表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/18

第6話 抑えきれない欲望

(だ、駄目だ……! このまま欲望に身を委ねてしまえば――取り返しのつかないことになる……!)


 彼はようやく、自分がいま何をしているのか、その異様さに気づき始めていた。


(も、もし……このまま、妹の手をペロペロしてしまったら……俺は変態になってしまう!)


 胸の奥で、警鐘がけたたましく鳴り響く。


(た、耐えろ……耐えるんだ、俺……!)


 理性は必死に叫ぶ。

 ただ手を放し、この部屋を出ていけば、それで済むはずのことだった。


 ――それだけの、はずなのに。


(し、しかし……! この温もりは……なんだ……!?)


 指先に伝わる、柔らかなぬくもり。それはあまりにも穏やかで、あまりにも抗いがたく、じわじわと彼の理性を侵食していく。


(やめろ……やめてくれ! 俺の理性を……これ以上、壊すな!)


 彼は見えない何かと、必死に戦っていた。それが己の内側から湧き上がるものであることなど、半ば理解しながらも。


 だが――その均衡も、長くは続かなかった。


 限界が、静かに、しかし確実に近づいてくる。


「うおおおおおおおおおおおッ!! お、俺はあああああああ! 妹の手をペロペロしてえええええええ!!!」


 ついに堪えきれず、内に秘めていた衝動が声となって溢れ出す。


 その瞬間、部屋の静寂は完全に破られた。


 ――そして。


「お兄……ちゃん?」


「あっ……」


 かすかな声とともに、二人の視線が交わる。


 どうやら彼の絶叫が、眠りについていた妹を現実へと引き戻してしまったらしい。


 逃げ場のない沈黙が、二人のあいだに重く落ちた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ