハハ!」もうどうにでもなれ、と思った。ただ笑わなかったら間違いなく狂ってしまうであろう。
しかしいつまでも笑っている場合じゃない。俺は笑うのをやめて今すべきことを考えた。
まず自分が何者なのかを確認できるものを探した。
免許証、保険証、履歴書、はてや携帯まで探した。しかし見つからなかった。タンスの中がグチャグチャびなっていた。考えられる結果は一つ、盗まれたのだ。自分のことを確認されないために。
さっきの俺なら今度こそ笑いが止まらなくなるだろう。だが今の俺は正気だ。次すべきことを考えた。
次すべきことは今日は何日かを確認することだ。
俺はテレビをつけてニュース番組のチャンネルに切り替えた。今日は八月二十日だった。ということは丸二日寝ていたことになる。
その時、
「臨時ニュースです。本日、柏崎グループ社長の柏崎豊さんが殺害されて発見されました。」
「何だって?」
柏崎豊とは柏崎グループ社長だ。柏崎グループは世界的にもとても有名なグループでまさに日本の顔ともいえる大きな財閥だ。
「殺害される瞬間をカメラがとらえました。」
そこに映し出された映像には…まぎれもなく俺が映っていた。
「なんで俺が映っているんだよ!」
驚いているそのとき、
ピンポーンとチャイムの音が聞こえた。
ドアにある穴から覗いてみると、そこには警察がいた。
呼んでくださった方、ありがとうございました。